1
お久しぶりです。
書き残していたエピソードです。
文章を書くのが久しぶりすぎて、おかしくないといいのですが・・・。
アレク視点からのティナ視点です。
ユーシェの様子がおかしい。
結婚式まであと1月弱。前倒しでできる執務はどんどん終わらせ、それでもユーシェと過ごす時間は減らさないようにしてきた。
だからこそ気付いてしまう。最近のユーシェは、どこかおかしいと。
ふとした時に、思い悩んだ表情を見せるが、それを振り払うように俺を見て笑う。しかし、その笑顔は以前とは違うものだ。無理をして笑っている。結婚自体が嫌になったのか、俺といることが嫌になったのかなど考えてみたが、そんな素振りはない。眠る時は必死にしがみつくようにくっついてくるし、部屋を出る時には、置いてけぼりにされる捨て犬のような目で見つめてくるのだ。そう、あれはまるで、10年前に傷ついたユーシェを保護していた時のような印象だ。
やはり気になって何度か問いかけたが、なんでもないと繰り返す。もしかしたら、結婚式の準備で気疲れしてしまったのかもしれないとか、緊張しているのかもしれないとか、否定できなそうな言葉を並べるのだ。
ユーシェは我慢強い。我慢することが染みつきすぎている。だから、余程のことでなければ言わないのだろう。出会ったばかりの頃に己の罪を吐露したのは、守りたいものがあったからだ。それも罪と言うほど大したものではなかったのだが。
いくら甘やかしてやっても、自分から強請ることはない。それでも、何ヶ月と時をかけて、ようやく感情も豊かになってきたと言うのに、一体何がどうしたというのだ。悩みがあるのなら話せばいいものを、ユーシェは頑なにそれを拒む。
それにしても、どうしたものか。せめて理由さえ分かれば、解決策などいくらでも考えられるのだが…。
時間を作ってユーシェの元に通うくらいしか思いつかない。本当に呆れたものだ。冷血非道の皇帝と言われる俺が、一人の女の前ではこんなに腑抜けになろうとは…。
最近、ユーシェ様の様子がおかしい。
きっと、陛下もそれに気づいているはずだ。もちろん、私も何度も何度も問いかけてはいる。けれど、ユーシェ様はいつも、なんでもないのと首を振る。慣れないことばかりで疲れているのかもしれないわとか、結婚式のことを考えて緊張してるのかもしれないとか、そう思えてしまうようなことを言うのだ。
けれど、そうではないと思う。
たった数ヶ月だけれど、ずっとそばにいたのだ。陛下よりも長い時間を、ユーシェ様のそばで過ごしてきた。だから分かる。これはマリッジブルーとはどこか違うものだと。
確かに、結婚自体に不安を感じているところはあった。平民どころか、孤児である自分が、皇帝陛下と婚姻を結ぶなど本当にあっていいものかと。
それに関しては、新聞を取り寄せたり、劇場の演目一覧を取り寄せたりして、市井でどれだけユーシェ様が人気であるのかを語り尽くした。恥ずかしいからやめて、とユーシェ様が言うまで、延々と。自信をお持ちになるまでではないけれど、それで少しは不安も解消されたように感じた。だから、それではないはずなのだ。それ以外の何かが、ユーシェ様を苛んでいる。
新しく増えた他の侍女ではもっとわからないだろう。困った私は、ディル様に相談をすることにした。
きっと陛下に相談されたのだろうディル様が後宮に現れたタイミングで、散策していたユーシェ様を新しい侍女に託して…。
そして私は、見てしまったのだ。ディル様に相談しようとしていたまさにその時、ユーシェ様が護衛騎士の1人に目を奪われたのを。とても切なそうに見つめ、声をかけたそうにしながらも、そうしてはいけないとかぶりを振った、その姿を。
そしてそれを、ユーシェ様を心配して訪れたのであろう、皇帝陛下が目に留めてしまったところを。




