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迷宮と掲示板  作者: Bさん
5章 空と神殿の迷宮
54/125

44話

 翌朝、遂に人としての限界を超えた俺は起き上がれなかった。


(体中が痛いっ)


 早い話が全身筋肉痛である。仲間たちには急遽今日は休みだと伝える。


(まさかあれだけ戦闘に慣れたのに筋肉痛になるとは……)


 何に慣れたとは言わない。しばらく寝ていると、ティアが朝食を持ってきた。


「ご主人様、大丈夫?」


 ティアが聞いてくる。大丈夫である旨を伝えると安心したのか俺の隣まで来る。

 動けないのでティアに食事を食べさせてもらう。気恥ずかしさはあるものの動けないのではどうしようもない。


「筋肉痛って回復魔法でどうにかならないもんなのか?」


 俺が寝ている場所の隣に座るティアに聞いてみる。


「どうなんだろ、パステルに聞いてみる」


 そう言ってもう何も乗っていない食器を持って立ち去る。

 しばらくするとティアとパステルがやってくる。


「主様、お加減は如何ですか?」


 パステルがティアと同じような事を聞いてくる。


「ああ、動かなければ大丈夫だ。回復魔法って筋肉痛に効いたりしないのか?」


 ティアにも聞いた質問を繰り返す。


「効かない事はありませんが、一気に治療は出来ません。ゆっくり1日掛けて治すしかありませんね」


 湿布みたいなものか。パソコンから購入できないか調べても良いんだが、自由に動けない為、ティアとパステルに運んでもらう。とても痛い。

 パソコンで湿布がないか調べてみるがないようだ。回復薬もなかったのだからないのかもしれない。

 ネクとティアは弓の鍛錬に向かい、コクは相変わらず鍛冶や彫金、パステルは本を読みながら俺の世話と魔法を行う。タリスはテレビを見たり、本を読んだりしている。俺はコタツに入りテレビをボーっと見ている。正直他にやる事は無い。

 さすがにこの歳で老人介護みたいに、トイレまで連れて行かれるのは恥ずかしかったがどうしようもない。


 のんびりとした時間が過ぎていく。夕食を食べ風呂に入れてもらい。そのままベッドへ入る。さすがに手を出そうとは思わない。

 こうして、無為で何も起こらない日常的な時間は過ぎていった。


--------------------------------------------------------


 翌日、どうにか回復魔法のお陰で復帰できた。さすがにもう狂王の瞳は封印だろう。精力は大丈夫でも体が持たない。精力増大半端ない。

 朝食を済ませ、探索の準備を整える。今日は3階攻略だ。


「3階から天使が現れる。遠距離での攻撃は頼む」


 そう伝える。ぶっちゃけ俺は壁以外何も出来ない。


 3階まで石を使いワープする。今までと同様に綺麗な景色が目の前に広がる。

 生体感知を行うと天使が大量に居る。霊的な存在ではなく体を持った天使らしい。ハーピーやユニコーンを蹴散らしながら天使の元まで向かう。

 そして飛んでいる天使の集団を見つける。


(で、でけぇ……)


 でかいと言っても並よりはでかい程度である。久しぶりに大きめの胸を目にし、同時に仲間のまで何となく見比べて見てしまう。意図を察したネクがムッとした感情を向けてくる。さすがに骨は解からん。

 

「さ、さて、天使に遠距離攻撃を頼むぞ。俺は後衛を護る」


 そう取り繕うように指示を出す。それぞれが得意な攻撃で天使へ仕掛ける。まるで何かにとり憑かれたように……。


(……怖いです)


 そう思いながら天使が撃ってくる魔法を盾で弾く。その恐ろしい攻撃の嵐のお陰ですぐに戦闘が終了する。叩き落してはティアが剣で止めを刺す。俺はただ盾を構えて傍観してただけである。

 

(ああ、捕獲を忘れていた……)


 時既に遅し。とは言えまだ探索は始まったばかりである。捕獲は後回しにて探索を続ける。

 対天使では遠距離攻撃を充実させたので特に問題は起きていない。順調に戦闘を終えていく。探索率9割を超えた所でそれは起こった。

 天使相手にいつもの様に打ち落とし止めを刺していくのだが、何故かその天使に限って剣を振り上げる光景を見て凄く怯えていた。


(まさか、レアな個体か?)


 そう期待を込めて拘束アイテムを投げ付け捕獲する。


「ご主人様?」


 怪訝な顔でティアがこちらを見る。何か怖い。捕獲させたくなかったのだろうか?


