46話
リムと拠点へと戻ると仲間たちが心配そうに寄ってきた。だが忘れない、お前らは真っ先に逃げた事を。
「この魔法は転移先を明白にして使用しないと危険だな。緊急時以外で使う時はちゃんと相談して使う事にしよう。
そう皆と一緒に話す。リムは顔を真っ赤にしながら強く何度も頷く。やりすぎただろうか。
「では、今日の探索は解散だ。明日に備えてくれ」
そう伝えるとネクとティアは弓の訓練へ、パステルとタリスは読書のようだ。リムは風呂へ駆け出していった。
俺はパソコンへと向かい、戦利品の処分をする。相変わらずコクの稼ぎが凄い。そういえば、クウの職業を変え忘れていたので、プリーストへと変更する。
本日の業務を終了し、コクとクウは何をしているのかと鍛冶場へ向かってみる。
(何か2人でやっているな。何だろう)
こっそり2人に近付く。何やら宝石を加工しているようにも見える。
「それは魔道具か?」
2人に声をかける。2人は肩を大きく震わせ驚く。そんなに集中していたのだろうか。
「うん、そうだよ。クウが魔道具を作れると言うから教えてもらっていたんだ」
コクが答える。どうやら魔道具の作成も始めたようだ。どの程度の宝石が犠牲になるか解からないが、売れるわけでもないからどんどん消化して欲しい。
「何が出来るか解からないが、がんばれよ」
それだけ伝え鍛冶場から出る。まだクウの表情はぎこちない。徐々に慣れて行ってくれるといいが……。
------------------------------------------------------
翌日、探索を再開する。面子も戦い方も前回と同様だ。転移魔法で前回の場所から始める事も出来たが、使用するのは控えた。
この階層を攻略してから魔法の練習をさせるつもりだ。ユニークに気を付けつつ探索を続ける。昨日と同様の感じの罠はあったが、転移する事はなかった。
順調に4階の探索を終える。一度、拠点へ戻って戦利品を確実に確保する。ユニークがどんな相手か見てみたくなった。
「ユニークモンスターってどんな相手か見てみたくはないか?」
拠点のコタツで休んでいる時一言呟く。
「そうですね。どんな見た目かくらいは確認しておいた方が今後戦う時の参考になるかもしれません」
パステルも同意する。リーダー、サブリーダーが同意したのだからほぼ決定だ。
「それじゃ、行ってみようか」
ボス部屋前に石を使って戻る。念の為に保険をかける。
「リム、何かあったらここに転移するようにイメージをしてくれ。遠くからの確認だが何が起こるか解からない」
リムに言って保険にする。リムは解かったのじゃ、と元気良く返事をしてくる。本当にわかっているかは知らない。
「では、極力通常の戦闘も避ける方向でユニークモンスター見物に向かう」
相変わらず綺麗な光景の迷宮に戻る。ユニークの居る場所はここから割と近いようだ。戦闘を避け、ユニークモンスターが見える位置まで来ると物陰に隠れる。
「あれが、ヴァーチャーズか……凄い威圧を放っているな」
遠くから見ただけでも解かるほど圧力がこちらまで届く。
「そうですね。全く勝てそうにありません。少し舐めていました」
とパステル。ティアとタリス、リムは無言で震えていた。ネクは良く解からない。
するとユニークモンスターはこちらを見て剣を振りかぶる様に上に持ち上げる。
「嫌な予感がする!俺とネクは正面へ、皆は俺たちの後ろへ来てくれ。ティアは俺とネクを後ろから念の為支えて欲しい。リムは転移魔法の詠唱を始めろ」
完全に直感である。杞憂であればいいのだが……と思いネクと並んで盾を構える。
するとユニークモンスターが居た方向から光のレーザーのようなものが近寄ってくる。俺とネクは何も言わずに盾を構える。ティアは俺とネクを後ろから押さえる。
すぐに光は盾にぶつかる。正確にはぶつかり続けている。持続的な魔法らしく、ずっと凄い力がこちらへかかってくる。ティアが支えてくれているが長い時間持ちそうにない。
転移はまだか、と思いながら踏ん張る。光が肌を焼く、地味に痛い。やっと転移魔法が発動したようだ。ボス部屋前に転送される。実際は数秒だったのだろが、生きた心地がしなかった。
「凄まじいな……」
盾が手から落ち、その場に座る。ネクもかなり疲労したらしく。装備の盾をアイテムボックスへ収納したようだ。
「うん……」
ティアが頷く。パステルは俺に回復魔法を使う。思ったより肌が焼けていたようだ。
