ふたごの月 4
お祖父さんには霧小路さんの隣に座ってもらって、俺は今回の件に関する情報をかいつまんで説明した。もちろん、織目さんの複雑な内情は適当にぼかしたが。
要点を聞いたお祖父さんは、孫娘の分の資料を受け取る。
「ははあ、これが獅賀さんの遺した暗号ですか」
「……なにか、知ってる?」
「そうは言っても、獅賀の家とそこまでお付き合いがあったわけではないからねえ……せいぜい年賀の集まりの時にすこし話をするくらいで」
しばらく資料を眺めていた霧小路祖父は、やはり思いつくことはなかったのか、静かに首を振った。あまり親交もなかったようだしこの結果は仕方ない。
それでも、俺は訊いてみたいことがあった。
「……お祖父さんから見て、獅賀の前当主はどんな風に映りましたか?」
織目さんやミシェルといった、身内とは違う視点からの評価。
俺はまだ「獅賀貴嗣」という人物の印象を掴みかねていた。
生粋のアンティーク好きで、誰からも愛される人格者。傾きかけた獅賀の家を再建した立役者でもある。家族の反対を押し切って織目さんを引き取ると決めたのも祖父だという。
けれど、獅賀貴嗣は亡くなってしまった。
――自身の持つ知識を惜しみなく与えた孫娘に、奇怪なメッセージを残して。
ちぐはぐな印象の獅賀の前当主が、第三者からどう見えたのかを知りたかった。
会ったばかりの俺の質問を受けて、律儀な老紳士は天井を仰ぐ。
記憶を探るように目を閉じた霧小路さんの祖父は、やがて、ゆっくりと視線を戻した。
「聡明な人でしたね。豊富な知識とユニークな会話で人の心を掴むのが上手かった。彼の回りにはいつもたくさんの人が集まっていたように思います……そうそう、身だしなみにも気を遣われていましたね。ひょっとすると奥様が選んでおられたのかもしれませんが、帯や小物のセンスがとてもよかった。当時でもあそこまで嫌味なく和装を着こなせる人は珍しかったので、皆が感心していたのをよく覚えていますよ」
過ぎ去った日々を懐かしむように語られる評価は、二人から聞いた人物像とそうたいした違いはない。
これだけなら普通の洒落者の好々爺だ。
……なにか、ないのか。
自由とアンティークを愛し、多くの人に愛された男が、この不気味な暗号を遺すに至った動機に繋がるヒントは。
「ああ、それに…………すこし、手厳しい人でもありましたね」
顔を上げる。
推考に行き詰る俺は、ようやくお祖父さんがこちらに向けていた穏やかな表情に気づいた。
まるで、ヒナを見守る親鳥のような眼差しだった。
いっぱいいっぱいになっていたことを見透かされたようで、顔が熱くなる。
俺は気恥ずかしさをごまかすように口を開いた。
「……手厳しい?」
「ええ。もう二十年ほど前の話なので、はっきりとは思い出せませんが……たしか、夏の会合の参加者の一人が、オークションで手に入れた古美術品を持参したんです。……その時、獅賀さんが唐突に怒りだして」
「その美術品は、なにかマズいものだったんですか?」
「あとで人伝に聞いた話ですが、どうやら盗品だったようですね。私の知る限り、彼は獅賀さんと親しくしていた一人でしたし、なにより獅賀さんが怒るところをはじめて見たので、随分と驚いた記憶があります……おそらく、そういう線引きは徹底する人だったのでしょう。自分の中に許されないことの明確な基準があって、たとえ親しい仲でもだめなものはだめだ、と」
話を終えたお祖父さんは、ついと視線を織目さんに移した。
「ご家族の前で知った風な口を利いてしまいましたね。もし気分を害されたなら、申し訳ありません」
『い、いえ! ……どんな話でも、祖父のことを知れるのは、嬉しく思います』
「そうですか」
微笑んだ霧小路翁の目元の皺が深くなる。
こういう人を人格者と呼ぶのかと思う。
俺が同じぐらい歳を重ねた時、はたしてこんな風になれるだろうか。……無理だな。
限りなく不可能に近い仮定を瞬時に打ち消して、俺は考える。
獅賀貴嗣が怒ったのは、それがおそらく骨董に関わる案件だったからだろう。
あるいは、線引きは他の事柄にも及んでいたのだろうか?
