天才王女は、自分の両親と対峙します
昨日、シュレディンガーの猫さんと文月 明さんから感想を頂きました。Thank you for impression!
マイページの赤文字を見るだけでニマニマする筆者、わくわくしながら感想欄を開いてみれば二件も感想を頂いていて、思わずくわえていたチュッパチャップスを落としそうになりました。汚いですね()
お二人とも温かい感想で、猫さんに至っては『毎日感想を書いてあげるよん』とのこと。もはや神と言っても差し支えないですよ、ええ。
そんな『天才王女』、皆さんの応援を受けて今日も更新です! これからもよろしくお願いします!
次の日、私はいつもよりも早く起きてお父様の部屋に来ていました。私たちの予想が正しければ、朝食を摂ったらすぐに王宮を出ていくでしょう。その前に真偽を確かめ、もし本当に大臣を罠にかけるつもりならば私たちも付いて行きたいからです。
「おはようございます、お父様、お母様。やはり起きていらっしゃいましたか」
「おはよう、エレナ」
「あらおはよう、エレナちゃん。このタイミングでここに来たってことは、私たちのしようとしていることに気付いたのね?」
ふんわりと微笑みながらドレスを着るお母様。そのそばではお父様がネクタイを締めておられます。
「それで、エレナちゃんは何をしに来たの? 私たちを止めに来た……?」
「む、今更止められてもどうにもならんぞ。確かにエレナを餌に使うような真似をしたことは謝るが、もう役者は揃ってしまったからな。帰ってきてから誹りは受けるとしよう」
そう言いながら、二人とも出発の準備をやめません。二人は平気な顔を装ってはいますが、どこか顔に娘をだしに使ったという罪悪感を滲ませています。
私でなければ、実の娘でなければ気付かなかったであろう、ほんのわずかな変化。しかし、私はそれで充分です。
だから、私は吸った息をゆっくり吐き、そのまま言葉を添えて喉を通します。
「――――お父様、お母様。私を連れて行ってはくださいませんか?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
今回の大臣を嵌めるための罠は、『エレナ』という存在あってのものだ。以前から大臣が娘に執着していることは薄々気づいていたし、だからこそエレナがハニートラップまがいの作戦を立てていることを知りながら帝国に行かせた。もちろん最悪の状況だけは回避できるよう、自分の手の者をこっそりそばに置いてはいたが。
為政者としては正しいことをしていても、一人の父親としては許されない行為。勘のいいエレナならすぐに気付くと思っていたし、気付けば軽蔑されると覚悟していた。
それが――――
「つ、連れていく……? エレナは私たちを糾弾しに来たのではなかったのか……?」
「ええ、もしお父様たちが良心の呵責なく、こんなことをしたのなら私も怒ったでしょう。けれどお父様たちは申し訳ないと思っていて、そこに私が追い打ちをかけても詮無いことです。
それに、お父様は何も間違ったことはなさっていないと思います。私もお父様の立場なら、おそらく同じ選択をしたと思いますもの」
「エレナちゃん、あのねっ……私たちが言えることではないけれど、この状況なら怒ってもいいのよ……? 私が子供の時に同じことをされたなら、絶対に泣いて喚いたわ」
「ですが、それでは何も解決しません。だから私は怒る代わりに、久々の『おねだり』をしていますの。受けて……くださいますよね……?」
そう言いながら微笑むエレナ。言いたいことは山ほどあるだろうに、それを微笑みの裏に隠して相手の事情を察しながら話すとは……
レーナと同じく、私とてエレナぐらいの年の頃にここまで感情と論理を切り分けて動けたかどうかわからない。
「もう、エレナは大人なのかもしれんな……」
「お父様?」
「いや、何でもない。分かった、一緒に行こう。
だが、必ず近くに護衛を付けて動いておくれ。ミリダやケーネあたりが一緒に来てくれればよいのだが……」
「二人とも来てくれるそうですよ。ちなみに、アンネも一緒に来るそうです」
全く、用意は抜かりないということか。よく見ればエレナもすでにドレスを纏い、いつでも出発できる服装をしている。恐らく、ケーネやミリダがすでに馬車の手配もしているのだろう。
いつの間に、娘はここまで成長したのだろう。私は思わず苦笑すると、エレナの手をそっと取りながら口を開く。私の行動にレーナも察したのか、エレナをそっと抱きしめた。
「済まなかった。二度としないから、許しておくれ」
「本当にごめんなさいね。許してくれるかしら……?」
「ええ、もちろん。では、一緒に大臣を懲らしめましょう!」




