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その頃、帝国軍では

「そろそろナンコークの王妃殿も気付く頃かな?」



 ひと際豪奢な轡が嵌められた美しい馬の上で、その男はおもむろに呟いた。


 服装や装飾品の美しさ、そして佇まいからもこの男が地位の高い人物であることは分かるだろう。屈強という言葉に服を着せたようなこの巨漢の名は、ゾルルド・サルジェ。実力偏重の帝国軍において、その力のみで指揮官の座を勝ち取った傑物だ。



「ええ、もちろん。かの王よりは鋭くなくとも、レーナ王妃は愚鈍な方ではありませんから。今頃、軍を率いてこちらに向かっているでしょうね」



 ゾルルドに応じたのは、彼の横を同じく馬に乗って進む小柄な女性だ。


 彼女の名はスニリア。ゾルルドとは違い、その知力と策謀でもって帝国諜報機関の局長にまで上り詰めた才媛である。表向きは外交官として籍を持つが、その裏ではスパイ工作や要人暗殺の計画立案などを引き受ける暗部の人間だ。



「しかし、貴方がこんな作戦を立てるとは正直意外でした。そんなにかの王妃殿との戦闘は避けたかったのですか?」


「ああ、どうしても回避したかった」



 からかうように言うスニリアの言葉に、ゾルルドは重々しい表情を崩さぬまま応じた。



「アレは化け物の類だ。俺も一度戦場で姿を見たことがあるが、たとえ万の兵を用意したとてアレは突破してくるだろう。俺たち人間の尺度で測らない方がいい」


「しかし、その分策略には弱いと……そこで私を呼び出したのですね?」


「貴殿なら上手くやってくれると信じていたのでな。そうだろう、『帝国の魔女』よ」



 スニリアの言う通り、彼女はゾルルドの要請を受けてこの場へと足を運んでいるのだ。そうでもなければ、彼女が表舞台に出てくることはなかっただろう。


 あくまで彼女は文官であり、軍の指揮系統の外側にいる人物なのだから。



「おや、そろそろ私の出番ですかね。私も自分の仕事を果たすとしましょう」



 そう言いながらゾルルドとの会話を切り上げ、単身で領をぐるりと囲む壁門へと近づくスニリア。当然、領兵たちが武器を構えて行く先を封じようとするが、それを見越してか先んじて口を開いたのは彼女だった。



「私は帝国外交官のスニリアです。先ほど、貴領と友好関係にあるナンコーク王国の王妃、レーナ・ラ・アムネシア氏と調停書を交わしてきました。その件も含めて、領主であるスティアー卿とお話ししたいのだが!」


「そんな、バカな⁉」


「おい、何か領主様から聞いているか?」


「い、いや何も。けどあの王女殿下のお母さんってことだよな、そこと調印を交わしたってことは……」



 突然の事態に慌てふためく領兵に、しかし彼女は立て直す時間を与えない。



「誇り高きスティアー卿の家臣が、友好国の調印相手を無碍になさるおつもりか! 今すぐこちらを、領内へと招き入れるのが筋であろう?」


「し、失礼いたしました! おい、門を開けろ!」



(卿に一報なんて入れられたら、それこそこちらの思惑を見抜かれてしまいますからね。あちらの兵が暗弱で助かりましたわ)



 眼前で開いていく巨大な門を眺めながら、スニリアは口元を綻ばせた。

お久しぶりです、Pastです。


今日ふとマイページを見ていたら、恐ろしい数の誤字報告を頂いておりました。時間的に、おそらく昨晩のうちにどなたかが『間違ってるぞ!』と修正なさってくれたのでしょう。ありがとうございます!


最近、とみに誤字が増えてまいりました。理由は分かりません。忙しいからかもしれません(言い訳ですね)


現在頂いた誤字報告には全て目を通し、必要なものは修正をかけさせていただきました。報告をしてくださった方にはお手数をおかけしたことと思いますが、どうぞご容赦ください。



それでは皆様、これからもよろしくお願いいたします! 感想とかくれてもいいんだからねっ!(ぐいぐい)

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