「ドラゴンゾンビは対策を整えれば戦えそうではあったんだがなぁ……これは勝てる気がしない」
リムは俺が落とした盾を拾いアイテムボックスに入れる。タリスはティアが抱えているようだ。
ここに居ても仕方ないので、羽を使って拠点へと戻る。
--------------------------------------------------
「今日の探索は終了だ。明日のボス戦に備えてくれ」
今日の分の戦利品の処理とボスに関する新しい情報が無いかの確認作業を行う。
特にボスの情報は更新されておらず、打ち落として地面からの光に気をつけろ、らしい。
クウからの要望にあったでタンスと十字架が付いた祭壇を設置する。椅子もテーブルも無いのにどうするのだろうか。
その辺りの調整は本人に任せる。こちらからとやかく言っても仕方ない。
クウは人見知りをするのかと思ったが、魔道具をコクと料理をティアと仲良くやっているらしい。リムと一緒に何やらこそこそしているのは気になるが、仲が良いに越した事は無いだろう。
クウに家具を揃えた事を伝えると部屋に向かう。その場で要望が増えるかもしれないから一緒に付いてく。扉を開けるとさすがに殺風景である。何故か端っこにいくつか縫いぐるみが置いてある。
「その縫いぐるみは?」
こんなものあったっけかな、と思い聞いてみる。
「リムちゃんに貰ったんです。何でもネクさんとコクさんが作ったのだとか」
あの2人はこんなものまで作れるのか。コクの出品している物は全て任せている為どんな品物を出しているのか気になってくる。
「それで、家具はこれでいいのか?」
余りに殺風景だったので、聞いてみる事にする。
「はい、これで十分です」
クウはそう答え、祭壇の前で翼を広げる。あれがリラックスする姿勢なのだろうか。
「それじゃ、俺はこれで」
邪魔をしても悪いだろうと、立ち去りコタツまで戻る。日課の調合が終わる頃には夕飯の時間になり、のんびりとした夜が過ぎていく。
--------------------------------------------------
翌日準備を終え、ミーティングを開始する。
「ボスは天使型で最初は空を飛びながら攻撃をしてくる。そこはいつもと同じで翼を狙って叩き落して欲しい。地面に落ちたら今度は地面から光を発する攻撃をしてくる。その攻撃は事前に足元に魔法陣が現れるとの事。ここまでで何か質問はあるか?」
ここで一旦区切る。
「その魔法陣は見てから避けられるものなの?」
タリスが聞いてくる。
「ああ、発動するまでに2秒くらいはあるらしい。常に足元には気をつけて食らわないように避けて欲しい」
そう返答すると、タリスは解かったわ、と答える。
「他に質問はあるか?」
そう言いながら皆を見渡す。特になさそうだ。
「出ている情報はこんなものだが、いつも情報以外のトラブルが発生する。最後まで気を抜かないように頼む」
情報の通りに順調に事が運んだ事がない。困ったものである。
「スズキさん。面白い武器を貰ったから、試しに使ってみてよ」
そうコクから言われて受け取る。これは……。
「リボルバー式の拳銃。弾は6発、というか6発までしか耐えられないみたい。発射時の反動は魔道具を使用して一切なしだから使いやすいと思う」
無駄に高性能だな。しかし、使い捨てなのか。もったいない。
(こんなものを作るプレイヤーがいたのか……)
新しい装備を作ろうとするには発想は元より構造を理解しないと作れない。プレイヤーは日本人だけではないので、他国でこういった武器を作った事ある人が居るのかもしれない。
「しかし、良く手に入ったな」
この手の武器を自動販売で見たことはない。感心する。
「そこはまぁ……鍛冶仲間かな」
コクが濁しながら答える。奴等か。鍛冶スレのあいつらなのか。思ったよりコミュニティーが出来ているのかもしれない。
「まぁ、いいや。ありがたく使わせてもらう」
そう言いながらコクの頭を撫でる。頭が凄く丁度良い高さにある。
拳銃なんて使った事無いから、使うとしても至近距離でだろうけどな。6発しかないのに外したらもったいない。
--------------------------------------------------------
雑談スレ part115
110 名前:名無しさん
この迷宮のトラップやばすぎね?
