刈り
草を切る音って、どんな音なんでしょうか?
「それじゃあ、行くよー!」
女の子は大声で言って、幽幻草の群生地帯に突撃して行った。
「あっ!え、えっと、私も行きまーす!」
乗り遅れたミリカは、慌てて言いながら女の子の後に続いた。
______________
「むっ!」
先行していた女の子は、幽幻草が揺れた場所から幽霊が出てくるのを見つけた。
「どうしたんですか!」
追い付いたミリカは、女の子が唸った事に疑問を感じて聞いた。
「あそこに幽霊がいるよ!」
女の子は何処から出したのか分からない、草抜きで使われる鎌を幽霊に向けてミリカに伝えた。
「えっ?………幽霊!?」
突然現れた鎌に驚いていたミリカだったが。
幽霊が現れたと聞いて、急ぎ鎌が指した方を見ると、
「幽、霊………」
確かに幽霊がいたが。
それを見た事によって、ミリカの中に恐怖が心を満たし始めた。
「怖じけついちゃ駄目だよ!」
恐怖し始めたミリカに気づいた女の子は、ミリカを勇気付けようとする。
「ぅん………」
それは少なからず効果はあったが。
完全に無くなる所までは行かなかった。
恐怖が消えず、暗い表情のミリカを見ても、女の子は諦めない。
「安心して!アナタの事は、私が護るって誓ったんだから!」
「ッ!うん!」
女の子の力強い言葉と、大きく見える背中を見て、ミリカの中にあった恐怖は消え去った。
それどころか、心の内がポカポカしていた。
「よーし!草抜きの始まりだーー!!」
ミリカの恐怖が無くなったのを背中越しに見た後、女の子は大声で始まりを宣言した。
「ふふ。おぉーー!!」
先程まで感じていたカッコよさは無くなったけど、いつもの元気な女の子の声に小さく笑った後に、ミリカもその声に応じるべく大声を上げた。
「あぁ~~~」「うぁ~~~~」
「幻になんて騙されるもんかーー!!」
バサバサバサバサ
女の子は叫びながら、鎌を横に一振りして幽幻草を刈った。
「幽霊なんて存在しなーーい!!」
ミリカも女の子の真似をして、叫びながら幽幻草を刈ろうとしたが、
スカッ
「あれ?…………あっ!私、草刈る道具がなかった………」
今更になって、無いことに気づいたミリカは困惑した。
バサバサバサバサ
「あ、すっかり忘れてたー!はい、これ!」
幽幻草を一閃で刈りながら、女の子は何かを思い出したのか、その場で止り。
また、何処から出したのか分からない鎌をミリカに渡した。
「えっ?………ありがとう……」
渡された鎌を掴みながらミリカは呆然とした。
困惑していたのも消し飛んで、女の子が何処から出したのか気になった。
「これで大丈夫!」
女の子は笑顔でそう言った後、幽幻草刈りに戻って行った。
「…………あっ、私も行かないと」
少しの間、考え込んでいたが。
目的を思い出したミリカは、慌てて幽幻草刈りに戻った。
「あぁ~~~」
「よーーーっと!!」
バサバサバサバサ
時に、幽霊を蹴飛ばしながら幽幻草を狩り。
「えい!」
バサバサ
ミリカは、初めて使う鎌に戸惑いながら、幽幻草に鎌を降り下ろした。
「これでどうだ!!」
バサバサバサバサバサバサ
時に、幽霊ごと、鎌で切り裂き。
「今度こそ!」
バサバサバサバサ
今度は、ちゃんと、狙いを定めて斜めに降り下ろした。
「「「「「あぁ~~~~!!!」」」」」
「後少し!」
バサバサバサバサバサバサバサバサ
時に、どんどん襲ってくる幽霊を、蹴飛ばし、交わしながら、隙を突いて回転刈りをし。
「あぁ~!」
「やったー!」
スカッ
嬉しさのまま、幽幻草を刈ろうとして、失敗した。
「えっ?…………キャアーーー!!」
そこで初めて、幽霊が後ろに気づいたミリカは、悲鳴を上げた。
「これで終わり!」
女の子は鎌を二本、手に持ち、左右に向かって斜め切りをお見舞いした。
バサァーー!!
今まで、一番大きな音が鳴り響いた後には、周りは刈られた草が積もっていた。
「あれ?いつの間に………」
悲鳴を上げていたミリカが正気に戻る頃には幽幻草は刈り尽くされていた。
最近、「シュッシュッ」と聞くと、某忍者戦隊物のオープニングが頭の中で再生されます。