かの老人が許せなかったこと。
罪人。不義なる富。死の元に開かれる罪……。
思考の海に潜った俺の意識は、再び霧小路家の祖父の声に引き戻された。
「そういえば、中学校時代の恩師がいまはこちらに住まわれていると、獅賀さんが仰ってましたね。その話はもうご存知でしたか?」
初耳だ。
織目さんとミシェルに目を向ける。しかし、二人も知らない情報のようだった。
「そうですか。なら、その方にお話を伺ってみてはいかがでしょう?」
『あ、会えるのですか?』
「ご高齢なので覚えていらっしゃるかはわかりませんが、会ってお話しするぐらいは大丈夫だと思いますよ。あとで住所をお教えしましょう」
「……おじいちゃんも、知ってる人?」
「……まあ、この辺りではいろいろと有名な人だからねえ」
うん……?
どういう意味だ?
よくわからずに目を瞬かせるが、霧小路翁はただ穏やかな笑みを浮かべるだけで、詳しい説明はしてくれなかった。
◇
霧小路邸を出発した俺たちは、コンクリートで舗装された緩やかな道を下る。
獅賀貴嗣の恩師だという人物の家は、山から徒歩で十五分くらいの場所にあるという。
わざわざバスを出してもらうのも悪いので、みんなで歩いて向かうことにした。
「そういえば暁彦、『朧森の亡霊』って話は知ってる?」
「なんだそれ」
「入霞に伝わる怪談だよ」
ガードレールの向こうに広がる森を見下ろしながら歩いていると、これからイタズラをする子供のような表情で大和が話しかけてきた。
またそれか。本当にその手の話が好きだな、こいつも。
怪談フリークじゃない俺が、よその土地の怪談など知るわけがない。
大和も承知の上で訊ねたのだろう。
要は、単にこいつが話したいだけなのだ。
俺は首を振る。霧小路さんがさりげなく距離を取った。
「昔、入霞は小さな藩の中の有名な湯治場だったんだ。そこの大店の旅籠……ってわかる? 現代で言うと、旅館みたいなものだけど」
最初からそう言え。
単語の響き的に、魚屋の話でもはじまるのかと思った。
「その旅籠屋の娘が、ある日、店の番頭さんと恋に落ちた。けれど二人の仲に不満を持ったのが旅籠の主人。野心家の父親は、自分の店をさらに大きくするために、一人娘をお代官様の息子に嫁がせてしまうんだ。もちろん番頭は抗議した。どうしても愛しい人を諦められなかった彼は、ついに代官の屋敷に乗り込んでしまう。……でも、庶民の使用人がそんな暴挙に出てただで済むわけがない。
結局、番頭は捕まり、娘の必死の懇願も虚しく――こう」
大和が首を括るジェスチャーをして、前方から小さく悲鳴があがる。
視線を向けると、霧小路さんが織目さんの腕にしがみついて震えていた。
怖いのなら訊かなければいいと思うのだが……。
「でもこの話には続きがあってね? ……出るんだ」
「なにが?」
「決まってるじゃないか。これだよ、これ」
恨めしそうな顔を作った大和が、両手をだらんと前に垂らす。
ああ、そういう……いちいち古いな、お前も。
「丁度、そこの森なんだ。朧森。月の明かりも届かない深い木々の陰に、いまも愛しい人を探し求めてさまよう番頭の魂が、ぼんやりと光を浮かべて……」
「それはおかしくないか? さすがにその娘だってもう死んでるだろう。なのに、どうして番頭はいつまでもこんな所にいるんだ? 旅館の娘はここの森で行方不明にでもなったのか?」
「……いや、そんな話は聞かないけどさ…………暁彦って、つくづく怪談を楽しめないタイプの人間だよね。忘れてたよ」
まあ怖い話が楽しいと思ったことはないな。
そもそも死んだ人間が長年成仏もせず、自分とはまるで無関係な人間を驚かせ続けるという行為に、なんのメリットがあるのかわからない。
ポイントでも貯まるのだろうか。
「でもさ……実はその怪しい光、最近になってもまだ目撃されてるんだよね」
