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異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ。  作者: 伊達教宗
第5章 科学(リアル)と魔術(ファンタジー)が交差する時、歴史(ものがたり)は動きだす
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52話 第二次龍雲海沖海戦 9

 アースティア暦1000年・6月2日・午前8時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・パイプ・ライン大河沿い・アセリナ王国・イーストグリーン州 州都・リレル・ラウェル市・アルガス公国とアセリナ王国国境付上空にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 この日、早朝からアセリナ王国の総長が、早朝散歩ならぬ早朝飛行を楽しんで居た。



「フンフン、フンフン、フフ~ン♪ 今日も我は絶好調なのだあああぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」


 

 そのアセリナ王国の総長たるマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナが何故、自国と隣国の国境近くを飛んで居るかと言うと、単に仕事から抜け出して居るからである。


 マーヤは国家代表選抜決闘大会に出たのは、国家代表に成りたいからでは無く。


 単に腕試しがしたかったからであり、大会後に断れば次席の者が総長に成れる筈だが、元来の頭の可笑しく、ノリと勢いで生きているアセリナ族は、その場で煽てられると、ツイツイやると言ってしまう性分だった。


国家代表選抜決闘大会を仕切って居た官僚らは、元々まともな性格の部類の人達で占められて居るので、大抵の場合は、優勝者が辞めると言い出すと、その次がノリで辞めると言い出した上に、次から次へと辞めて行くと言われてしまうのが非常に面倒なので、優勝者に対して、都合の良い言い方で相手を煽て上で、やると言わせるのが常だった。


 そう、何所かのエロイ事がいけませんと注意する安藤さんと言う無敵メイドロボットが、周囲に声援に乗せられて、ついつい、優勝ポーズを決める様に、マーヤも槍を高く掲げてやると言ってしまうのであった。



「ふんっ!!ふんっ!!はあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」



今度は唐突に槍を素振りで、振り回し始める。


 彼らのやる事はある意味、思い付きなのだが・・・・・・中二病持ちの連中の心根は、同属性の心持ちでもない限り、常人たる我々には、理解し難く・・・・・ハッキリ言ってしまえば、謎だらけで、分からんの物なのだ。



「くっくっくっ、我が名はマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナっ!!!」


「この世界の救わんとする我はっ!!この光輝く早朝に光臨するっ!!!」


「我の器たる肉体は聖なる太陽に清められっ!!今宵も悪しき者達を成敗せんとっ!!我のエクスプロン・ランサーの光の閃光に呑まれるが良いいいいぃぃぃーーーーーーーーーーっっ!!!!」



「なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!」



高笑いをするマーヤはドヤ顔の決めポーズが決まったなんて思って居る。


やっぱり中二族たるアセリナの人達の思考は、常人には分からん物なのだっ!!



其処へ・・・・・・・・・・・・・・




「んんん???」



遥か東方の方角から「ゴーーーッ!!」と言う轟音が鳴り響きながら近付いて来る物体があった。


 C-130Hが7機とF‐15J戦闘機の10機の編隊が、ガイダル島の遺跡基地の改修が、概ね無事に終わったので、ガイダル基地に補給物資輸送の為に向う途中だった所をマーヤは出くわしてしまう。



「ふえええええぇぇぇぇっ!?なんとおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!?」



 マーヤは、出会い頭に避け切れなかった先頭の戦闘機に吹き飛ばされたと、ダジャレめいたオチに陥ってしまう。





数分前、C-130Hの5号機の操縦席では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「萩村さん、この世界の空も良いスッね。」