111 名前:名無しさん
どうした、今度は何に引っかかった?
112 名前:名無しさん
今度はって・・・そんなしょっちゅう引っかかっているみたいな・・・
いや、引っかかっているけどさ
113 名前:名無しさん
否定できないのかよ
114 名前:名無しさん
爆弾は痛かった
テレポーターは苦しかった
115 名前:名無しさん
あー解かる
爆弾に初めて引っかかった時、顔や腕の肌が露出している所とか焼け爛れるんだよな・・・
116 名前:名無しさん
それは見たくない映像だな
117 名前:名無しさん
ゲームとかだとダメージ、で終わるけど
リアルだとどうしてもなぁ・・・
118 名前:名無しさん
テレポーターもゲームだと食らったら石の中に居るでゲームオーバーだけど
俺らは死ぬまで息が出来ない苦しみを味わうしな
119 名前:名無しさん
ゲームでも全滅とか理不尽だと思っていたけど
こっちの方が理不尽で苦しかったわ
120 名前:名無しさん
宝箱の罠もそうだけどさ
迷宮の罠も洒落になっていないよな
121 名前:名無しさん
ああ、前にあった蟻の落とし穴と水中だっけか
122 名前:名無しさん
そうそう、2大デストラップ
落とし穴は落ちたら蟻が何百といるモンスターハウスで
水中は次の階層に入ったとたんに水中に転送される奴
123 名前:名無しさん
蟻は知ってたけど、水中なんてあるのか・・・
水面に上がれないのか?
124 名前:名無しさん
そもそも水面が無い
つまり呼吸が出来ない
125 名前:名無しさん
なにそれこわい
126 名前:名無しさん
咄嗟に羽使って逃げられればいいけど
パニックになると終了だからな
127 名前:名無しさん
それって攻略できんのか?
128 名前:名無しさん
水中で呼吸が出来て防具の重量を感じず泳げる魔道具が開発されてた
今は売ってないけどな
129 名前:名無しさん
職人すげー
でも売ってないとか後続涙目
130 名前:名無しさん
売ってたのがプレイヤーだからなー
自分で作るしかないのよ
131 名前:名無しさん
劣化品は結構出てたけどな
呼吸できるというのはそこまで難しくないらしい
132 名前:名無しさん
着衣だと泳ぐのが大変だからなぁ・・・
鎧を着て泳ぐなんてまず無理だし
133 名前:名無しさん
水着で泳げばいいんじゃね?
134 名前:名無しさん
槍持ったリザードマンとか鮫が出るんだぞ?
さすがに死ぬわ
135 名前:名無しさん
俺なんてそもそも泳げないんだが
その迷宮に進んだら詰む
136 名前:名無しさん
普通に考えれば泳ぎながら戦闘なんて
やった事ある奴なんていないけどな
137 名前:名無しさん
泳ぐのと
泳ぎながら戦闘するのは全く別物だしな
138 名前:名無しさん
でも、デストラップでもエロいのなら受けてもいいかも
139 名前:名無しさん
どうしてエロに変わった
ちなみにどんな感じよ
140 名前:名無しさん
落とし穴を落ちたら裸の女が一杯いてお持て成しを受けるとか
141 名前:名無しさん
それってトラップなのか?
142 名前:名無しさん
落とし穴の先にドワーフのおっさんが一杯居たらデストラップだな
143 名前:名無しさん
それは死ぬよりツレェ
革命的なアイテムを作ったのは魔道具スレの日夜エログッズを作っている変態です。