「そうか」
「まったく興味がないって気持ちをたった三文字で表すのやめてよ!」
うるさいやつだな。
実際に興味がないんだから仕方ないだろう。飽きたんだ、この話。
『あの……』
困ったような声が聞こえた。
顔を向けると、霧小路さんと桂姉がこちらを見ていた。
『霧小路さんが怯えていらっしゃるので、怖いお話しはもうその辺で……』
「暁彦ちゃん、女の子が怖がることをしちゃだめよ? かわいそうでしょう」
二人に窘められる。
なぜだ。俺は話を聞かされてただけなんだが……。
理不尽な扱いに愕然としていると、勢いよく霧小路さんが顔を上げた。
涙を浮かべた彼女は――完全に、目が据わっていた。
「そそそそんなことは、ありえない……っ! 朧森は、水鳥の訪れる、綺麗な森っ! も、もももし、あ、悪霊が、ででで出ても、森のミヨシ様が、守ってくれ、る……っ!!」
「大丈夫だよー? 霧小路さん。ほら、いざとなったさ、アキにぃとヤマトガワさん生け贄にして、みんなで逃げよ? ね?」
「ふ、蕗ちゃん? おれの苗字は、有栖川で……」
「うっさい黙れ」
女性陣のジトッとした視線が突き刺さる。
ひどいとばっちりだ。
なんなら俺だって被害者だというのに。
だが、こうなってしまえば男にできることなど一つしかない。
「……す、すみませんでした」
平身低頭。
誠心誠意。
並んだ大和と二人、深々と陳謝した。
……あとで、このバカはそこら辺の湖に沈めよう。
◇
山を下りると、あとはひたすら平坦な道が続いた。
温泉街から離れているせいか、はたまた時間帯が中途半端だからなのか、この辺りは人通りもほとんどない。
中天に差しかかった太陽は、いよいよ夏の暑気を振りまきはじめている。
「……暑いな」
『暑いですね……』
首筋をハンカチで拭った織目さんが同調する。
まあ、あんたはとくにそうだろう。他の誰よりも頭の着こなしが重厚だ。
本格的に夏になったらどうするつもりなのか。
まさかこんなところでも問題の解決を焦らされるとは……さっきの怪談じゃないが、だんだん肩が重く感じるようになってきた今日この頃。
できればこれが重要な手がかりであってくれ、と心から願いつつ、あちこち舗装の剥がれた側道を歩いていると、ふいに霧小路さんが声を上げた。
「あ……あった。あれ……」
蕗たちのフォローもあって気分を持ち直したらしい霧小路さんは、前方の一点をまっすぐに指差した。
周囲には芒野原とでもいうべきか、背の高い植物がどう見ても自然繁殖のすえ、自由気ままに生い茂っている。
秋に訪れればまた趣があるのかもしれない。
一面に広がる水田の隅で、おじぎするような芒を夕陽が照らす様は、まさに日本の原風景と言えるだろう。
しかし、現時点で青々とした草にぼうぼうと取り囲まれたそこは、控えめに表現するとしても「未開の地」感が拭いきれなかった。
その中央の開けた場所に、ぽつんと――――奇妙な形の、一軒家が。
「……よし、帰るか」
「いやいやいやいや……なに言ってんのアキにぃ? なんのためにここまで歩いたと思ってんの?」
バカなの? とでも言いたげな蕗の視線が突き刺さる。
けどなあ……
問題の家は、古めかしい木造建築だった。
それだけなら珍しいという感もない。都会の住宅街ならまだしも、昔ながらの日本家屋は幸ヶ瀬にだって存在する。
ではなにが奇妙かといえば……なにより、その形状と配色。
雨後の木の根元にぽこぽことキノコが生えたような形のその家は、さながら寂れた遊園地の趣味の悪いアトラクションのような外観を呈していた。
あの外観が増改築の結果だとすれば、まさに悪夢である。
さらに使用した材木が違うのか壁面によって色も異なる。正直、いつ崩れ落ちてもおかしくないような様相だ。
あそこに人が住んでるのか。
そもそも、あれは住居として認められるのだろうか?
