第59話 記憶の欠損
「はぁ……はぁ……はぁ……」
なんとかガーゴイルを倒せた。
池田の直感は凄いな、弱点まで見抜くなんて。
俺は池田の方を見てみる。
(あれ?)
さっきまでさ〜ちゃんの後ろにいたはずなのに、何処に言った?
辺りを見渡すと、奥の棺の前にいた。
「どうしたんだ?」
(……少し雰囲気が違う? いや、気のせい?)
池田は棺を開けた。
その途端に前回と同じように黒い靄が現れた消えてしまった。
バタッ
消えたと同時に池田が倒れた。
「池田!!」
俺は池田の元に駆けつけた。
気を失っていた。
こんな状態でもドキドキしてしまうのはおかしいだろうか?
「おい、池田!! 起きろ!!」
俺は呼びかけた。
「ねぇ、松本、さっきの佳奈おかしくなかった?」
メリーさんとさ〜ちゃんがやってきた。
「さっきのって、棺を開けた時か?」
「そうよ」
「なんていうか、雰囲気が少し違ってたような? でも気のせいだ、池田はここにいる。ドッペルの時とは違う」
「なら良いんだけど……」
メリーさんは何かを気にしていた?
「とにかく、今は池田を起こさないと」
「なら、ワタシは棺を見てくるわ、また何か書いてあるかもだから」
前回は棺にア…ト…スと書かれていたのだ。
なら、今回もあるはずだ。
「……ないわ」
「えっ?」
「何も書いてないの!!」
何も書いてない?
黒い靄みたいなのは出たのに?
「……んっ!!」
池田が目を覚ました。
「池田、大丈夫か?」
俺は池田の顔をのぞき込んだ。
「きゃぁぁぁぁ」
バチーン
思いっきり頬をビンタされた。
「はぁ……はぁ……はぁ……、ビックリしたじゃない!! 松本!! あんた何しようとしてたのよ!!」
「えっ? あっ、いや、ただ、起こそうとしてただけだ!!」
「起こそうと? あれ? 私何してたんだっけ? 確かにガーゴイルと戦って……あれ?」
「覚えてねぇのか? 佳奈とアタシでガーゴイルのやつを押さえたんじゃねぇか!!」
「えっ? 私とさ〜ちゃんで? ごめんなさい、覚えてない……」
どういう事だ。
弱点を見つけたのも棺を開けたのも池田なのに?
「とりあえずここを出ましょ、話なら上の部屋でも出来るから」
確かにこの部屋には棺以外はもう何もない。
その棺にも何もなかったのだから、ここにいる意味はない。
俺達は階段を登り始めた。
暫く階段を登ると光が見えてきた。
階段の終わりは近い。
ラストスパートで登ると……。
「なっ、なんだこれは?」
そこは入ってきた図書館ではなく、
荒野だった。
周りを見ると建物が1つも見えない。
「どうなってるんだ?」
階段の上り口は1つしかなかったから間違えるはずがない。
「ワタシにも分からないわよ、しかも見たことない場所よ」
「アタシもねぇなぁ〜」
メリーさんもさ〜ちゃんも場所の心当たりはないみたいだ。
「もしかして、ここがドリームランド?」
池田が小声で言った。
確かにここがドリームランドかも知れない。
でも、なんでいきなり?
謎だらけだった。
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