「変な行動をしていたから捕獲した。強いモンスターだったかもしれない。さぁ、もう少しでこの階も探索が終わる。さっさと終わらせよう」


 そう言い繕い誤魔化す。嘘ではないしな。そのまま探索を続け問題なく4階への階段を見つけ拠点へと帰還した。


---------------------------------------------------------


「今日の探索は終了。解散しよう」


 そう伝えると皆好きな事をする為に別れる。俺はそのまま牢屋へ向かう。

 毎回のように筒に拘束アイテムを入れると手足を縛られた天使が現れる。


(これは……なかなか)


 そう天使のでかい胸を見て考える。一昨日あんな事があったのに性欲全開である。

 天使は怯えているようだ。剣で殺される寸前に捕獲したのだから当然であろう。


「君を使い魔にする為に捕まえさせてもらった。従ってくれないか?」


 いつもように定型文を伝える。天使は怯えながらこう返してくる。


「は、はい。ですから殺さないで下さい……」


 簡単に承諾を得る。とても恐ろしかったようだ。だが、抵抗してくれないと手を出しにくい。


(正直困ったぞ。簡単に従われるとは……)


 もしかしたらこれが使い魔の正常な反応なのかも知れない。レア個体が変な事をするのか、性格なのかは解からない。


(仕方ない、使い魔にしてから考えよう)


「では行くぞ?”テイム”」


 この天使の情報が入り込んでくる。やはり特殊な個体のようだ。


(同族から苛められて、常に怯えて過ごしていたのか……)


 パステルとは違って力が足りないので自分から1人になる事もなかったようだ。 

 天使の手足の拘束を外しながら自己紹介をする。


「俺の名前はスズキだ。宜しく頼む」


 名乗ったが、立ち上がろうとしない。どうしたのだろうか?

 

「あの……私はここに居てもいいんですよね?」


 使い魔になったというのに変な事を聞いてくる。これはチャンスとばかりに俺は天使に抱きつく。天使は体を震わせるが、関係なく言葉を発する。


「ああ、もうお前は俺たちの仲間で、家族だ」


 そう耳元で囁く。ついでとばかりにキスをしそのまま優しく押し倒す。天使の目からは涙が流れているが、そんなのは無視だ。恐怖からか感涙なのかは知らない。

 今俺を支配しているのは性欲である。


「ありがとうございます。マスター……」


 そう言い天使は目を閉じる。これはOKサインだろうか。そうじゃなくても今の俺には関係ない。途中で中断されても嫌なので狂王の瞳を使う。

 1人だから一昨日の様にはならないだろう。そう思って封印を解く。それが間違いだったと後になって思い知ったわけだが。


------------------------------------------------------


 何時間経過したのだろうか。襲い掛かったと思ったら襲われていた。2人共精も根も尽き果て寝転がっている。天使はそのまま寝てしまったようだ。


「主様、何をしているんですか?」


 パステルが心配になって見に来たようだ。


「狂王の瞳をまた試してみたんだが……危険だな、これ」


 パステルがそれを聞いて呆れたような顔をした。こいつがこういう顔をするのは珍しい。一昨日使った時のように俺まで気絶しなかったのだからそこは褒めて欲しい。


 とは言え疲れたので、今はもう少し寝転がっていたい。掃除をする為にパステルは一旦大部屋へと戻り壷に水を入れタオルと一緒に持ってきた。

 俺と天使はなすがままに拭かれていく。天使は寝ていた訳だが。


「さてと、天使をベッドに寝かせるか。ここで寝ていたら風邪を引きそうだ」


 2人共身だしなみを整え終わったので、天使を抱え、パステルと共に牢屋から出て行く。

 途中コタツに入ってたタリスが何したのよ、と言いたそうな目を向けてくるがスルーしておく。

 天使をベッドに寝かせ、その寝顔を見ながら名前を考える。天使、天、空、くう、クウ、決めた。


 寝ているクウを横目に見てそのまま寝室から出て行く。パソコンへ向かい、クウのステータスを確認する。


名前:クウ

性別:女

種族:エンジェルLV1

職業:メイジ

種族適正

光属性耐性、飛行


職スキル

魔力の泉、魔法適正


スキル

弓術LV20、神聖魔法LV20(中位)、料理LV20、魔道具作成LV10、根性


固有スキル

狂気の波動:周囲に居る格下の敵を即死させる。発動条件が厳しくまた不明である。


装備

武器:なし

盾 :なし

頭 :なし

胴 :布の服

足 :なし

装飾:なし


(何この固有スキル。こえーよ)


 病んでしまうフラグなんだろうか。そうならないように注意しよう。

 

(そういえばコクも魔道具作成を持っていたな。全然触れたことは無かったが、調べてみるか)


 そう考え戦利品を処理した後に掲示板を見る。


-----------------------------------------------------


【エロ】魔道具スレ part20 【情熱】


257 名前:名無しさん

自動的に動くあのグッズが遂に完成したぞ!!