「おう、そうだな梶。」



操縦の合間に雑談をして居るのは、C-130Hの5号機の操縦を担当している機長の萩村一射と梶二射だった。



 この異世界の空は、生き物や空挺魔導艦にさえ気を付ければ、事故がほぼ有り得ない世界なのだった。



 二人は、この異世界アースティア世界に措いても地球世界時代と変わらずに米軍は居るが、航空管制の五月蝿くない自由な空を同僚等と共に謳歌して居た。


 我が日本国は、在日米軍の都合により自由な飛行が許されて居ない窮屈な飛行を強いられて居る事は良く知られて居る。


 それが国際飛行規定が殆んど無いに等しい世界の自由に飛べる空が嬉しいらしい。



「今は俺達だけの空だ、小煩い国家の管制官と航空管制の整った友好国以外に無い、この異世界の空は、俺達の様な飛行機乗りに取って、正にユートピア、天国も同然だ。」



「そうッスね。無茶さえしなけりゃ、飛び方に文句が付かないのも良いッスよねぇ~」



「そうだろう、そうだろう。うんうん・・・・・・・・・」萩村一射と感慨深げに言う。



すると、其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ヒューーウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!




「ふにあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっ!!ムギヤッ!!」



ボテッと言う擬音が響く感じで、マーヤが操縦席の窓にぶつかる。



普通ならとっくに気が付いて飛行機の方か、又はマーヤの方からも避ける所だが、マーヤは自分が言って居た中二的な台詞に酔って居たし、航空自衛隊の隊員も高速で飛んで居るので、歩行者ならぬ飛行者なんてものを避け様としたが、如何やらダメだった様である。



 不規則な槍捌きと突然に止まるマーヤの動きの予測が付き辛く、護衛隊のF‐15J戦闘機は、何とか回避が出来た位だ。


マーヤは、風圧等で吹き飛ばされ、C-130H編隊の5号機の操縦席付近の窓にマーヤがピタッと張り付いてしまう。



「なっ、なっ・・なっ!?何だっ!?」



「萩村さん、ヒトッスっ!!しかもっ!!白い羽の生えた金髪の女の子ッスよっ!!」



自衛官の二人には、信じられない光景が目の前に在った。


 セミロングの金髪で、白い羽と何だか分からないが、槍の様な物を持った女の子が、操縦席の窓ガラスに張り付いて居た。


ベタな展開だが、操縦者の二人には、丸でギャグアニメかコメディ映画みたいな展開が其処には見えていた。



「なっ!?何なのだっ!?これは?新種の生き物なのか?」



「んんん?!中に・・・・・人か?」



「おーいっ!!この物体は何なのだっ!?」



 マーヤは、目の前に居る自衛官二人を凝視する。



 一方の自衛官の二人は、マーヤの声が、エンジン音や風圧の影響で聞き取り辛かった。



 彼女は、まだアセリナ王国・外務局省で情報が精査されて居て、日本の内部事情に疎かった。


日本とか言う珍しい国が見つかったと報告されて居るだけで、別段に興味がそそられる事柄では無いので、マーヤは詳しくは知らなかったのである。



「何て言って居るんですかね?」



「ハッキリ言って、分からん。エンジン音やジェット気流なんかのせいか、外の声が聞き取り辛い。」



「でも・・・・・・これって交通事故にでも成るんっスかね?」



「バカかっ!?こんな事態、どうやったら想定が出きるかっ!!」


「万が一、予測が出きたとしても、普通は歩行者ならぬ飛行者の方が逸早く避ける物だろうがっ!!」



「そうっすよね。」



「まぁ、こんな高度でも平気な奴だ。高見大臣や政府が言ってた亜人族って奴だろう。」



「ああ、エルフとかドワーフとか人魚とかが居るって、本省や交援省にニュテレビースやネットニュースに、新聞とかで言ってましたしね。」



「ドランゴンや魔法使いにさえ気を付ければ良いと思ってたが、それ以外にも居ると報告せねばな。」




其処へ近くから見ていた護衛機のF‐15J部隊の指揮官機から通信が入る。



「五号機っ!どうした?何か張り付いて居る様だが?」



「ああ、問題ない。見辛いが如何にか飛べて居る。」


「何らかの理由で、この辺りに住んで居ると思わしき、現地の亜人種のヒトが、何処からともなく飛んで居た所に出くわしてしまったらしい。」


「怪我も無い様だし、その内、何処かに行くだろう。」



「了解。念の為だ、今のままでは風圧で起き上がれまい。少しだけスピード落としてやれ。2機の護衛を残すから、ゆっくりと追い付いて来い。」



「了解ですっ!!」



「だそうだ。それじゃ、降って沸いたお客様には、安全且つ、無事にお帰り願おう。」



萩村は機体のスピード少しばかり落としてやると、トントン叩いて中へ声を掛けつつ、物珍しそうに飛行機を見て居る頭の可笑しそうな女の子が風圧で剥がれないのを助けてやった。



