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なんで俺が、メイド科に!?  作者: LOVE坂 ひむな
第二章 世界分割の巻
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デデリ城御前試合 終幕

前回:巫女さんが闘う

「ラチャラチーさん凄い動きしますね。まあ俺は勝ったけど」 


 なんか無限再生する岩の人、ディルディロユを派手に壊しまくっている。

 村が焼かれた時いた人で、村のはぐれ巫女であるラチャラチーにとっては因縁がある相手である。

 前に見たときとだいぶ印象が違って、丁寧な感じがする。戦い方にも粗暴なところはない。前に見た同類が粗野だったから、また体が岩でできているからといって、先入観にとらわれるものではないな。


「祈祷師なのに拳闘士ってどうなってるんですかね」


 ふつう、祈祷師というのは拳を握らないものだ。戦闘に参加する場合、強化などにより支援を担当する。どういうことだろう。


「知りたいか?」


 電電先生が思わせぶりに笑んで問う。


「知っているんですか、電電先生」


「あくまで私の解釈だがな。一般論として祈らない者というのは、神を認めないか、神以外の存在物を認めないか、その他の三種類に分かれる」


 さすがは電電先生、鮮やかな分類だ。その他とかいうものを認めれば何でも数種類に分類できる気はした。大した問題ではなかろう。


「おそらく巫女ラチャラチーは神以外を認めていない」


「どういうことですか」


「それについて語ると宗教際教学論争について千年ほど遡ることになる」


「もうちょっと手軽なのありますか」


「彼女は一挙手一投足を祈祷の代わりとしている」


 分かりやすい。それって可能なんだろうか。やっている人をそう見ないということは、普通できることではないのだろう。


「そんなことができるんですね」


「普通はできない」


「なんでラチャラチーさんはできるんですかね」


「露骨に話題を転換してもよいかな」


 自分で露骨とか言うのか。俺は電電先生の下僕といったところがあるし、許可とかそういうのは重要なものではない。


「嫌だと言ったら?」


「ミコトくん。君には前世というのがあって、そこから人格的に連続していると考えているだろう。実は記憶と一部の力を受け継いでいるだけで、意欲とか意思とかはミコト・ヒシュマーシュその人のものなのだ」


「え? 何? どういうこと? 俺誰?」


 かなりすごいことを言われた気がする。どういうこと?


「すまないな。巫女ラチャラチーの特異性について、千年前の教学論争の話に戻ろう」


「いやもう教学論争とかどうでもいいんですけど、え、何ですか?」


「君は、君だ」


 知っている。


「確かに記憶として、最強のパン屋であるダトゥヤールという人物だった記憶を、記憶しているんですが」


「ではその記憶は君の行動をどういう風に定めていったかな。確か冒険がしたくて転生したと聞いた。君はそうした記憶と整合的に行動しているかな」


「お言葉ですけど、俺は常に俺の意思で動いていますよ。冒険がしたいとかについては、実際には安心安全に生きていたいというので前世から一貫していると」


 こういうこと自分で言うの嫌だなあ。


「その意思と記憶は整合しているかな。というかどこまで前世というのを覚えている?」


 それはもう、いくらでも詳しく覚えている。まず、なんか山奥でパン焼いていた。あと、リーコ・ラオランゴっていう狼っぽい知り合いがいた。今は敵対している。他に冬って人とか裁き手って人もいた。


「思い出せない」


 思い出せなかった。これは何? 俺は誰?


「そうだろうねえ」


「でも、身体に焼きついた動き方などは確かですよ。いや、でも、これを身につけた記憶も無いし」


「いいんじゃないか。君は君が思う以上に若かった。あるいは幼かった。何だってやれるさ」


 そういう話なのかな。


 俺が思いがけず人生というものについて考えさせられていると、広場が歓声に湧いた。


「決まったァー! 飛び入りの祈祷師ラチャラチー、またしても勝利!」


 岩の人を倒したらしい。すっかり地形の変わった広場で、朗らかに握手して互いを讃えあっている。

 打ち解けあえるような感じになったのか。


 かくして大盛況のうちに御前試合は終わりを迎え、世界もまた終わりを迎える。

 人影が一つまた一つと消え、役目を終えた街並みは土へ還ってゆく。


「いい感じだね。勇者生存の時間根(ルート)だ。次の次かその次あたりでまたこの王国に来よう。そこで決める」


「次はどうするのですか」


 合流した巫女ラチャラチーが尋ねる。


「戦力を強化したい。運が良ければ勝利の見込みがだいぶ上がる」


 運次第なのか。


「ただし、運が悪ければ落ちる。楽しみにな」


 何やらギャンブル要素があるようだ。安心安全に運びたいものだけどな。


「ならばきっと勝利の見込みは上がりますよ」


 ラチャラチーは何か確信があるようだ。


「私がそう信じているのですから」


 特に根拠はないらしい。

 無根拠にも拘らず信じてもよいと思わせてくるのだから敵わない。俺の方が自分を見失って落ち込んでいるのか。


 あるいはこれが、行動で信念を納得させることこそが、祈らじの祈り手であるということなのかもしれない。

 一応、一般的な用法において誰それルートのルートとは root ではなく route だと思います。

 武闘大会編つらすぎ 二度と書かん

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