61話
今回はユニークモンスターの話です。
「ドラゴンゾンビを倒しに行こう」
俺は、夕飯が終了し食休みをしている皆の前で突然言う。
「と、突然ですね。何か対策は出来たのですか?」
パステルが聞いてくる。
「ああ、解呪の札があっただろう?アレがかなり枚数集まってきたんだ。アレを体に貼って挑めば接近時の呪いは消えるみたいだしね」
効果は実証済みだ。ラスダンのドラゴンの血を浴びて腐敗しかけた時に使ったら進行が止まった。ちょっと腐ってたけど。
「なるほどねー。なら、ブレスだけに気をつければいけそうね」
タリスが理解し、追加してくる。ブレスは当時の後衛組みが即死したほどだ。避けないと危険だろう。
「ティアは……4階層だから無理だよな。接近するのは俺とネクとエンにしようと思う。他のメンバーは全員遠くから魔法を使ってくれ」
震えるティアを見て除外する。
「メンバーは、俺、ネク、エン、タリス、パステル、リムで行こうと思う。パステルとリムはペアになって周囲に雑魚が寄ってきたらそっちの掃除を優先してくれ」
ネトゲとかでもあったが、周囲の雑魚をどうするかで勝敗を分けたりもする。ただぶつかるだけだとしても回避の邪魔になって失敗すると危険だ。
俺たちは全員肌に直接、解呪の札を貼るとコクに頼んで前衛の武器に聖属性を付与する。そして俺たちは4階層の4階へと移動した。
「探知でドラゴンゾンビを確認。結構近いな。周辺に雑魚が居るからそれを倒してから挑むぞ」
皆に伝える。倒した相手が勝手に湧くわけではないから後から寄って来る相手に注意すればいい。ドラゴンゾンビを中心に円状に移動して掃除をする。
回復アイテムを使用し万全の準備を整えると、俺たちは初のユニークモンスター討伐に向けて走り出した。
俺は左、ネクは右、エンは正面に陣取る。ネクは相変わらずの大きさの炎王の鎚を使い振り回している。俺は地味だが、確実にダメージを与える。エンは攻撃よりも耐える方向で頑張っている。
魔法組も周囲を警戒しながらドラゴンゾンビの頭目掛けて炎や聖属性の魔法をぶつけている。ドラゴンゾンビの周囲の靄に当たっても腐敗しない事をみるとちゃんと解呪の札は効果あるようだ。
ドラゴンゾンビも周囲を前足で攻撃しているが全てエンによって防がれる。俺は尻尾の攻撃にさえ気を付ければいい。その攻撃もまた前振りが大きいので回避は余裕だ。
そうやって調子に乗って集中砲火をしているとどんどん肉の部分が剥がれ落ちていく。骨だけになった場所は維持出来ないのか徐々に崩壊していく。そうしてドラゴンゾンビは頭を失うと理性を無くしたのか暴れだす。
だが、その攻撃は自滅とも言えるような攻撃で自分に付着している肉を剥がす。そうしている内にドラゴンゾンビは全ての肉を失い崩壊していった。
「……倒したのか?」
余りに呆気ない幕切れである。以前全く駄目だったのは一体なんだろうか。ドラゴンゾンビが崩壊した場所を見ると1本の剣があった。これが噂のドロップアイテムだろう。それを拾ってアイテムボックスへと放り込む。
そして俺たちは意気揚々と帰還した。
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「今度はヴァーチャーズを倒そう」
別の日に突然の宣言をする。夕飯後にお茶を飲んでいた時だ。タリスがお茶を吹いて咳き込んでいる。
「いきなりどうしたんですか?あれの対策が解かったのでしょうか?」
パステルが聞いてくる。アレを見た立場としては必須だと考えるだろう。
「ドラゴンゾンビと戦った時思ったんだが、アレって近付くと使ってこないんじゃないか?ブレスも使ってこなかったし」
安易な決め付けは危険だと思うが、アレを使ってくる時はタイムラグがあった。接近状態で使ったら集中攻撃されるだろう。
