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なんで俺が、メイド科に!?  作者: LOVE坂 ひむな
第一章 学園の巻
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ドラゴン教終末派

 学院が燃えている。


「学院が燃えている——」


 焼き固めた土と木でできた、耐火性能には気を使ってあるはずの学院が燃えているのだ。


「学院が燃えているなんて——」


 学院が燃えているのは自然発火によるものではもちろんない。魔術的な火を何者かが放ったのだ。


「一体誰がこんなことを——」


「俺たちだぜ!!」


 話が早い。反体制を主張する髪型で反体制を主張する装身具を身につけた反体制的な男女たちがこちらにやってきた。


「この白魔術は終末派——」


「知っているのかズィロ少年!?」


「ああ。ドラゴン教終末派の術式だ。でもこいつらは無軌道無神論者に見えるな。多分この魔術が本来発揮できるはずの力を出せていないんじゃないか」


「誰かの入れ知恵で破壊行動に出ているということか」


 男女たちはテキトーに選んだ一人を除いて、見た目苦しそうに見えかつ治療に手間がかからないように痛めつけておいた。残る一人に尋ねる。


「どんな奴がお前にこの魔術を教えた」


「ひっ——クソッ誰がお貴族様なんかに教えるか!」


 どうせ大した情報持ってないくせに出し渋るなよ。面倒だな。


「へへ、お前らはグワアアアーーーーー!!!!」


「これは外傷を残さず苦痛だけ与える魔術だ。本当は見せびらかすようなものじゃないからあまり使いたくなかったが」


 マリーアお姉様の家、イェスペッルア家に伝わっていたやつである。


「わかった話す! 顔は隠していたがなんか緑色の宗教っぽい服着てて背の高いやつだったよ」


「服に太陽のマークがあしらわれていなかったか? 中央の円から線がいくつか出ているはずだが線はまっすぐか? その数は」


「覚えてねえよそんなウッ!!!!」


 ダメそうなので気絶させた。やはり放てば戻ってこない矢のような手駒なのだろう、何の情報も相手に渡らないよう用心深くやっているらしい。緑色の宗教っぽい服という言い方から察するに何教の者だとかも名乗っていなかったようである。こいつが宗教に無関心なだけかもしれない。裏にいるのが本当に終末派かどうかもわからないままだ。


「魔力の流れを辿るか。この時代だと辿れる人間が少ないのもあって偽装されることはないし」


 そうしていると校舎の反対側から破壊音が聞こえてきた。行ってみると——


「ギギ——当ゴーレムはリグランダ魔工業とは無関係に破壊行為に及んでいます」


 巨大な土人形(ゴーレム)が暴れていた。リグランダ魔工業はひと昔前工業ギルドに対抗する形で立ち上げられた国際企業で、リグランダ一家が支配している。土人形にはリグランダ魔工業の印が刻まれていた。


「ギギ——当ゴーレムはリグランダ魔工業とは無関係に破壊行為に及んでいます」


 右腕が大きく振るわれ校舎に叩きつけられる。左腕に固定された弩から土の矢が射られる。弩は魔術で自動化されているようだ。土人形には単純な仕事しかさせられないので精度は悪いが、的が大きいのでどこに射っても当たるこのような場合には有用な兵装と言えた。


 とりあえず無力化したがこれも誰が仕向けたのかわからない。無軌道無神論者も土人形も明らかに替えのきく手駒だ。これで問題が解決したと考えるのは楽観が過ぎる。


「君たち! 大丈夫だったか!!」


 王都の騎士団員が駆けてきた。来るのが遅い。


「——第一学院の校舎のような堅牢な建物を破壊できる魔術をチンピラが使うというのは異常だな。土人形も怪しい。今回は君のような強い子がいたから何とかなったが学生に戦いを強い続けるわけにも行かない。今、当団が学内に留まれるよう団長が校長に掛け合っている」


 そういうことなので土系の魔術でサクッと校舎を修復し、戦闘に参加できないマリーアお姉様を置いて無神論者に至る因果の魔力流を辿っていくことにした。


「ここは——」


 特にひねりもなくというか、終末派の事務所だった。


「こいつらが親玉なのですわね!? 火を放ち返してやりますわ!!」


「よそう。堂々と放火をすると僕たちの方が悪者だ」


 これはズィロ少年の言う通りである。


「あんたたち第一学院の学生と見えるね。あたしはここの主だけど、何か用かね?」


 後ろから話しかけてきた者がいた。老婆だ。


「人生に迷った——って風じゃないね」


「実は学院にチンピラが襲撃をかけてきたんですよ」


「おやおや、それは災難だったねえ」


「無神論者にも関わらず強力な白魔術を使っていまして」


「ヘェ〜そりゃ変わったことがあるもんだ」


「ドラゴン教終末派の術式だったんですよね」


「ふんふん、それで?」


「この事務所と魔力流が因果で繋がっているんですよね」


「あら〜チンピラがウチの魔術をねえ。大変だわあ原因を調べなきゃ」


 老婆から情報を得るのは困難に思えたが、


「ギェエエエ!! あああ分かった話すとも! 嘘偽りなく知っていること全部!」


 根気強く交渉を続けると素直になってくれた。


「王都の闇の勢力図が書き換わったのさ。クゥ教の宗教屋がガタガタになったことでね」


 クゥ教は森の民系の信仰だ。


「奴らの強力な威力部門、三獣士や四天王、銃使いたちといった強い個人の集まりは王都の裏をほぼ支配していて、それゆえ裏は平和だった。ところが最近そいつらが軒並み姿を消したと分かってね。抗争が始まるというわけさ。チンピラはウチの手駒で合ってるよ」


 ユルクロニの組織だろう。いなくなったらいなくなったで迷惑かけるとか最悪だな。思わずため息が出るのだった。


***************


「マキム広場で噴火が起こった!? 噴火って火山の噴火!?」


「旧市街の中心から世界樹級と思われる魔木が出芽!! 急速に生長!!」


「あの旋風はテューポーン型転生者——!」


「知っているのかズィロ少年」


「30ヤーリ級のゴーレムが出現!?」


 色々起こりすぎだろ。これ全部反社会勢力の仕業なの? 裏とか闇とか言いながら思いっきり表立って動いてんじゃねえか。

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