「あっ!?」



「ふにあああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!」




マーヤはペロリとテープが剥がれる様にして、何処かへと別の風に煽られて吹き飛んで行ったのだった。



「おおっ!!無事に剥がれた様だな。」



「そうですけど、あの子。アレで大丈夫っすかね?」



「輸送機の軽い衝突でも平気だった様だし、平気だろう。一様、目的地に着いたら、この辺りに国土を持って居る国家の現地政府にでも、報告して置こう。外交問題にはしたくは無いからな。」


「今は長距離通信も不安定つすからね。」


「そうなんだよな。流石に、地球世界で言うユーラシア大陸の中央地域からの日本への通信は不安定だからな。」と言った感じで航空自衛隊の面々は、何事も無かった様に任務に勤めるのであった。



 一方のマーヤはと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ふえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



運悪く別の気流に流されてしまい、遥か東へと飛ばされてながら消えて行った。



「んん??」



其処へ、ドラグリア白龍大帝国の白龍大帝であるエリンも通り掛かった。



 更にはぺチンと羽で、マーヤの事を叩いてしまったのである。



「如何なさいましたか陛下?」



「うむ。今し方、頭の可笑しな弟子の小娘に、ぶつかった様な気がしてな。」



「えっ、アセリアの総長殿ですか?」



「軟な鍛え方はして居らんからな。奴なら平気じゃろう。」



「まぁ、エリンがそう言うなら・・・・・・」



ユキカゼ面倒な事に成りそうなので、マーヤの事は放置する事にした。



 親友にして、大帝たるエリンの弟子だ。


 その辺の武の者より頑丈に成って居るのは、確かだと知って居るからである。



「今のは我が師匠(マスター)っ!?」



「ふええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーんんっ!!!止まらないようおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーっっ!!!」




マーヤは、白竜人族の長にして、大帝たるエリンに叩き飛ばされて、更には東へと拭いて居る気流で、もっともっと東へと飛んで行くのである。



 トラブルなアセリア族の総長は、何所まで飛んで行くのであろうか?



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・アメリカ海軍艦隊集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




この日、アメリカ軍艦隊は、海上自衛隊のバックアップの為に、ローラーナ帝国艦隊・・・・・正式名称、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊から約30キロ南の海上で航行しながら待機して居た。



 この艦隊には、空母が配備されて居ない。



 その全てが巡洋艦級と駆逐級のミサイル艦で占められて居る。


 流石に命がけに成りかねない空母艦隊戦を米軍兵士にさせる事は、日本としては避けたかった面子が有ったからでもある。


 先ずは日本国を守るのは自国主導が当たり前であるがであるが、何せ80年近くも平和ボケに成って居たせいで、いざ戦時体制へと移行するのにも相当な気を遣う。


 それに日米安保条約も継続して居るが、今の米軍は補給物資の入手を日本国に頼って居る。


早々簡単に地球世界時代の様な軍事行動は不可能でもあった。


  しかしながら、西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊をダバード・ロード王国へと派遣するのに当たり、防衛体制の空白してしまう部分が有るのは致し方無い事であった。


その穴埋めに在日米軍を活用する事は当然の帰結と言えるだろう。



「ロイガー司令官っ!!日本政府及び防衛省からっ!!我ら合衆国海軍に対して、日本国侵攻作戦を企図し居ると思わしき、集結中のローラーナ帝国軍艦隊への攻撃要請が来て居りますっ!!」



アメリカ臨時政府と米軍臨時総司令部は、ロイガー・ゲインジャー大佐を総司令官に任命して、タイテンデロガ級ミサイル巡洋艦アンティータムを旗艦にして、その旗下に在る15隻の巡洋艦と15隻の駆逐艦が集められ派遣されて居た。