「確かにそういう面はありそうですが……確信がないと怖いですね」
何人かは倒した、という話は聞くがそれら全てが正攻法だった。盾役が引き付けてアタッカーが攻撃、後衛が回復と攻撃を行うという。
「接近してから使われたという報告がないんだよな。だから今回は正攻法で行こうと思う」
そう告げる。結局怯えていては戦いにすらならない。
「コク、聖属性を防具に付けるとしてどれくらいの耐性になる?」
属性耐性は始めてだ。確かそれ以外の属性に弱くなるから余りお勧めは出来ないだったか。
「うーん、無効化は無理かな。でも大分強く出来ると思うよ」
コクの大分は本当に強いのだろう。武器に闇属性と合わせて付けていきたいと思う。
「それなら全員の防具に聖属性と武器に闇属性を頼めるか?明日はタリスは休みだから一緒にがんばってくれ」
そういうとタリスがコクに連行されていった。明日は起きられるのかね。
翌日、案の定タリスは起きてこなかった。可哀想だが寝かせておこう。
「今回は周辺の掃除をしていたらレーザーが来るかもしれないから、ヴァーチャーズへ辿り着く道にいる敵だけ一掃する」
ここで一旦切る。周囲を見渡しても特に異論は無いようだ。
「参加メンバーは、俺、ネク、エン、クウ、リム、パステルだ。リムとパステルは前回同様周辺の警戒と掃除も頼む。それ以外はヴァーチャーズへ張り付く」
参加メンバーと役割を伝えていると、コクが聖属性を付与されてた防具をアイテムボックスから取り出す。
「丁度いいな。これが聖属性の防具らしい。全員着用してくれ。コク、前衛に武器を頼む」
「はーい」
コクが返事をし武器を取り出す。鎚、剣、斧、弓だ。今回炎王の鎚は敵のサイズが小さい為使えない。弓は飛行された時に使う。
「よし、準備は整ったな?出発しよう」
俺たちは5階層の4階へと移動する。
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(苦戦する……そう思っていた時代がありました)
現在、ヴァーチャーズに取り付きエンがメインで盾役、俺とネクで攻撃を仕掛けている。パステルとリムは周囲に雑魚が居ない時に魔法を飛ばしてくる。クウは弓と回復担当だ。
ヴァーチャーズは接敵すると一切あのレーザーを発して来ないのは本当だったようだ。そうなるとただの硬い剣を使う天使と変わらない。翼を序盤で切断できたのも大きいと思う。
(エンの防御が硬いな。メイン盾が安定する狩りはこれほど楽なのか……)
さすがに比較すると自分の実力不足を実感する。エンはどちらかと言えば完全に防御ばかりで俺のように攻撃を仕掛ける真似はしない。どちらが良いかは何とも言えないのが正しい。実はこっそり自己に強化魔法を使っていたりもするのだが。
ヴァーチャーズを覆う膜のような結界にどんどん傷を入れていき、遂にはそれを貫通しヴァーチャーズの首に剣が刺さる。好機と思い俺は盾を投げ捨て剣を両手で持つと大きく横に凪いだ。そしてヴァーチャーズの首が飛ぶ。
それで力天使は力尽き消滅する。残った所には鎧が置いてあった。それをアイテムボックスへと投げ入れると俺たちは勝利を祝う為に帰還する。
ドラゴンゾンビは4階層で出たら5か6階層くらいの進捗で倒せます。
ヴァーチャーズは5階層で出たら6階層くらいですね。
ラスダンに入ったりオリハルコンの装備を得ている彼らには楽勝だったようです。
聖剣はウーツ鋼より強くてオリハルコンより弱い。
一応付いている聖属性は強力なので、弱点の敵であればオリハルコンに聖属性を付与したのより使えます。
力天使の鎧は聖属性の鎧です。オリハルコンより強力ですが、装備可能な種族が天使のみなのでクウ専用です。




