天才王女は、断罪します
前話の前書きで言い忘れていたのですが、昨日よもぎ団子さん、シュレディンガーの猫さんから感想を頂きました。Thank you for impression!
昨日は少しばかり用事が立て込んでいて、更新話を書き終えたのもギリギリだったのです……なんて言い訳はこれぐらいにしておきます。次から気を付けますので、皆さんも感想くださいね!(ちゃんと反省はしてますよ!)
それでは、本編どうぞ!
共和国の政府から、国内に侵入した大臣を拘束したとの報告が入ったのは、私がお父様にアンネからの情報を伝えてから三日後でした。恐らく、私たちが大臣を探していることは共和国も知っているはずなので、こちらが何か手を打つ前にカタを付けたかったのでしょう。
しかし共和国としては、王国と帝国の問題に巻き込まれた形となり、しかも捕らえたのは帝国の大物であるザルバ大臣。どのように扱っていいのやら困っている様子だったので、お父様が共和国から大臣を引き取ったのです。
そんなわけで、現在私の前には牢に入れられた大臣がいるのでした。
「いつぞやの夜とは、状況が逆転しましたね。ご気分はいかがかしら?」
「……最悪だ。私にこのような扱い、帝国が黙っていないぞ」
「貴方を助けるために、かの国が動くと? ありえないわね」
そう断じて微笑みかけると、大臣はギロリとこちらを睨みます。
あら、怖い顔。それがあなたの本性ですか。
「すでに帝国は我が国に多額の賠償金を支払い、戦争を仕掛けるお金は残っていませんよ。しかも皇子たちの影響力が地に落ちたので、上の方々は保身に走ってだんまりを決め込むでしょうね。無関係の共和国が貴方を裁けば問題になったかもしれませんが、被害者のウチが裁く分には何の問題もないでしょう?」
共和国からウチに引き取れているのがいい証拠で、本来ならすぐにでも帝国へ帰さなきゃならないはずでです。けれど王国が大臣を引き取ったことに対して帝国が黙っているのだから、口には出さなくても『切り捨てた』と見ていいでしょう。
「すでに財産もなく、ご自慢の私兵も解体されたと聞くわ。今の貴方は、ただの一般人よ。それも、王国の姫に狼藉を働いたという重罪付きのね」
「……儂が、何をしたというんだ……儂が今まで帝国に貢献したことに比べれば、お前を監禁することなど小さなことではないか!」
呆れた人。まだそんなことを言っているのですか。
確かに帝国の躍進には、ザルバ大臣の能力が大きく寄与していることは間違いありません。ですから、今まで少々無茶なことをしても帝国は許していたのでしょう。
ですが、あくまでそれは帝国での話。王国にとってザルバ大臣が何の貢献もしていない以上、利用価値もなければ生かしておく価値すらないのです。
「そう思っているのなら、そのままでも構わないわ。どうせ、長くはない命でしょう。
貴方に謝罪の色があれば、私もここまで冷酷になれなかったでしょうけど、貴方が勘違いの激しい男で助かったわ。
もし帝国が王国の法で貴方を裁くことを許可すれば、覚悟なさい。死ぬよりも辛い刑をプレゼントするわ」
私は、そこまで言い切るとザルバ大臣に背を向ける。背後で彼が鉄格子を掴んで揺らし、金属が耳障りな音を立てて叫びますが決して振り返りません。
大臣には言いませんでしたが、正直私だけを害したのならそこまで怒ることもなかったでしょう。
ですが、あの男は私の大切な人たちを馬鹿にして、傷つけました。
ケーネを愚弄し、公衆の面前で馬鹿にして。
お父様やお母様、アンネやミリダに迷惑をかけて。
リリンフェルトさん、エスティアさんの人生をめちゃくちゃにして。
これがもし、些細な罪を犯しただけの男だったら同情心が湧いてしまったかもしれない。けれど、ここまで悪逆の限りを尽くした男ならば、断罪することに何のためらいもありません。
「さあ、行くわよ。こんなつまらない男に構っているのは、時間の無駄だから」
「はい、お嬢様」
護衛として連れてきたミリダと一緒に、私は独房を出たのでした。