「良しっ!!各艦へ通達するっ!!第1次攻撃を開始せよっ!」




「全艦隊に告ぐっ!!ミサイル撃ち方よーいっ!!」




「目標っ!!ローラーナ帝国軍艦隊っ!!距離2万5千っ!!」



「イエッサーっ!!全艦隊に告ぐっ!!ミサイル撃ち方よーいっ!!」




「目標っ!!ローラーナ帝国軍艦隊っ!!距離2万5千っ!!」




「撃ち方っ!!始めえええぇぇぇぇーーーーーっ!!!」



「サルヴオオオオォォォォォーーーーーーーーーーーッ!!!」



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!


 旗艦からの通信で、一斉に全艦から夥しい数の150基ものミサイルが打ち上げられて行く。



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!




 天高く撃ち上げられて行くミサイル群は、『ゴオォォォォォーーっ!!』と言うロケット噴射煙を放ちつつ、定められた目標へとミサイルが向って行く。



一方、時を同じくして、ドローン偵察機のグローバルホークも爆装付で、日米両国合わせて20機以上が稼動して居た。



更に宇宙から両国の監視衛星と言うチート過ぎるのも良い所と言う感じで、宇宙の監視網と地上の長距離レーダー監視網で、海自艦隊と米軍艦隊のバックアップをして居るのだ。


 ローラーナ帝国側が、この事実を知ったのならば、卑怯にも程が有ると抗議の言葉を言うかも知れない。


 かつての旧ドイツ軍のイギリス本土侵攻を防いだイギリス政府と軍は新兵器の開発よりも、レーダーの逸早い開発と配備を進めたお陰で、ドイツ空軍を待ち伏せた上でのタコ殴りすると言う荒業が出きた史実がある。



敵の襲来と位置の把握は、戦略上最も重要な対策である。



 如何なる兵器も大軍もレーダーを使用による迎撃を行う事が可能なのは、戦略的に凄く楽に成るのである。



一方の海上自衛隊艦隊旗艦である航空護衛艦あかぎでは、交援省からの迎撃作戦の開始が伝えられた。



 米海軍のロイガー司令官からも、陽動作戦を開始したとの通信が入って来て居た。



この迎撃作戦の第1段階は、ローラーナ帝国艦隊の正面に展開する米海軍艦隊がミサイルによる遠距離攻撃で陽動作戦を仕掛ける。



 防衛省が中心と成って作成した作戦では、これを約3回行われる事に成って居る。



次にその攻撃で、恐らく敵の航空隊の全機体が、自衛隊が防衛体制を敷いて居ると考えられる先の大空へと舞い上がり、真正面に向かって襲い掛かって来るだろう。


その隙を突いて奇襲をかける作戦を日本政府と防衛省が協議した作戦に加えて、交援省の意見を取り入れ要れて作戦をアレンジをし、コンピューターシュミレーションを繰り返す念の入れようの作戦が組まれて居た。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前8時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市・福岡市東部郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 




 異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室内に在るモニター画面を見ながら、竜史は交援省を中心とした迎撃作戦が開始される所を見守って居た。



