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赤ペン精霊の神剣ゼミでクラス最強の魔法剣士になれました  作者: 森田季節
第二部 神剣ゼミで剣士に編

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117 神剣獲得

 戦争終結から三か月後。

 ある程度、戦後処理の目途がついた頃のことだ。


 新王カコ1世の戴冠式が厳かに行われた。

 父親であるハルマ24世がもう娘に王位を譲っても問題ないと判断したからだろう。


「姫……いえ、新王陛下万歳!」「長らく仕えてよかったです!」

 イマージュとカクラジュの二人も泣いて喜んでいた。


 俺も感動していた。なにせ数々の危機を乗り越えての即位だもんな。ちょっとでもボタンを掛け違ってたら、姫は死んでいたはずだ。


「前王陛下、わたくし、早速執り行いたい儀式があるのですが」

 儀式後の晩餐会で、そう新王は早速、前王に言った。


「いったい、なんじゃ?」

「王家が持っているあの剣を、英雄に渡したいのです」



 戴冠式の一週間後。

 俺はできうる限りの正装で、その場に臨んだ。


 目の前には、カコ1世がいる。


 その手には立派な大ぶりの剣がある。


「王家が秘蔵してきた神剣エクスカリバーを国を救った英雄に下賜したいと思います」

「本当に俺でいいんですか?」

「王が決めたことですから」


 俺は丁重にそれを受け取った。


 これで、神剣ゼミを完遂できたと言っていいよな。


「あの、それと……」

 小声で王が言った。顔がちょっと赤い。


「今はまだサヨルさんとお付き合いをされていらっしゃるのですよね?」


「え、あ、はい……」

 正直に答えただけなのだけど、妙な罪悪感がある。


「わかりました、これはサヨルさんとよく話し合ってみたいと思います……」

「そ、そうですか……」


 俺のいない間に決まることを俺がどうこう言うのもおかしいしな……。


「このあと、英雄には王都の凱旋パレードを行っていただきますので、そのつもりでお願いいたします」

 今度はいたずらっぽい顔になって、新王が言う。


「えっ……そんなの、まったくの初耳なんですけど……」

「王の命令です。よろしくお願いしますね」


 そのあともいろいろと面倒な手続きとかがあって、ようやく解放されたのは夜もけっこう遅くだった。自分の部屋に戻る。この部屋ももうすぐもっといい部屋に変わるらしい。


 さて、お風呂に入る前に――

 俺はマナペンを取り出す。


 どうせ抱きつかれるだろうと思っていたから、最初からベッドの前に立っていた。

 やっぱり抱きつかれて、ベッドに俺は倒れた。


「おめでとうございます、時介さん!」

「先生のおかげです。神剣をいただきました。まだ、実戦で使ったことはないですけど」


「これで私ヶ教えられることは完全になくなっちゃいましたね~」

「そんなことないですよ」


 俺はすぐにアーシアの言葉を否定する。


「まだまだ知らない魔法もたくさんありますし、立派な神剣を使える魔法剣士にもなりたいですから、だからお願いします」

 俺は真面目な顔で、もう一度言う。

「お願いします、先生」


 俺が神剣を使う立場になったからこそ、はっきりと確認しておきたかった。


 俺を放して、アーシアはゆっくりとうなずく。

 俺もベッドから起き上がる。


「教師と生徒じゃなくて、大人が大人にアドバイスするという形ならいいですよ」


 これで目的の一つは終わった。

 あとは、もう一つのほうだ。


「それと……これ、サヨルに全部話して、許可を得たんですけど……」

 俺は視線をそらしつつ……いや、視線そらしちゃダメだな。しっかりとアーシアを見据えた。


「キスまでならいいって……。ア、アーシア、俺が生徒じゃないならいいかな……」


 アーシアはくすくすと笑って、もう一度抱きついてきた。

 そのままキスをされた。


 神剣ゼミを無事に終えたご褒美ということにしておこう。

赤ペン精霊は今回で終了です。これまでお読みいただきありがとうございました!

 以下、あとがきを次回分に書いておきます。

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