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赤ペン精霊の神剣ゼミでクラス最強の魔法剣士になれました  作者: 森田季節
第二部 神剣ゼミで剣士に編

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114 二対二

「主人のザインのために全力を尽くす覚悟です」


 わかった。じゃあ、俺も見せないとな。最近、あまり活躍させられてなかったし。


 マナペンを取り出して、ぎゅっと握る。

 アーシアが姿を現す。


「まさか、精霊同士で出会うことになるなんて思いませんでしたよ」

 アーシアは落ち着いた声で言った。今すぐ戦うというような空気とは違う。


「ああ、時介にも精霊がいたんだよね」

 サヨルはほとんど驚いていない。ある程度の予想はついていたんだろう。


「ただ、こんなに服装に露出度が高いとは思わなかったんだけど……」

「そこは黙っていてくれ……。別に俺の趣味とかじゃない」


「あれ、私の格好、そんなにまずいですか……?」

 過去に何度もそう言っただろ。俺だけの特殊な審査基準じゃないって。


 さて、そんなしょうもない話をしている場合じゃない。


「あんたが精霊を使って人を攻撃するなら、こっちも精霊に手を借りたいと思うんだけど、どうかな? そこはフェアにやりたいんだ」

 アーシアが戦ったのは精霊と戦った時だけだ。それが精霊の矜持と言っていい。


「では、二対二でやろう」

 ザインの言葉にトリンドという男の精霊もうなずいた。


 さて、勝負といくか。

 一世一代の大勝負だな。


「時介さん、相手は本当に強敵です。絶対に油断はしないでくださいね」


「油断できるような敵じゃないですからね」

 これまで戦った誰よりも恐ろしい存在だということが直感でわかる。


 俺は剣を前に突き出す。剣で決着をつけることになるかわからないが、一つの覚悟のしるしだ。


「参る!」

 ザインの手からばちばちと電流が走ったかと思うと、その電流のようなものがこっちに走ってきた。

 詠唱の時間はなかったから、無詠唱か!


 俺もすぐに目の前にマジック・シールドを張る。

 とにかく、ダメージを軽減しないといけない。


 しかし、そのマジック・シールドが消滅する。

 ザインかトリンドのどちらかによって、排除された!


 次のマジック・シールドを張る前に電撃が俺の体に直撃する!

 それだけで意識が飛びそうになった。


 けど、同時にあたたかな熱も感じた。


「大丈夫ですか、時介さん!」

 回復系の魔法をアーシアが唱えていた。


 それである程度はダメージを相殺できた。まったく無傷というわけにはいかないが。


「二対二ということは二人で一人を倒しても問題はないということだからな」

 ザインがつまらなそうに答える。

「ああ、まったくそのとおりだな」


 こっちも負けてられない。パイロキネシスを――


 その前に今度は竜巻が突っ込んでくる。

 今のは間違いない。精霊からの攻撃だ。


 逃げようとするが、足が地面に張り付いている。

「時介さん、また何かやられてます!」

 アーシアが叫ぶ。


「アーシア、マジック・シールドを!」

 マジック・シールドをかけてはもらったけど、これは威力をゼロにするものじゃないから、多少のダメージが来る。


「ねえ、時介! ほんとに大丈夫なの!?」

 サヨルが心配そうな声を出す。


「なんとかする。しなきゃいけないんだ……」


 こいつら、二人揃って攻撃に来る。厳密な役割はない。いや、二人がどういう役割でもこなせると言ったほうが近い。


「なんだ、お前たちは二人での連携に慣れていないな。それでは勝てんだろう」

 ザインの言葉に俺はくちびるを噛んだ。


 たしかに俺とアーシアは二人のコンビで戦うだなんてことはしてこなかった。

 それを繰り返してきた敵のほうがこの勝負、有利なのかもしれない。


 だからって負けただなんて言えないけどな。

 勝つしかないんだ。


「先生、なにかいい策とかありますか?」

「ごめんなさい。私も生徒の方と一緒に戦うという経験はなくて……」

 アーシアが首を振る。


「いえ、いいです。どうにか戦いながら勝つ方法を考えます」

 とはいえ、ここは向こうのホームグラウンドで、こっちはどういう環境かすらわかってない。

 どこに打開策があるかな……。


 落ち着け。勢いだけで勝てる相手じゃない。

 テストと一緒だ。わからない時は一息ついて、状況の把握につとめる。

 必ず、どこかに解法への手がかりはある。


 だったら、まずは落ち着けるようにしないとな。


「先生、しばらく守りに入ってもらえますか? 俺も守ること前提でやります」

「はい、時介さんを全力でサポートします!」


 ザインとトリンドはまた、すぐに攻撃魔法を唱えにかかる。あれは氷を叩きつけるやつだな。


 俺とアーシアは接近して同時にマジック・シールドを張った。

 二枚張りなら、ダメージもほぼ軽減できる!


 策は成功した。少し腕が切れたぐらいだ。


「攻めるのを諦めたようですな」

 精霊のトリンドが言った。

「力の差を感じ取ったのだろう。このまま攻めるぞ」


 ああ、好きなだけ来い。これだけなら長期間耐えられる。


「守っているだけでは何もできない。傷は増えるから追い込まれていくだけだ」

 勝手に言ってろ。何かするチャンスを絶対に見つけてやるからな。


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