昔話はいい話~
この話は少し長いです。
門の中にある詰め所にて、仮面の少女と最初に話掛けた門兵が向かい合って座っていた。
だが、その様子は刑事ドラマでよく見る、取調室で犯人を問い詰める時の空気が漂っていた。
その空気の中、最初に話し始めたのは門兵だ。
「それで、嬢ちゃんはなんで仮面を着けているんだ?」
仮面の少女は、先程まで鷲づかみにされていた頭が痛いのか、頭を抑ええながら怒鳴った。
「貴様!俺様をよくも痛め付けてくれたなぁー!絶対に!ボッコボコのギッタンギタンにしてやる!」
「もう一度言うぞ。何故、嬢ちゃんは仮面を着けている?」
とっても、低い声で言われた。
ビクッ!
仮面の少女は、震えながらも反抗した。
「っ!おれ、俺様が答えると思っているのか!」
しかし、それは仮面の少女をさらに追い詰めることになった。
「ほぉー、それが嬢ちゃんの答えだと言うのなら、こちらも手段を替える必要があるな」
その言葉に、不気味なものを感じとって、仮面の少女は震えながらも問いかけた。
「な、何をするつもりだ!」
仮面の少女の言葉に、門兵は怪しく笑いながら言った。
「ふふふ、なぁーに。素直に話したくなるだけだよ」
「おれ、俺様は!絶対に、話したりしないぞ!」
強がりだと分かる言葉に、門兵はさらに笑い言った。
「ふふ、ふふふ、あれを受ける者は皆、最初は嬢ちゃんみたいに言うだがな……」
それだけ言うと、黙ってしまった門兵に、仮面の少女はジレンマを抱いていた。
聞きたくない、しかし!気になる所でやめられてしまった!
うがー!どうすればいいんだー!
心の中で、暴れながら悩んでいた。
その結果、仮面の少女と門兵の間にただらなぬ雰囲気が漂っていた。
仮面の少女は、腕と足を組み、仮面のせいで表情がわからず、声も発さず、不気味だった。
門兵もまた、腕を組み、その厳つい顔を俯かせ、表情を窺わせない顔で何を考えているのか分からず。
こちらは、ただ、恐かった。
その空気を壊したのは門兵だった。
「嬢ちゃん、そんなに気になるなら話してやるぞ?ただ、後悔はするがな…」
絶対に聞いてはダメなのに!
ダメだと思えば思うほど知りたくなってしまう!
人間誰しも経験したことがあるだろう欲求に耐えられず、仮面の少女は聞いてしまった、後悔するだろう話を。
「話してもらおうか?」
「後悔すると知っていても、か?」
最後忠告を受けたが、仮面の少女は、好奇心が勝り無視してしまう。
「あぁ、教えてもらおうか、後悔する話とやらを。だが、言っとくぞ。俺様は後悔などしない!」
無視するどころか大見得を切った。
その言葉に門兵は、感心した。
「ほぉ、そこまでの大見得を切った奴はいなかったぞ。では、期待させてもらうか」
「ふっ!俺様も、後悔する話を期待してるぞ」
二人は、不敵に笑いあった。
「ハハハ、その態度が何処までもつことやら」
肩を竦めながら、首を振るって言う門兵。
「貴様の方こそ、俺様を後悔させることが出来るのやら」
状況はもう、売り言葉に買い言葉、状態。
この状況を見たものがいれば、止めただろう。
しかし、この部屋には二人しか居なかった。
状況は悪化の一途を辿っていく。
「ふふ、フハハッ!後悔しても知れねぇからな?」
「ふっ!何度も言わせるな。さっさと話せ」
「いいぜ、そんなに聞きたいなら話してやる。
最初に言ったが、あれを受けた者は皆、素直に話のさ、必ずな。
何をしているかについては、話せない決まりだが、嬢ちゃんは受けるんだから聞いても大丈夫だろう。
でっ!本題だがな、どんな拷問かと言う……」
「拷問だと!なんと非道な!貴様は人間のクズだ!」
人の肉体を支配している者の言である。
「酷い言われようだな…」
肩を竦め、首を振るが、その言葉に効いた様子はなかった。
その姿がさらに、仮面の少女の印象を悪くした。
「反省もしないとは、貴様は本当にクズなんだな」
不機嫌な声を隠さずに発した仮面の少女の言葉にも、門兵は動じなかった。
「嬢ちゃんに何と思われてもいい。それが、仕事だからな。それより、話を戻すぞ。
その拷問の名は、
「擽り」
それを受けた者は皆、耐えられずに話してしまんだ。
洗いざらい、な。」
拷問の名に、仮面の少女は肩すかしを食らった気持ちだった。
「擽り?なんでそれで、後悔するんだ?」
意味が分からないと、首を傾げて聞いたら、門兵は「まだ、話はおわっていないぞ」と言った。
「何故、擽りが拷問に入っているのかについてだがな。
昔の事だ、擽りが拷問に入ったのは、今から話のは擽りが入った理由が分かる昔話だから、しっかり聞くんだぞ。
数百年前のある日、凶悪な犯罪者が捕まり、ここ、俺が勤めている門の牢屋に入れられた。
その拷問を、領主が門兵にやらせたんだ。
しかし、同時は拷問の器具など無く。
困り果てていた門兵達は、何かいい案は無いかと考えていたんだ。
それでも、思い付かず、全員が諦めかけていた時だった、希望が見えたのは。
ある日、一人の門兵が走りながら叫んだ。
「みんなー!僕、いい案思い付いたよ!」
後に、「擽りの発案者」と呼ばれる門兵の少年だった。
しかし、最初は皆、半信半疑だった。
案を聞かされても変わらず、しかし、それ以外に案もなかったことから、試してみることにした。
凶悪犯罪者を、牢屋から出して、両手足を鎖で縛り、抵抗できないようにしてから案を実行した。
そしたら、案は成功し、凶悪犯罪者は全てを洗いざらい話した。
凶悪犯罪者から得た情報を纏めて、領主に報告した。
結果、門兵の少年は出世し、擽りも拷問の定番となったのだった。
おしまい。
どうだ、素晴らしいだろう?」
なんとも言えない話だったが、一つだけ言いたい。
「それの何処が、素晴らしいんだー!」
詰め所全体に、少女の叫びが響いたのだった。
書いてて思ったことですが、仮面の性格って御華に似てることに気が付きました。




