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迷宮と掲示板  作者: Bさん
6章 水中の迷宮
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52話

 翌日、準備を終えミーティングに入る。コクが気落ちしていたが、その辺りはスルーしておく。


「今日の探索は3階だ。ユニークはまだ出ないが、沈没船があると言われている。そこには海賊の恰好をしたスケルトンや物理攻撃を無効してくるバンシーが確認されている」


 言った後、周囲を見渡す。物理無効の幽霊と聞いてティアが震えていた。未だに治っていないらしい。


「スケルトンは大して強くないとの話だが、俺たちの装備は今付与をしていない。バンシーは魔法で片を付けてくれ」


 言い終えると、質問はないか見回す。特にないようだ。


「では、今日の探索を始めよう。安全第一で怪我をしないようにな」


 まるで遠足にでも行くような言い方である。そして俺たちは3階へと移動する。



 3階に移動し、忘れていた宝箱を開ける。特に問題はなく開けると、魔道具を使用して魔法陣へと入る。タリスに進路は任せ、探索を始める。しばらくはリザードマンや鮫、蟹の相手をしながら問題なく探索を続ける。水中戦にも慣れたものだ。もしかしたらこの迷宮で戦うと適応力も高くなるのかもしれない。


 探索を順調に進めていると半壊した船を見つける。あれが沈没船だろうか。俺はそれを指差すと行こうというジェスチャーをする。皆は頷いて俺についてくる。


 沈没船の近くについたが、周囲を見渡しても入り口が見当たらない。どこに入り口があるのか皆で調べていると魔法陣を発見した。どうやらこれで中に入るらしい。皆で魔法陣に立つと船の中へと移動した。


「ここは、水中じゃないのか」


 声を出せるようだ。そこは水中ではなく通常のエリアのようだった。濡れた服が肌にくっついて気持ちが悪い。魔道具の効果も同時に切れたようだ。


「では探索を始めよう」


 周囲を見回している仲間に声を掛ける。常に警戒をするとは良い使い魔をもったものだ。

 暗いので久しぶりにカンテラを取り出し全員に持たせる。探索を始めるもののスケルトンは弱いし、バンシーも体力が殆どない為あっさりと倒せる。6階層だというのにその弱さに拍子抜けしながら船を調べる。


「ぅ……ひっく……」


 何やら嗚咽のような声が聞こえる。バンシーだろうか?バンシーとはヨーロッパの方の伝承で見かける泣き女と言われる妖精だ。死者を事前に予測し泣いて知らせるんだそうだ。


 ここで遭遇したバンシーは誰も泣いていなかった。使い魔にしないとただのゴーストの様に思えるだろう。また特殊な個体なのだろうか。俺はその声に近付いてみる。

 そこには隅に背を丸めしゃがみ込みながら涙を流すバンシー?が居た。


「だ……誰ですか?」


 話しかけてくる。まさか迷宮で話せるモンスターがいるとは思わなかった。もしかしたらイベントか何かなんだろうか?


「あ、俺はスズキと言う。君は一体……」


 思わず動揺して名乗り出てしまう。特殊な個体なら使い魔にするのも手だろう。


「あ、あの……使い魔にしてくれませんか?ここは怖くて……」


 まさかの相手側からの打診だ。そんなのもあるのだろうか。


(拘束アイテムを使わないと個別認識出来ないはずなのだが……怪しいな、そういうモンスターなのかも知れない)


 拘束アイテムを取り出す。どちらにせよ捕獲できればそういうモンスターだったとしても使い魔にすることも出来るだろう。


「今から捕獲させて貰う。使い魔にするかどうかはその時決めよう」


 そう言うと、バンシー?は縦に何度も頷く。どうやら良いらしい。拘束アイテムを投げ付け捕獲に成功する。


(しかし何だな……泣いている女の子に丸い物を投げ付けるとか罪悪感が半端ないな)


 そう考えながら周囲を見渡すと仲間たちがまた増えるのか、という顔をする。


(仕方ないじゃないか。あれを倒せとか無理ですしおすし)


 そんな仲間達の視線を振りきり、探索を開始する。どうやらそれ以外変わった物はないようだった。魔道具を使用し魔法陣で船の外へ出る。

 その後、3階の探索では特に大変な事はなく順調に終了した。4階の魔法陣がある部屋に楔を設置すると俺たちは拠点へと戻った。



----------------------------------------------------


 拠点へと戻った俺たちはティアの出迎えを受ける。風呂に入りさっぱりすると新しい使い魔を捕獲した事を告げ、パーティは解散してから牢屋へと向かう。


 いつものように筒に拘束アイテムを投入すると、手足を縛られた少女が現れる。ゴーストのような怖さはない。普通の人間にも見える。


(幽霊でも縛られるのな……)