幸いにして近くに他の家はないが、俺なら金を積まれたってあの家の住人のご近所さんにはなりたくない。
回覧板を届けるたびにスリリングな気分を味わえそうだ。
「……あの家で本当にあってるんですか?」
「間違いない……こっち方面には来たことないけど、住所は、ここであってる」
できれば霧小路さんの間違いであってほしかった……。
そんな俺の願いもむなしく、一行はぞろぞろと外見がパニックハウスな家屋を目指して歩きはじめた。
勇気あるな、みんな。
高さのまちまちな垣根に設置された門の前に着くと、中から言い争うような声が聴こえてきた。
まだ若い。子供だろうか。
これまた古いチャイムを前に、周りを見る。
みんなが「どうぞどうぞ」と手で促してきた。
ベテランの芸人か、お前らは。
止むを得ず俺が代表してチャイムを鳴らす。
しばらく待つと、引き戸が開いて中から小太りの男性が顔を出した。
六十代頃と思わしきそのお爺さんは、俺たちを見てギョッとした顔をする。
まあ、この数の見知らぬ若者が自宅の前に並んでいたらそうなるだろう。なにより、こちらには言わずと知れた異形がいる。驚くなという方が難しい。
「あー、えっと? …………なにか、ご用でしょうか?」
「……急な訪問になり、申し訳ありません……わたしは、霧小路潤と、申します」
「きりのこうじ……ああ! 霧小路さんの! ついさっき町会の人から連絡をいただきましたよ」
お祖父さんが連絡してくれていたらしい。
どうやら警戒が解けたらしい反応に、ほっと胸をなで下ろす。
「すみませんね。いまこの家は電話が止まっているもので、私の携帯しか繋がらんのです。霧小路さんも何度か電話してくれたそうですが……帰ったら、手間をおかけして申し訳ないとお伝えいただけますか」
電話が止まってる……?
どういうことだ。利用料金でも払い忘れたのか。
妙に引っかかる物言いに疑問が浮かんだ。
「それで、うちの母に話を聞きたいという話でしたね」
「はい……小金井、ミエさんは、ご在宅ですか?」
「そのことなんですが、どうも連絡が行き違いになったようで……母はいま、この家におらんのです。一昨日から入院しておりまして」
なん、だと……?
「なにぶん急な入院だったもので、まだご近所の方にも連絡できておらず……せっかく来てもらったのに、すみません」
「あの。不躾な質問ですけど、入院はなにかご病気で?」
「いいえ! ただの骨折です。転んだ拍子に足をやってしまいましてね。本人は嫌がったんですが、歳も歳ですし、精密検査も兼ねて入院することになったんです。……せめて一緒に暮らしていれば、こんな大事にはならなかったんですけどね」
お爺さんが残念そうにつぶやく。
その表情には、どこか疲れが滲んでいるように見てとれた。
いまの話を聞く限り、頑固者のお婆さんなのだろうか。
だが、問題はそんなことより恩師の不在である。
重要そうな手がかりを放棄するのは惜しいが、まさか病院に押しかけるわけにもいかない。
さてどうしたものか……。
「小金井さんは、獅賀貴嗣という人を知りませんか?」
「シガ? ……はて、どこかで聞いたような気も」
大和が切り出すと、小金井さんは腕を組んで考え込んでしまう。
おや? ……これは、期待してもいいのだろうか?
