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天才王女は幸せになります

「———と、いうのが私とお父様の出会いのお話よ。どう、気に入ってくれたかしら?」


「はいっ! とてもろまんちっくですっ!」



 そう答えながら表情を輝かせる愛娘に、私もついつい表情が緩んでしまう。今年四歳になったばかりのフェリナは好奇心旺盛な少女で、私やケーネの暇を見つけては話をしてくれとせがむのです。


 ケーネ譲りの黒い瞳に、私と同じ金色の長い髪。ケーネに言わせればこの好奇心も、私譲りなのだとか。


 世界で一番かわいい、私たちの宝物たちです。



「お嬢様、ここにいらっしゃいましたか。次の会談の予定が来てございます」


「ありがとう。……ところでミリダ、そろそろ『お嬢様』は止めにしないかしら?」


「おかあさまは、かわいらしいひとなので『お嬢様』と呼ぶのがふさわしいのです! ってミリダが言っていましたよ? わたしも、その方がいいと思いますっ!」



 両手を握りしめながら力強く語るフェリナ。腕の中の彼女をそっと撫でると、気持ちよさそうに目を細めて微笑みます。



「……フェリナが言うのでしたら、もうしばらく『お嬢様』にしましょうか」


「まったく、エレナは親バカが過ぎる。———会談は俺の方で片づけてくるから、フェリナとマリルを預かっててくれるか?」


「おとうさまー!」


 

 苦笑しながら入ってきたケーネの腕では、昨年生まれたマリルがすやすやと眠っています。彼はケーネにそっくりな黒髪が特徴的な男の子。顔立ちもケーネにそっくりですし、きっとカッコいい美少年に育つことでしょう。


 世界で一番可愛い、私たちの宝石たちです。


 片腕でマリルをあやしつつ、抱きつくフェリナをもう一本の腕で抱き上げるケーネ。二人とも私から離れてしまって少し残念です。二人とも彼に抱き上げられている時が一番幸せそうに笑うのです。


 ……今度、お母様に抱き上げ方を聞いてこようかしら?



「ケーネ、そう言う貴方は私に甘すぎよ。会談はいつも通り、二人で臨みましょう?」


「ま、そう言うと思ったよ。———ミリダ、少しの間二人を預かっててくれるか?」


「ええ、もちろん。行ってらっしゃいませ」



 彼女に見送られる形で私たちは執務室へ。そこには見慣れた顔の男性———シャルロット商会副会長のスミスさんが座っていました。



「お待ちしておりました、王女殿下。本日は高等学校から提供された新技術、その実用化についてなのですが……」


「何か問題でも?ああ、採算が合わないとか?」


「いえ、そのう……あまりに画期的過ぎて、発案者の少女にどれだけの報酬を支払うかで揉めていまして……」


「———その、少女の名前は?」


「サラ、というようです。ご存知ですか?」



 ご存知も何も、サラはドラン将軍の娘さんではありませんか! あの将軍が『私の娘はその、少しばかり優秀でして……学校に入れてやっても構いませんか?』なんて聞いてきた時には親バカね、と思ったけれど。どうやら本当に優秀な女の子だったようです。



「ええ、良く知っているわ。その件に関しては私の方から話をしておきましょう」


「ありがとうございます。それでは次の案件は———」



 こんな風に、早熟で優秀な生徒から新たな考えがどんどん開発されるのです。その分私たちの仕事も増えたのですけど、市場はそのおかげもあって飛躍的に成長しました。大陸全土をもってしても、ここナンコーク王国の王都よりも最先端の技術、商品が並ぶ市場はないと言われるほどに。


 私の思い付きで始まった学校が、こんな形で活かされるとは予想外でしたけどね。



「それには予算を出したいな……財務課の方には俺から言っておくから、企画自体は進めていいと思うぞ。いいよな、エレナ?」


「ええ、有用な企画には予算を。これがウチのモットーなのだから構わないわよ」


「了解いたしました。本日は以上ですので、また近いうちに企画の詳細と経過をまとめたものをお持ちしますね」



 スミスさんが一礼して出ていくなり、音を立てながら背筋を伸ばすケーネ。もともとは私の癖だったのだけど、一緒に居るうちに彼にも移ったみたい。ミリダには「下品です!」って窘められてたけどね。



「ふう、終わったー。今日はこの後、急ぎの用事はないよな?」


「ええ、書類仕事も粗方片づけてあるわよ」


「なら、二人の可愛い子供たちと遊んでやるとするか! さあ、世界で一番綺麗な奥様も一緒に!」



 そう言いながら差し出される手。彼の、大きな手。


 その手に自分の指をそっと絡ませながら、フェリナとマリルの待つ部屋へと向かう。


 ……ああ、幸せとはこういうことを言うのね。



 そんなことを考えながら、心からの笑みを浮かべて。               fin

はい、これで本編は完結です。ここまでお付き合いくださった全ての方、本当にありがとうございました!

話数にして177話、文字数にして27万字越えの作品を毎日投稿し続けられたのは、温かく支えてくださる読者の方々がいらっしゃったからこそなのです。本当に、感謝しかございません。


とはいっても、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、本作は『完結』の手続きをしておりません。好評につき、もう少しだけ番外編を投稿する予定です。本編は完結したけどね!


なので、後ほんの少しお付き合いくださると幸いです。何話投稿するかは、まだ決めてませんけどね!(殴)

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