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お嬢様は街に出ます

昨日、よもぎ団子さんとシュレディンガーの猫さんから感想を頂きました。Thank you for impression!


その中で『人物紹介が欲しい!』とのお声を頂きましたので、この話の前に人物紹介を挟んでおきました。時間とスケジュールの都合上、本日は王国側の主要な人物紹介だけになりますが、近日中に残りの人物紹介も投稿させていただきます。


感想など、いつでもお待ちしておりますのでお気軽に!


それでは、本編どうぞ。

 さあ、今日は街に出る日です。会談や商談で王宮を出る機会は多い私ですが、こうして完全に仕事から離れた状態で街に出るのは恐らく小さい時以来ですね。図面で王都の様子は把握していますけど、道に迷ったりしないか心配です。



「お待たせ、エレナちゃん。さあ、行きましょうか!」


「お母様、今日はよろしくお願いします。……それにしてもそのお洋服、どうされたのですか?」


「これ? 王宮の下女からもらったのよ。お父様が選んでくださる服はどれも華美で、変装には向かないと思ったから」



 そう言いながらその場でクルリと一回転。使い古された麻のシャツがふわりとはためきます。


 もちろん私も王女だとばれないように変装はしていますが、それでも一応略式のドレス姿です。まあ変装という観点からすれば、お母様のような服装が完璧なのかもしれませんね。まさか一国の王妃がそんな服装で街中に出ているとは思わないでしょうし。



「……分かりました、それでは出発しましょう。ケーネ、道案内をお願いできる?」


「ああ、分かった」



 王宮の正門から出るとさすがに目立つので、裏門からこっそりと抜け出します。そのまま王宮の周りをぐるりと回ると、王都のメインストリート。昼間ということもあって、人がたくさんいますね!


 大通りから一歩入れば、そこは個人商店がずらりと並ぶ商店街。身分や人種に関わらず、様々な国の人々がにぎやかに行き来しています。



「わ、この髪留め綺麗じゃない? ねえミリダ、貴女に似合うと思うの!」



 店先に並んだ手作りの髪留め。その中から、空色に輝く髪留めを取り上げながらミリダの髪に合わせます。



「わ、私ですか? いえ、私にはそのような綺麗なものは……」


「ねえ、いいでしょ? すみませーん、これいくらですか?」


「そいつは330ベルだ。俺の自信作だからな!」



 そう言いながらニッと笑う店主のおじさん。自信作という割には価格も良心的で、造りもしっかりしている様子。



「じゃあ、この青いのを一つ、そしてこのオレンジのと銀色のを一つずつ頂けますか?」


「あいよ、まいどあり。袋は分けた方がいいかい?」


「はい、それぞれ分けてくださると助かります」



 お金をおじさんに渡し、袋を三つ受け取ります。一つを自分のカバンに入れ、青い髪留めが入ったものをミリダに、そしてオレンジ色の髪留めが入ったものをお母様に渡します。



「わあ、エレナちゃんからプレゼントをもらったわ! 帰ったらお父様に自慢しなきゃ! ありがとう!」



 子供のようにはしゃぐお母様に、私は苦笑しながら答えます。



「ちゃんとお父様の分もあとで買いますよ。ケーネ、貴方の分も選んであげるから心配しないでね?」


「べ、別に心配なんてしてねえよ!」



 そんなやり取りをしながらさらに通りを進みます。商店街を抜けたところでお肉の焼ける香ばしい香りが漂ってきて、まだお昼ご飯を食べていないことにやっと気づきました。


 人の合間を抜けながら何とかお店に入り、店員さんの指示に従って奥のテーブルへ。テーブルに置かれたメニューを見る限り、どうやらここはお肉専門のお店のようです。



「そうね……私はこのステーキを。エレナちゃんは?」


「私は鶏肉のシチューとパンをお願いします」


「俺はエレナとおんなじ奴で。ミリダは……ミリダも同じ奴が食いたいみたいだ」



 注文を受けて店員さんが離れていきます。しばらくすると、頼んだ料理を抱えた店員さんと共に男性二人組がやってきました。



「こちら、ご注文の料理になります。あと、店内が混雑してきましたので、相席をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」



 お母様が私たちにちらりと視線を向けて確認を取り、全員が首を縦に振ったところで『構いませんよ』と答えます。


 男性たちは私たちに一礼すると、大きな荷物を置きながら木の椅子に座ります。



「悪いな嬢ちゃんたち。普通なら店外で待たせてもらうんだが、こちとら長距離を移動してきたばっかりで疲れててな」


「長距離、ですか。ちなみにどこから?」


「小国連合からさ。商品の仕入れに来たってわけよ」



 小国連合から、ですか。この時期にかの地からやってくるということは、それなりに大きな商会の人間なのでしょう。


 今は小国連合へとつながる街道に砂嵐が発生しやすく、わざわざウチへ仕入れに来る商会は珍しいですから。



「しっかし、王都はどんどん綺麗になってくなあ。聞くところじゃ、どんどん住みやすくなってるらしいじゃねえか」


「そうそう、税金も減ってしかもタダ同然の値段で薬が配られてるんだってよ。あー、俺も王国へ引っ越そうかなー」


「あら、小国連合でもそんなに噂になってるの?」


「ああ。噂というよりほとんど確定情報だから、最近は移住希望者も増えてきてるぜ」



 そうですか……私のしていたことは、王国の民にとって良いことだったのですね。王宮にいては数字と文字でしかみんなの意見を知ることは出来ませんから、こうして生の声を聴けるというのは本当に貴重です。

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