「始まった・・・・」



「はい。まだ、この世界での慣例上の公式には、ローラーナ帝国と本格的な交戦状態では有りません。」



「紅葉さんの話では、彼の帝国は仕掛けた相手国に初戦で勝ってから宣戦布告するらしいですね。」



竜史と自衛隊からの出向者の伊丹課長とのやり取りから防衛監督指令室の会話が始まった。



 各課の課長級も、ある程度の仕事に方を付けて此処に戦況の行く末を見ようと防衛監督指令室へとやって来て居た。



何せ日本国に取っては、実に85年振りの戦争である。


 この省庁の職員として、又はこの交援省に関わる者達に取っては、少なからず、その行く末の行き先への興味と、その推移を見守りたくなる様な事でも有ったからだった。



「まぁ、何とも卑怯も良い所だな・・・・・・・・・」



「戦争を国是として居る軍国主義らしいやり方だなぁ・・・・・・・」



林史也厚労課長と竹尾敏明国交課長の二人がぼやいた。



 二人も含めて専門外では在るが、今後の日本や異世界各国がどうなるのかが、この戦闘に掛かって居ると言っても言い過ぎでは無いだろう。



何所の異世界国家が、この戦闘の推移に付いて、何かを聞いて来るかもしれない。



 その時に自信を持って、大丈夫だと言える様に見て置くのも、今後の交援省での活動をして行く参考の一つには成るだろう。



「伊丹さん。例の件ですが・・・・・・・・」



「ああ、確かに紅葉皇女殿下の予知能力の通りでしたよ。」



「何だ。又もや、あの皇女様から何か有ったのかね?」



「いいえ、試しに紅葉殿下の予知能力を試したんですよ。」



「ほほう・・・・・・・・・」



 藤原外務課長を含めて、この場所に居る者達は、星読みの巫女・星読み・星読みのお告げと言われ居る力事で、紅葉の能力に付いては、大まかに知って居た。



 外務課長である藤原は、ちょっとした好奇心から、その結果に興味を抱いたのであった。



今回は竜史が気を利かせて、伊丹の立会いの元で、この戦いに関する結果に付いて、紅葉に聞いて見たのである。



「先方艦隊は・・・・・成るべく外して上げて欲しいの。」



「それは如何して、ですか?」



 竜史が、その理由に付いて聞いて見た。



「うーん・・・・・・多分、ドラグナー皇国(おうこく)のレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の艦隊が出て来ると思うのよ。」


「その軍を指揮して居るのは、第一皇女のヴァロニカ・サークラ・レアモン皇女殿下よ。」


「私達、顔見知りの親しい間柄では、ヴァロニカ姉様と呼んで、尊敬をして居るお姉様なの。」


「アースティア世界でも指折りの武に秀でたお方だから、下手をするとミサイルや戦闘機、日本軍自慢の戦艦すら、生身で叩き斬る可能性すら有るわよ。」



「あっ、有り得ませんよっ!!」



「音速飛行する物体を斬ったり、軍艦等の分厚い装甲板を斬り付けるなんて、離れ業が、自在する筈が・・・・・・・・・・・・」



「あははははっ!!そんなバカな・・・・・と地球に居た時の僕も、ついこの間までは、こう言いたいけどさ、これは本当に有り得るかもな・・・・・・・・・・・」



「高見くん、冗談を言って居る場合ですかと、この俺も言いたいですけど、其処まで二人が真剣に考えると流石に現実主義の組織である我が自衛隊でも、そのまさか、まさかに、真剣な対応を考えないと行けませんね・・・・・・・・・」



「ヴァロニカ姉様は、戦に措いて知略き巡らす事は在っても卑怯な手段は取らず、正々堂々と戦う御人です。」



「直営の味方が、有る程度の被害が及び、彼我の戦力差を感じると、必ずや撤退をして来る筈です。」



「本当に?」



 竜史は半信半疑で聞き返す。


 アニメ・マンガ・ゲーム上のストーリー内容に措いて、その手の筋肉・脳筋バカと言う奴は、変な所で本気に成るから非常に面倒くさいし、厄介な事この上ない。



「追い込み過ぎなければ、姉様は猛反撃を控える筈です。」


「それに私から手心だと、少なからず気付いても良い筈です。」


「何なら何某かの囮を使って本隊から引き離しせば・・・・・・・・・・」



「それは良い手かも知れませんね。」


「一騎当千の猛者は昔から相手をしないで馬と軍隊を蹴散らせば、何もできないのは兵道の常。」


「三国志の呂布奉先の様に?」と聞く竜史。


「その通り。将を討たんとするならば、先ずは馬を射よとも言いますしね。」と答えた伊丹は、如何やら何か思い付いたらしい。



「姉様は、10年前にドラグナー皇国の落時に、それをやられて失敗していますし。」



「でも伊丹さん。仮にも妃将軍と言う軍職に付いて居る皇女様ですよ。」


「まさか同じ撤は踏まないてしょうか・・・・・・・・・」と心配になる竜史。



「多分、大丈夫でしょう。」


「ローラーナ帝国は属国に対して結構、キツイ命令をしますから、引き返して助けるなんて事をするなと言われるのが目に見えて居るので、姉様も何も出きないかも知れませんよ。」と補足する紅葉。



