第58話 ガーゴイル
「本当にあった……」
目の前に階段が見つかるまで信じてはいなかったが、見つかったからには信じるしかない。
池田の直感が改めて凄いと思った。
「……この下が同じとは限らないけど行くの?」
メリーさんが確認する。
「……行くなら……これ……」
さ〜ちゃんが懐中電灯を持ってきた。
「行こう!!」
俺はさ〜ちゃんから懐中電灯を受け取り階段を降りていった。
池田達もついてきていた。
階段を降り始めて10分はたっただろうか、やっと階段の下に辿り着いた。
懐中電灯しかないので全体が分かりにくいがかなり広い空間だ。
辺りを照らしながらゆっくりと前に進んだ。
すると、いきなり壁に埋まっていたロウソクが全て灯り、部屋が明るくなった。
「いったい何が!!」
突然の事に戸惑う俺達。
いきなり明るくなった事で目が眩んでいたがそれも慣れてきた。
そして、最初に目に入ったのは中央に置かれた石像だった。
その奥には棺が置かれている。
前と同じ感じの部屋と棺。
なにか関係はあるのか?
とりあえず、棺を調べてみる事にし、棺の元にむかった。
「それにしてもこの石像、なんか怖い感じがしない?」
池田がそういうと恐ろしい。
「怖い? 石像が動くなんてゲームだけだ」
「でも、この世界ってゲームの世界とも繋がってるんだよね?」
「あっ……」
俺はゆっくりと石像を見た。
石像が動くといえば、定番なのはガーゴイルだ。
(まさかな……)
石像を見るとさっきまでなかった石の翼が生えていた。
「キシャァァァァァ!!」
石像はガーゴイルだった。
「きゃぁぁぁ!!」
池田は悲鳴を上げた。
「まかせろぉ!!」
さ〜ちゃんは、日本刀でガーゴイルに斬りかかった。
しかし、石像に斬撃は効果はなかった。
「これならどうだ!!」
俺はバットでフルスイングした。
「ぐぎゃぁぁぁぁ」
日本刀の攻撃よりは効果があった。
「任せて」
メリーさんがガーゴイルの後ろからトンファーで殴りかかった。
連続攻撃でガーゴイルの石像を削っていくメリーさん。
「がぁ!!」
ガーゴイルの腕がメリーさんを吹き飛ばした。
「きゃぁ」
吹き飛ばされた先で動けないでいるメリーさん。
ダメージが大きそうだ。
池田は弾切れ、さ〜ちゃんの日本刀は効き目なし、ここは俺しかいない。
「松本、石像の台座を壊して!! 台座が黒くなってるの!!」
台座を見るとさっきよりも黒くなっている。
ガーゴイルと関係あるのか分からないけど、壊してみるしかない。
俺はバットで台座を叩いた。
「ぎぁぁぁぁ!!」
台座を叩いた瞬間にガーゴイルが苦しみだした。
メリーさんが殴っていた時よりも苦しんでいる。
しかし、ガーゴイルは俺に向かってきた。
「させるかぁ!!」
さ〜ちゃんは、日本刀の峰でガーゴイルを押さえつけていた。
だがガーゴイルの力が強いのか、さ〜ちゃんの身体ごと押されている。
「頑張ってさ〜ちゃん!! 急いで松本!!」
池田がさ〜ちゃんの身体を押し、二人ががりでガーゴイルを足止めしている。
それでも長くは持ちそうもない。
「うぁぁぁ」
俺は全力で台座を破壊しまくった。
「これでラスト!!」
最後は渾身の力を込めてフルスイングした。
「ぎぁぁぁぁ!!」
ガーゴイルの叫びとともに、ガーゴイルの石の身体は崩れ落ちた。
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