しかし、そんな淡い希望はすぐに打ち砕かれた。
「すみませんな、どうも思い出せんようです」
「そう、ですか……」
「おそらく母とご縁のあった人なのでしょうな。学校の教師をしていたせいか、母を訪ねてくる方は非常に多いのです。それに、私も三年前に会社を定年退職してこちらに帰ってきたばかりで、母の身の回りのことはまだ把握しきっておりませんで……」
小金井さんが申し訳なさそうに言う。
仕方のないことだと思うが、これで本当にヒントになりそうな情報は消えてしまった。
「――だから! お前はごちゃごちゃ考えすぎなんだって!」
「兄さんが考えなさすぎるんだよ! とりあえずすぐ森に行こうとするのはやめろ! もう二回も空振りだったんだから!」
そしてなにやら家の中の口論が激化していた。
小金井さんも忙しそうだな。これは、さっさとお暇した方がよさそうだ。
「おじーちゃん。揉めてるみたいだけど、なにかあったの?」
おい、余計なことを訊くな。
「いやあ……母がまた無茶なことを言いましてね。そのせいで私の孫たちがさっきから………………ハッ」
小太りの老人が“カッ”と目を見開く。その鬼気迫る顔を直視した蕗が悲鳴を上げた。
……嫌な予感がする。
こう、近頃よく感知している、例のあれが。
「そ、そうだ……子供の方がわかりやすいのなら、この子たちに……」
「小金井さん? あの、今日はありがとうございました。忙しそうなので、俺たちはこれで」
「――あいや待たれえいッ!!」
なんだよ。なんですか、その、いきなり武士っぽくなる芸風。
「……霧小路のお嬢さん? よければ、病院の母と面会できるように取り計らいましょうか」
「え…………そ、それは、大丈、夫……?」
「もちろんですとも。自分の意向を曲げられた母は現在、家族でも近づくことを躊躇うほど激烈に不機嫌ですが、そこは……私がなんとか…………命がけで」
小金井さんの顔が悲愴な色に染まっていく。
そこまでなのか。いったいどんな婆さんなんだ。……熊とか片手で仕留めちゃう感じだろうか?
なにより、そうまでして成立させたい取り引きの内容が気になる。
「お願いしますよお……もしあの子たちが課題を解けなければ、なぜか私まで母に叱られるんです…………だいたい、あの人は昔から横暴なんだ。兄さんたちもいっしょに遊んでいたはずなのに、いつも私だけ怒られて……一人だけ勉強ができないからって、私ばかりが損をする。私だって努力はしたんだ。それなのに…………私なんて……」
「あ、あの、落ち着いてください……まずは深呼吸をしましょう? 大丈夫ですから、ね?」
ダークサイドに堕ちかけた小金井さんを、桂姉が必死に堰き止める。
そうだな。さすがに俺も、中学生みたいな理由でやさぐれる六十過ぎの老人は見たくない。
『……課題というのは、どういうものなのでしょう?』
おずおずと織目さんが訊ねる。
申し訳なさそうにこちらの顔色を窺っているが、この場合は仕方ない。
どうやらヒントへの一番の近道は、この問題を突破して進むしかないようだ。
……溜め息を一つ。
俺は心配そうな織目さんに頷いた。
やがて、情けない表情を浮かべた小金井さんが、自身も困惑を隠しきれない様子でのろのろと口を開いた。
「私もよくわからんのですが、母は……『“ふたごの月”という童謡の正しい解釈を示せ』と、私たちに命じたのです」
こうして、また新たな厄介事が幕を開けた。
このお話に出てくる物の名前などを調べながら読んでいる、という人がいらっしゃるかどうかわかりませんが、非常に稀少な物好きのかたのために先に言っておきますと『ふたごの月』というのは当物語のオリジナルです。
広大なネットの海をいくら探しても出てこないと思われますので、遭難にはご注意を。
今回のアンティークネタはまた別にあります。