「では幾つかのケース別に作戦を立てて見ましょうか?」



「あっ、それと何ですが、こっちの離島である諸島なんですけど・・・・・・・・」



紅葉が地図上の尖閣諸島を指差して居た。



「ああ、尖閣諸島ですか?かなり前から無人島なので特に問題ありませんよ。」



「そうなんですか?でも放って置くと非常に厄介に成るドクロマークの船団が現れますよ。」



「紅葉さん、それって、もしかして・・・海賊?」



「この辺りで、星読みで見通しをすると、物凄く嫌な予感がするのよねぇ・・・・・・・・」



「それならば、海保と海自のはやぶさミサイル艇とゆきかぜ型護衛艦隊を派遣するよう本省に具申しましょう。」


 

 ・・・・・・ってな事が有り、奇しくも科学と超常の力を合わせての監視網が出来上がってしまうと言う顛末が、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊側に待って居たのであった。



「何だか、あの帝国艦隊の人達の事が、有る意味、哀れですね・・・・・・・・・・」



「まぁ、これも自業自得でしょう。」



藤原は苦笑しつつも、彼の帝国艦隊の事を哀れんで居た。


 勿論、読んで字の如く、海の藻屑と化すのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時37分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点・旗艦・航空護衛艦あかぎ・あかぎ艦橋にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



  一方の海自艦隊は、現在発生して居る低気圧の雲の下に居た。



 その下では、激しい雨が降りつつある。



 そして、竜史は、目の前に置かれて居る通信機のマイクにスイッチ入れて、あかぎと海自衛艦隊の全艦隊に向けて言う。



 日本国海上自衛隊には、4つの護衛隊群と呼ばれる艦隊が存在し、一万人の隊員達が任務に従事して居る。


 日本国政府は、ダバード・ロード王国へのお使いへと向かわせた西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊。


 

 略称名・ダバ派遣艦隊の事も在って艦艇数が半部に減って居るのは否めないが、居残って居る方も、もう一つ編成させた精鋭艦隊でもある。



 対ローラーナ帝国と呼ばれる異世界覇権主義国家との武力衝突に備えて、東シナ海近海に4つの護衛隊群から選りすぐりの艦艇をダバ派遣艦隊の二分する事に成ってしまうが、現状では致し方無い事であった。


 その護衛隊群には、特に艦隊名は特に付けられて居なかったが、名無しなのは流石に不味いので、4つある護衛隊群から組合せた連合艦隊である事から、日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊と名付けられて居た。


 これが後に司令長官である南雲忠二(ちゅぅじ)一佐の名を取って、南雲護衛隊群と呼称されてしまうのは、皮肉としか言いようが無いと言えた。


「南雲司令官、お久し振りです。こうして、お話しするのも万代市以来ですね。」



「おおっ!!高見くんか?」



「通信を全艦隊に向けて入れて貰えますか?」




司令官たる南雲一佐は、竜史の意図を察して通信を全艦隊入れように指示を出す。



「皆さん、作戦開始する中での突然の通信を失礼します。」


「今しがた米軍が、我々の迎撃作戦の支援攻撃を開始したのは、既に知って居る事と思います。」



「日本国政府並びに、防衛省から異世界国家交流総合支援省に対して、特殊国外地派遣遠征有事法に基づく、自衛隊の管理監視委託を決定致しました。」


「其処で僕の所管する交援省の権限の一つである自衛隊最高司令官代理の名に置いて、東シナ海近海で迎撃警戒監視中及び出動命令・待機中の全自衛隊に対して、命令を発します。」