 この世界の不思議を新たに実感する。バンシー?はこちらを見ている。何か伝えてくるのかと待っていたが一向に喋らない。


「えーと、良く解からないのだが、使い魔にしていいんだよな?」

 

 そう言うとバンシーは頷く。難破船で言っていた事に間違いはないようだ。喋れないのであれば状況を聞きようがない。


「とりあえず、使い魔にさせてもらう。”テイム”」


 スキルを使用するとバンシー?の情報が入ってくる。どうやらこの子はアンデッドに囲まれて怖かったらしい。


(この子もアンデッドなのにな……)


 確かに正常な精神を持つ人があの船にいたら恐ろしく感じるだろう。だが、モンスターにそんな感情はないと言われている。どういうことなのだろうか?


 そんな事を考えながらバンシー?の拘束を外す。そのままバンシー?は立ち上がりこちらを見ている。身長は大体155cmくらいだろうか。丁度いい高さにあるので頭を撫でようとするがすり抜ける。やっぱり幽霊らしい。

 バンシー?はその様子をキョトンとした顔で見ている。傍から見たら変な人だろう。


「他の仲間にも君を紹介しよう。付いてきてくれ」


 そう伝えるとバンシー?を連れて大部屋へ連れて行く。名前を決めればならない。バンシー、シー、海、塩、エン


「お前の名前はエンだ。俺はスズキという。宜しく頼むぞ」


 名前を決めて伝える。それを聞いてエンは微笑む。どうやら泣いているだけではなさそうだ。


「ああ、エンに1つ聞きたいことがある。お前は空を飛べるのか?」


 紹介をする前に重要だと思うことを聞いてみる。エンは首を振る。どうやらゴーストとは違って飛べないらしい。一安心だ。


「それなら良かった。幽霊を嫌う子が1人いるんだ。一応紹介はするが、幽霊らしい事を余りしないでくれると助かる」


 そう伝える。拠点にティアの居場所がなくなったら余りに可哀想だ。エンは真剣な表情をして頷く。どうやらこの子も嫌われたくはないようだ。


 コタツまで戻り、皆に紹介する。バンシーと聞いてティアの顔が引き攣るが抱きしめて頭を撫でながら仲間だから大丈夫だと何度も囁くと落ち着いてきたようだ。


 エンを皆に任せて俺はパソコンへと向かう。ステータスの確認だ。


名前:エン

性別:女

種族:バンシー?LV1

職業:ファイター

種族適正

光属性弱化、物理攻撃無効


職スキル

熟練度最適化、勇気


スキル

古代魔法LV60(中位)、暗黒魔法LV60(中位)、精霊魔法LV60(中位)、盾術LV80、精霊魔具製作LV40


装備

武器:なし

盾 :なし

頭 :なし

胴 :霊体の衣

足 :なし

装飾:なし


(何だよ、この魔法スキルは……物理無効なのに盾で守るとか訳が解からん。って職業ファイターかよ)


 メイジならかなり光っていただろうに何故かファイターだった。この魔法スキルは一体何だろうか。


(いくらスキルがフリーダムだからとは言え、これはひどい)


 とりあえず、盾術を有効活用出来そうなナイト→ガーディアンにする。とりあえず、精霊魔具製作というのはわからないので保留しておく。後でコクと相談をしてみよう。


 スキルはコクが斧を使ってくれないので斧術を覚えさせ、魔法を使えるようなので魔法保護を付ける。パソコンのスキル欄を見ていると精霊魔具製作にnew!というアイコンが付いている。新たな機能なのだろうか。


 コクを呼び、新しい生産技能が増えた事を伝えると


「スズキさん、それを僕に下さい!」


 と珍しく興奮していたようなので、覚えさせる。変な物を作らない事を祈る。個人の部屋がないと可哀想なので、その分も追加する。だが意思の疎通が出来ない為、必要な家具が解からない。また家具を設置しても使えるのかどうかわからないのもある。


 一応皆も得ている物を片っ端から揃えてみる。タンスや本棚、テーブルやソファー、机と椅子を設置しておく。後で案内しておこう。


 ついでにと戦利品の処理をするが、目新しいものはないようだ。終了し、コタツへと戻ると、皆で何やら話し合っているようだ。エンへの教育だろうか。皆困ったような顔をしていた。


「どうかしたのか?」


 俺が聞くとコクが代表して言ってくる。


「何でも通り抜けちゃって装備はおろか雑貨すら持てないみたいなんだ」


 どうやら物を扱うのは無理らしい。だからこその魔法なのだろう。何故かファイターだが。


「食事はしなくても大丈夫なんだよな?」


 エンに聞くと頷く。どうやら食事が出来ずに消滅する事はなさそうだ。


「それならここで過ごしながらゆっくりと出来る事を探していくしかないな。慌てる必要はない」


 そう言いながら頭を撫でようとするがすり抜ける。結構寂しい。代わりにリムを膝に乗せて頭を撫でる。もはや癖みたいなものだ。


------------------------------------------------


【愛すべき】使い魔スレ part34 【使い魔たち】

 

741 名前:名無しさん

お前ら一番好きな使い魔ってどの種族よ

俺は定番だけどエルフ


742 名前:名無しさん

エルフはいいよね

美人だし、強いし

貧乳だけどさ


743 名前:名無しさん

え?うちのエルフは巨乳だけど?


