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第51話 再び

「……助けて……」


 誰?


「お願い……助けて……」


 誰なんだ?

 聞き覚えのある声だ。


「助けて、ワタシ…………」



「っはあ」


「ん? 目覚めたかい?」


 見た事ない白い天井が目に入った。


「意識はしっかりしてるかな? 3日ぶりの目覚めなんだから無理はだめだよ。君達は病院帰りに意識不明になって倒れていたんだよ」


(病院帰り? 意識不明? 3日? あっ、池田!!)


 俺はベットから起き上がり周りを見渡した。

 そして横のベットで眠る池田を発見した。


「まだ起きたら駄目だよ。その娘、君の彼女? まぁ心配だよね、もう目覚めても良いはずなのに今だに目覚めないんだからさ」


 俺と同じなら3日間眠り続けているはずだ。

 何故目覚めない?


「身体は健康そのものなんだけど、何故か意識が戻らないんだよ。君もだったんだけど、君は今起きたんだから、もうすぐ目を覚ますさ」


 先生は大丈夫と言うが、嫌な予感がする。

 それに、寝ている間に誰かに助けを求められたような……。

 あの声は……、ダメだ思い出せない。

 でも、もう出かかっている。

 思い出せそうなんだ。


「君も今日はまだゆっくりしてなさい。明日検査して大丈夫なら退院だ」


 池田を残して退院なんて出来るはずがない。


「……助けて」


「ん? 先生、今、助けてって言いました?」


「いや言ってないが?」


 確かに聞こえた。

 でも池田の声ではなかった。

 いや待て、あの声は知っている気がする。 

 あの声は、夢の声だ。

 そして、俺はその声の主を知っている。

 そう……あの声の主は………………。


 俺は静かに考え込む。

 目を閉じて心と向き合った。

 そして……。


「メ……メリーさん……、そうメリーさんだ!!」


 俺は今までの事を思い出した。

 なんで忘れていたのだろうか、あの体験を。

 それと同時に池田に告白した事も思い出した恥ずかしくなり布団を被った。

 そして、急に眠くなった。



「起きなさい松本!!」


「痛」


 誰かにビンタされた。


 目を開けるとそこにはメリーさんがいた。


「あれ? メリーさん?」


「あれ? メリーさんじゃないわよ。ワタシからのSOSは受け取ったでしょ。全く早くきなさいよ。佳奈はもう来てるわよ」


 池田が来てる?


「よっ!!」


 池田はメリーさんの後ろに立っていた。


「無事だったのか!!」


「無事って事はないけどね。今度はメリーさん達のピンチみたいだから助けてあげないと」


 そうだった。


「メリーさん、ピンチって?」


 俺は尋ねた。


「説明するわね。まずここは現実と夢の狭間の世界なの。まぁ、簡単に説明するとワタシ達怪異の世界ね。ただ今はいろんな世界と繋がってるみたいだけどね……」


(怪異の世界って……)


「あなた達が帰ってすぐに見た事のない軍勢が現れたの。あいつらはクトゥルフって名乗ってたわ。なんでも何かをする為に、ワタシ達怪異の魂が必要とかで怪異狩りが始まったの」


 クトゥルフって言ったら、クトゥルフ神話の事だろう。

 あいつらが現れたのだとしたらかなりマズイ。


「その怪異狩りに、ひきこさんやかんかん、花子さん、金ちゃん達も殺られてしまったの……。でも、ひきこさんとかんかんが最後の力でワタシとさ〜ちゃんを逃してくれたの」


「さ〜ちゃんも」


 よく見ると横で座っているさ〜ちゃんもいた。


「とにかくこのままじゃ全滅だから、ワタシは佳奈と松本に助けを求める為に夢の中で声をかけたの。佳奈はすぐに来てくれたけど、あんたはなかなか来なかったんだから」


 事態はなんとなく分かった。


「俺が来ない間はどうしてた?」


「幸い今は敵も大人しくて何もなかったわ」


 何もない?

 狩りをしてるはずなのにおかしくないか?

 

「とにかく、また迷惑かけちゃうけど助けてください」


 メリーさんは頭を下げた。


「メリーさん、そんな事しないで、私も松本もメリーさん達には助けられたんだんだから、助けるのは当たり前だよ」


 池田の言う通りだ。


「もちろん、俺も協力するよ」


「ありがとう、ところであんた達、前の記憶がなかったんでしょ? 思い出したんらな、あの話の続きしなくていいの? ほら、最後の……」


 最後?

 あっ!!


 俺達2人は顔を赤くして顔をそむけた。


「ななな、何言ってるのよ」


「だだだな、早くメリーさん達を助けないとだな」


 お互いに誤魔化しあっている。


「……進展しなさいよね。まぁ良いわ。とにかくクトゥルフ達の情報が少ないのよ、だから、怪異図書館があそこにあるからそこに行って調べるわよ」


 俺達はそう言って怪異図書館に向かった。

 


 

本作をお読みいただきありがとうございます。




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それでは引き続きお楽しみくださいませ。

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