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お嬢様はお見舞いに行きます

昨日、シュレディンガーの猫さんから感想を頂きました。Thank you for impression!


猫さんはかなり初期から感想をくださる方で、しかも優しい言い回しと的確な指摘が素敵な方なんですよ。またもや『天才王女の読者様はみんな聖人説』が証明されたわけですね。本当にありがとうございます!


いつでも感想は受け付けております。どんな些細なことでもいいので、ご指摘やご意見などありましたら是非お願いします!


 翌日、私はミリダに言われた通り休養を取っていました。いつもよりも遅く起き、時間に追われずに朝食をとり、自分の部屋に戻ったところでようやく違和感の正体に気が付いたのです。


 それは……



「———ねえ、ケーネ。暇じゃない?」


「ああ、どうしようもないぐらい暇だな……」



 そう、とんでもなく暇なのです! これまでとんでもなく忙しい日常を送ってきたので、逆にこうして時間に余裕ができてしまうと二人とも戸惑うのです。



「ど、どうしようかしら……やっぱり、私たちも何か手伝ったりした方が———」


「お嬢様。今日は一日休暇を取っていただくお約束です」



 いつの間にか背後に現れたミリダが、私の肩に手を添えながら有無を言わせない口調で注意します。



「み、ミリダ!? だって暇なのよ……そうだ、エスティアさんのお見舞いは? それなら仕事じゃないしいいでしょう? ね?」


「はあ……仕方ありませんね。そこの勤勉バカ秘書と一緒になら、私も目をつむりましょう」



 確かに、いくら王国の中とはいえ一人で王宮から離れるのは不用心よね。王国の中には当然、私の政治に不満を持つ人間や様々な思惑で私を害しようとする人間は少なからずいるのは事実。だから今まで、なかなかエスティアさんのところへ行けなかったのだけど、ケーネが一緒なら安心ね。



「それではお嬢様、いってらっしゃいませ。私は仕事があるので、これで失礼いたします」


「ええ、頑張ってね。ではケーネ、久々のデートを楽しみましょう!」


「いつ俺がエレナとデートしたよ……ただの見舞いだろ? ちゃっちゃと済ませて飯でも食おうぜ」



 そんなわけで、私とケーネはエスティアさんのお見舞いに向かうのでした。




「エレナ王女殿下、ご機嫌麗しゅう」


「あら、楽にして頂戴な。今日の私はただのエレナよ。皆さんもそのように接してくださるとうれしいわ」



 医師の皆さんが私を見かけた途端、慌てて礼の姿勢を取ります。ですが私はそれを手で制し、彼らに微笑みかけます。休暇中の私は王女ではなく、ただのエレナにすぎませんからね。むしろ、こうしていきなり押し掛けたことを詫びないといけないぐらいです。



「して、今日はどのようなご用向きで? ここにいらっしゃるのも久しぶりですが……」


「一人、結核の女性を運び込んだでしょう? 彼女のお見舞いに来たのよ。

 彼女、調子はどうかしら……?」


「お嬢様の開発された薬により、目覚ましい速度で快方へと向かっております。もうすぐ目覚める頃合いだと思いますが……あ、噂をすればですね」



 ベッドの上の女性が身じろぎをし、ゆっくり目を開けます。瑠璃色の瞳に、端正な容貌。リリンフェルトさんから散々聞いていましたが、本当に美しい女性です。



「ここがどこか分かる?」


「なんこーく、おうこく? えれなでんか……」


「そうよ。病気の貴女を、リリンフェルトさんと一緒に連れてきたの。王国に着いてから四日ほどね」



 そう考えたら、医師の言う通り驚異的な回復力ですね。発病してから日が経っていなかったこと、栄養状態が良かったことが功を奏したのかもしれません。リダの時はもっと時間がかかったのですが、彼の場合は栄養状態が最悪でしたからね。



「夫は……リリンフェルトはどちらに?」


「今は恐らく、私の部下と仕事中よ。仕事が終われば、すぐに駆け付けるように伝えるわ。だから、今はゆっくり休んで頂戴」



 私の言葉に、エスティアさんは安心したのか目を閉じます。そもそも彼女は病み上がりですし、元気になればいつでも話せるのだから焦ることもないでしょう。


 それにしても、目覚めると同時に夫の心配なんて羨ましいですね。一人の女として、そういう相手がいるということは素直に羨ましいものです。

 

 私は隣に立つケーネの腕をそっと抱き寄せると、眠るエスティアさんをぼんやりと眺めていたのでした。







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