天才王女のお母様は、やはり天才でした
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私? 私の名前はレーナ。夫はまあ……ナンコーク王国の王様をやっているわ。
表向き、私は政務には口出ししない。けれど、夫は私に時々意見を求めてくることもあるわね。
それにしても、最近は嬉しいことばかりだわ。娘のエレナちゃんがこんなにも立派になって、この国をきちんと動かしているんだから。まだまだ甘いところはあるけれど、あと数年も経験を積めば何とでもなるでしょう。さすがは私たちの娘ね。
そんなエレナちゃんに縁談の申し込みが来た時、思わず帝国を潰したくなっちゃったわ。あの可愛くて、類稀な才覚を発揮するエレナちゃんが帝国に? しかも相手は愚鈍と評判の第二皇子? 全くふざけてるとしか思えないわ。
けれど、はたと思い直したの。もしも私がエレナちゃんの立場だったら、間違いなくこの申し出を受けるはず。当然縁談は断るけれど、ここで帝国の手の内を知っておきたいところだし。しかも相手は第二皇子でしょう? うまく転がしながら欲しいものだけ持って帰ることなんて造作もないわ。
だから、エレナちゃんが表情一つ変えずに手紙を読み終え、すぐさま申し出を受けると言った時には嬉しくなっちゃった。家族以外には、ほとんど心底からの笑みなんて浮かべたことなかったけど、まあエレナちゃんには昔から見せてるからいいよね。
今日の報告にもあった帝国の敏腕外交官とのやり取り。それに今回の決断。もうそろそろ私たちが手を放しても、エレナちゃん一人でうまくやっていくかもしれないわ。少し夫と相談してみましょう。
……全く、本当に今後が楽しみで仕方ないわ。
「お嬢様、ご結婚なさるのですか⁉︎」
自分の部屋に戻るなり、開口一番に聞こえてきたのはミリダの声でした。その悲鳴に近い声を聞き流しつつ部屋の中を見回すと、案の定ケーネがニヤリと笑いながら立っていました。
ついさっきのやり取りをミリダに教えたのは彼のようです。
「ミリダ、私は別に結婚する気はないわ。ただ、帝国のパーティーに出席してくるだけ」
「なんと、そうだったのですか! お嬢様にご結婚の意思がないと知って私、安心いたしました」
「なんであなたが安心するのよ……それとケーネ、あなたは今月の給料は半分にするから」
「おいおい、それは横暴ってもんだろう⁉︎」
慌てた様子のケーネに、私は特別すました顔を向けます。
「昼間の一件しかり、今回の件もすこしやり過ぎよ。あなたには機密という概念が足りなさすぎるわ。自分の給料を守りたいなら、結果で示すことね」
「ったく、漏らしていい相手ぐらい選んでるっての。けど、ちょっっとだけやり過ぎたかもな。すまん」
こういう素直なところ、私は嫌いではありません。むしろ、好ましいと思います。
だからこそ、私はこのケーネをそばに置いておくのです。
「わかったら、早く帝国の情報を探ってきてくださいな。道中、賊に襲われたなんて無様なことにはなりたくないですから」
「道中の警戒は既に済んでる。が、それもまだ万全というわけじゃない。パーティーはいつの予定だ?」
「来月の末よ。今から一ヶ月ほどしかないけれど、準備は間に合いそう?」
「当たり前だ。そんだけあれば十分ってもんよ」
「今からあれば、お嬢様のドレスも新調できますわ。後ほど、デザイン案をお渡しします」
本当にこの二人は優秀ね。こんなこともあろうかと、前々から準備してきたのでしょう。
私の思いつきや行動についてこられる数少ない友人です。
「それでは、帝国行きの準備を始めましょうか!」
もっとも、この時には誰も『あんなこと』になるとは予想していませんでした……