媚薬と同時に使用すれば・・・ククク


258 名前:名無しさん

何となく解かるけどさ

どれくらい材料消費したんだ?

長時間継続する魔道具は素材きついだろ


259 名前:名無しさん

ルビーの原石を2kgほど使った


260 名前:名無しさん

おい

馬鹿

おい


261 名前:名無しさん

何と言うキチガイ

それ1つ作るのに自動追尾する矢とか何本作れた事か


262 名前:名無しさん

魔道具は便利だけど消耗品な上に材料が宝石なのが難点だからなぁ・・・

無駄に使うという発想自体がない


263 名前:名無しさん

しかし、職人というのは皆変態だな

鍛冶スレも凄い事になってたぞ


264 名前:名無しさん

ただのアイテムに興味はない

エロいアイテムを作らずして何を作れと申されるか?


265 名前:名無しさん

いや、戦闘に役に立つアイテム作ろうぜ?


266 名前:名無しさん

攻略なー水の所で必須だったから作って流したけどもう面倒ー


267 名前:名無しさん

ああ、あのアイテムにはお世話になったよ

作り方はさっぱり解からんけど


268 名前:名無しさん

最近自動販売で流れなくなったと思ったら製作者はここでエロアイテム使ってたのか・・・


269 名前:名無しさん

作らないならせめて作り方を教えてくれよ

結構攻略スレで困っている人居たぞ?


270 名前:名無しさん

それを考えるのも楽しみの1つです。


271 名前:名無しさん

(キリッ


272 名前:名無しさん

それはそうだが・・・

魔道具は分解しても作り方が解からないのが難点なんだよな


273 名前:名無しさん

もう完全にその人専用の作り方だしなぁ・・・

調べるくらいなら新しく作った方が早いという


274 名前:名無しさん

近いのは作れるけどな

効果時間が難点


275 名前:名無しさん

あの値段で売っていたくらいだし

そこまで大量に宝石を使う感じでもないんだよな


276 名前:名無しさん

もしかしたら生産技術を複合したんじゃないか?


277 名前:名無しさん

!!それだ!!

もしかしたら色んな技術を混ぜれば効果的になるかもしれない


278 名前:名無しさん

例えば宝石を煮たら美味しくなるとかな


279 名前:名無しさん

何でそこで食うんだよ

道具作れよ


280 名前:名無しさん

いや、以外に砕けば食えるかもしれないぞ?


281 名前:名無しさん

その前に食べる所から離れろよ


282 名前:名無しさん

砕くという発想は悪くないかもしれん

他の薬草や鉱石と混ぜてみるのも挑戦してみるか


283 名前:名無しさん

・・・魔道具スレっぽくなってきているじゃないか


284 名前:名無しさん

今まで大半がエロトークだったのになwwwww


285 名前:名無しさん

ネタ切れ→エロアイテム作るか→作れたwwww

だったからなぁ・・・

ネタがあればちゃんとしたのを作るんじゃないか?


286 名前:名無しさん

何だかんだ言って腕のいい職人ばかりだしな

新しい事には興味がある


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(ふむ……宝石を使用した消耗品アイテムの製作か……)


 エロアイテム以外は自動追尾する矢とか攻略で便利かも知れない。コクもクウもスキルを持っているし、宝石でも買ってみよう。

 無限箱から宝石をLV5、ついでに布と皮を5までランクアップにする。宝石は原石らしく、大きいが取れる量自体は多くないようだ。皮のLV5でドラゴンがあって驚いたが。

 ついでにクウの部屋を設置する。皆のがあるのに1人だけないのは可哀想だ。必要なものは後で聞くとして配置と購入だけはしておく。


「まだ目が覚めないのかね」


 もう寝るような時間になっている。


(まぁ、明日でもいいか)


 寝室へと向かい、未だ寝ているクウを抱き枕代わりにして眠る。

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