「これより日本国領海及び日本国へと侵攻を意図して居るローラーナ帝国軍艦隊の迎撃に対して、一切の武器・兵器の使用を無制限使用を許可するっ!!」



「奴らに我々の戦争の仕方を教えてやり、こんな事に成るの為らば、来なければ良かったでは済まない程の後悔をさせてやれっ!!!」


「僕は大ヒットSFロボットアニメっ!!コードギア・反逆のルルーシュリアに措いてっ!!主人公たるルルーシュリア・ブルガリアが言い放ったある名言を訓示として言ますっ!!」


「『撃って良いのはっ!!撃たれる覚悟を持って居る者だけだっ!!』これまでこの世界で散々好き放題してきたツケを奴らに払わせてやれっ!!ふっふっふっ、ふっふっふっ、ふっふっふっ、フハハハハハハハハっ!!フハハハハハっ!!フハハハハハハハハっ!!フハハハハハハハハっ!!アーッハッハッハッハッ・・・・・」



「以上が高見交援省大臣からの訓示です。」


「各員奮励努力を心がけて下さい。それでは交援省大臣からの訓示は以上と成ります。」 



伊丹が竜史の通信を遮る様に通信を入れた。


 竜史は、ツイツイ何処かの仮面司令官のキャラ的なノリのセリフ言ってしまって居た。


 でも大丈夫。


 自衛隊と米軍をボロ雑巾の様に使捨て居る考えは無いから、それに今頃は、静まれ、静まれとか言って居ないのでご安心して下さい。



「・・・・・・・・と言う事だ。高見交援省大臣は、戦争に挑む覚悟を持って、任務に当たれと仰って居られる。」


「全艦っ!!各員奮励努力せよっ!!空自航空隊は、直ちに発艦を開始せよっ!!」



「了解っ!空自航空隊っ!!第一航空隊っ!!第二航空隊っ!!全機発艦開始っ!!!」




南雲一佐は、竜史の最後のオチなど気にも留めずに、副官である藤田沙希二佐を始めとする隊員と全艦隊に命令を飛ばす。


 藤田二佐も、復唱で空自航空隊の発艦を開始させた。



 現在の日本の空母運用は、海自が担って居るが、その艦載機である航空隊は空自が担って居た。


 海自でも航空隊創設を始めて居るが、運用に関してはまだまだで、暫くは空自と海自のに組織で運用しなければ、手が回らない様である。


因みに海自では、米軍からのお下がりであるF-18戦闘機を練習機に使って居る。


 F-35は、空自のみが使う予定で居るらしいが、異世界に転移した今と成っては、今後がどう言った配備に成るのだろうか?



 航空機の運用状況は以下の通り。


 航空護衛艦あかぎ・戦闘機40・偵察機E-2ホークアイ2機・SH-60Kヘリコプター3機。 



第一航空隊・F―2A・10機。



第二航空隊・F―2A・10機。



第三航空隊・F―15J・10機。    



第五航空隊・F―15J・10機。



 しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。 



各艦に戦闘機・10機・SH-60Kヘリコプター2機・RF―4EJ2機。 



第四航空隊・F―2A・10機。



第六航空隊・F―15J・10機。



あかぎは、アメリカのニミッツ級空母モデルに作られて居り、それと同様にカタパルトが四つ存在する。


 偵察機は、既に飛び立って居り、第一航空隊と第二航空隊が、発艦を開始した。


 本来ならF―15JもF―2も艦上攻撃機として開発されて居ない。



 其処をF-35の繋ぎとして、強引な改修がちゃんと施されて居る。



 しかも、旧型のF-4同様で、試験機として改修が行われて居るのだ。



第一カタパルトと第二カタパルトに第一航空隊のF―2Aが1機づづ配置に着く。


 第三カタパルトと第四カタパルトに第二航空隊のF―2Aが1機づつ。


 それぞれの後ろには、ジェットブラストディフレクター起き上がり、戦闘機からのジェット噴射を大きく受けていた。



 ゴオォォォーッと言う音を響かせて、空自航空隊の戦闘機は、三隻の航空護衛艦から、それぞれ飛び立って行くのであった。


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