744 名前:名無しさん

お前、外に出ろ


745 名前:名無しさん

許せないな


746 名前:名無しさん

巨乳エルフとかwwwwww

エルフ狩りじゃぁぁぁぁぁぁ


747 名前:名無しさん

俺はエルフも好きだけど獣人もいいな

犬耳可愛い

あと嬉しいと尻尾をブンブン振るのも


748 名前:名無しさん

犬型かー俺は猫だけどそっちも可愛いぞ

獣耳はやっぱりいいよな


749 名前:名無しさん

さすがにコボルトみたいなのはきついが

獣人くらいだと丁度良いよな


750 名前:名無しさん

は?既に猫耳メイド軍団がいるけど?


751 名前:名無しさん

猫に限定してたのか

他のもいいもんだぞ?


752 名前:名無しさん

メイドと言ったら猫に決まってんだろ

何言っているんだよ


753 名前:名無しさん

よろしい、ならば戦争だ


754 名前:名無しさん

お前ら落ち着けよ

エルフと獣人は定番過ぎるだろう?

この辺でドワーフを推しとく


755 名前:名無しさん

よう、ロリコン


756 名前:名無しさん

お前とは美味い酒を飲めそうだぜ


757 名前:名無しさん

使い魔談義って思いっきり性癖が出るよな・・・


758 名前:名無しさん

性癖の暴露程度で恥ずかしがる奴はこのスレに居ないだろ

変態ばかりだし


759 名前:名無しさん

それもそうか

俺は天使を推しておく、神聖っぽい存在を堕とすのっていいぞ?


760 名前:名無しさん

背徳感か

それもありだな


761 名前:名無しさん

ヴァンパイアの高いプライドを壊すのも有りだ

血を与えずに泣きそうな状態にして懇願させるとかな


762 名前:名無しさん

お前ら中々のSだな

だがそれはやりたい


763 名前:名無しさん

使い魔はどれだけ苦しくてもマスターに危害を与える事は出来ないからな

まぁ、程々にしとけよ


764 名前:名無しさん

あくまでそういうプレイとして終わらせるつもりだ

本当に苦しそうだったらちゃんと与える


765 名前:名無しさん

何だかんだで仲間でありパートナーだからな

無碍な扱いは出来んよ

深い階層に行くほどそう思うようになったわ


766 名前:名無しさん

おい、この辺で上級者とか来ないのか?

・・・アンデッドとか


767 名前:名無しさん

さすがにアンデッドはないわー

バンシーは可愛いけどさ


768 名前:名無しさん

見ているだけで触れられないんだよな

魔法タイプとして物理攻撃が無効だから凄く強いけどさ


769 名前:名無しさん

その代わり防具をろくに装備できないから魔法に弱いけどな


770 名前:名無しさん

そりゃそこまで回避されたら完璧な盾になってしまうだろう

魔法を使う敵がいない場所とか無双出来るぞ


771 名前:名無しさん

でも、バンシーがいるのって水中のあそこだろ?

欲しいけど水中はやりたいと思わないなー


772 名前:名無しさん

まぁな

あそこは前衛も後衛もないから結構きつい

水中散歩は面白いんだけどな


773 名前:名無しさん

モンスターが出なければいいんだけどな

そうしたらダンジョンじゃなくなるか


774 名前:名無しさん

モンスターが居なかったらデートスポットとして最適になりそうだ

神秘的な光景だよなー


775 名前:名無しさん

それを行ったら空中庭園もそうだろう

使い魔たちとピクニックとか行きたい


776 名前:名無しさん

クリア後の特典でモンスターのオンオフとか切り替えが出来ればいいのにな


777 名前:名無しさん

問い合わせで要望でも出してみたら?

要望を聞いてくれるのかはしらないけど


778 名前:名無しさん

それもいいな

皆で書いて送ってみようか


779 名前:名無しさん

ああ、そうしよう

その前にクリアが先だけどな


迷宮編での仲間はこれで最後になります。これ以上増えないのでどんどん仲間同士の交流などを進めていくつもりです。

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