妻に逆らえない夫の図
「思い出したようね?」
俺様がおとなしくなって暫くの間、幼女を見ていたが、ヒーラさんは先程の事を思い出し聞いてきた。
「はい、すみませんでした」
「それなら良かった。礼儀正しいのは良いことよ」
謝ったのを見て、ヒーラさんは許してくれた!
「はい」
俺様はホッと安堵して、今度は忘れないようにしようと決意した。
「でも、忘れた事とメイアの膝枕に選ばれた事は許さないからね?」
「はひっ!」
根に持ってたー!
くっ!奴相手だと、俺様の本領が発揮できない。
どうするか…………!俺様の土俵に持ち込めばいいんだな。
ふふふふ、覚悟をしろよ、ヒーラ!
「貴女の手には乗らないからね?」
「はっ?」
何故バレた!
「貴女、呆れるほどバカなのね?」
「はぁ?!誰がバカだ!誰が!」
「貴女よ。それよりも、メイアの眠りの妨げをするな」
「はぃ!」
「黙りなさい」
「……………」
まるで、夫婦漫才みたいだ。
二人を見た者はこう言うだろう、
『仲が良いわね』『他でやれ!』
『おい、完全に尻に敷かれてるよな?』
『百合?!百合かー!』
っと。
だが、見ている者は誰一人いなかったが。
「貴女のお仕置きも後でするとして、情報を吐きなさい」
塵芥を見る目で少女を見るヒーラは、話さなければどうなるかを理解される程の雰囲気を放っていた。
「はぃ、話します」
縮こまり、反抗の殆どを失った少女は、素直に話すしかなかった。
「まず、ボスの名は邪奈。世界を滅びに導く存在である」
「邪奈、ね。あの組織のボスなのは有名だわ。しかし、世界を滅びに導く程の力はそもそもなかった筈だけど?」
「本当だぞ!お前の認識の方が間違っている!」
間違いを正そうと、胸を張って堂々と言いきった。
「ねぇ、貴女は学習できないの?静かにしてと言ったでしょう?」
「はぃ」
悔しい!奴の言葉に俺様は何故、逆らえないんだ!
「さぁ、私の認識が違うと言うのなら、邪奈が何をしたのか教えて」
「ふっん、邪奈様は一夜にして村を孤立させたんだ。俺様も見たが、その力は素晴らしかった」
奴は、ボスの強さを聞いて、恐れ戦いたのか、黙ってしまった。
やはり、ボスは最強なんだ!
俺様は、ボスの強さを再認識した。
それから暫くの間、奴は黙っていたままだったが、急に顔を上げた。
「ねぇ、貴女が言ってた村ってシナキ村ではない?」
「うん?よく分かったな……いや、それほどまでにボスの偉業が有名なんだな!」
「黙りなさい」
「はぃ」
全く、反省している様子のない少女をどうしようか考えたくなるが、今は情報がさ……いえ、一緒にしてしまえば良いわね。
ビクッ!
「何だ?今一瞬、寒気が……」
「ふふ、今はゆっくりしましょうか」
少女は、恐怖に怯えた。
先程までの態度が嘘のように、優しく語りかけてくるんのだから。
「恐いぞ!何故急に、優しく語りかけてくるんだ?変な物でも食べたか?」
プチ
「ひっ!」
ヒーラは、もう我慢が出来なかった。
「今からお仕置きしてあげる」
ゆっくりと立ちあがり、少女に近づく姿は、アンデットの様にも、死神の様にも見えた。
「ひっ!やめろ!こっちに来るな!」
少女は逃げようとしたが、膝枕で寝ているメイアによって、足が痺れて逃げられなかった。
その間にも、ヒーラはゆっくりと少女に近づいてくる。
「ふふ、ふふふふふ、貴女には一番凄いお仕置きをしてあげる」
ヒーラはもう、メイアを起こすとか気にしなくなっており、ただ少女をどうお仕置きするか考えてるのだった。
ガシッ
「やめ…………」
少女が意識を失う前に見たものは、ヒーラの嬉しそうな顔だった。




