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とある秘書は旅立ちます

「……っと、これで荷物は全部か?」


「はい。道案内、よろしくお願いしますね。ケーネさん」


「任せとけ。———アルカルト、俺が不在の間を頼むぞ」



 仕事に関する引継ぎは全て済ませていたが、俺はもう一度念を押す意味も込めてアルカルトへ声を掛けてから玄関へ向かう。

 アルカルトを信用していないわけじゃないが、あくまで念のためというやつだ。

 


「任せてください。ケーネ君の大切な王女殿下、私がお支え致しますよ」


「バカ野郎、そんなんじゃねえよ……まあでも、頼んだぞ」



 返す口調は軽くとも、俺の言葉にアルカルトが力強く頷く。その反応、いつもの飄々としたアルカルトだからきっと大丈夫だ。


 奴がこの王宮を訪れてからはや数カ月、もうすでにアルカルトは『影の宰相』としてエレナのために活躍しているのだ。ミリダと二人で、うまく仕事を回してくれるだろう。


 

 そんなことを考えながら、俺たちは正面ではなく裏の玄関へと向かう。なるべくなら、出立の兆候は隠しておきたいからだ。


 しかしそのドアへ近づくにつれ、一人の人影が。ドアにもたれるようにして待っていたのは、さっきまでエレナのところにいたはずのミリダだった。



「どうしたんだ、こんなところで。わざわざ見送りってタマでもないだろう?」



 普段の彼女とは違うその態度に、俺は怪訝さを隠しつつ努めておどけてみせる。


 しかしミリダの表情は優れない。もとから真面目とはいえ、ここまで表情が硬いのもそうそうないことだ。


 しばしの沈黙の後、一つため息をついたミリダはゆっくりと口を開いた。



「……お嬢様と貴方が決めたことだから言いにくいのだけど、現在国境沿いにはかなり不穏な空気が立ち込めてるわ」


「何か、情報が入ったのか?」


「断片的なものばかりだけどね。でも、その情報を精査する時間が無かったからこうして伝えに来たの」



 ほう、珍しい。ミリダはその職務上、確証のあることしか口にしない人物なのだ。


 その彼女が、確たる情報も無しに忠告するとは……これは、思っていた以上に気を引き締めなければいけないのかもしれないな。



「まあ場所と情勢から考えて、友好施設がわんさかって雰囲気じゃないのは確かだろうな。現に俺らも、以前の外遊では襲われてるし」


「そういう事よ。念のため国境警備兵には二人のことを伝えてあるし、諜報部からも何人か派遣しているわ。何かあれば貴方の命令に従うように言っておいたから、良ければ使いなさい」


「なんだかんだ言いながら心配してくれてんのな……ありがとう。多分だが、ミリダの部下はリリンフェルトの護衛に回すことになると思う」


「ま、貴方ぐらいの腕があれば切り抜けられるでしょう。……でも、気を付けて。リリンフェルトも」



 そう言いながらすっとドアから身体を離すミリダ。その態度が何とも彼女らしくて、思わず苦笑が漏れてしまう。


 俺もリリンフェルトも、まだくたばる訳にはいかないからな。細心の注意を払うとしよう。



「じゃあ、行ってくる」



 そうして俺たちは王宮を旅立ったのだった。





圧倒的フラグ感……!


ケーネ、リリンフェルト、どうか無事で(他人事)



そうそう、すっぱい葡萄さんから感想を頂きました。Thank you for impression!

以前いただいた感想から、およそ一カ月ぶりの反応でとてもこみあげるものがありました。ああ、連載を続けてきてよかったな、と。


最近は皆様から頂く誤字報告で『良かった、まだオワコンじゃない!』などと自分を慰めていましたので(誤字は本当にすみません……どうかご容赦を……)、こうして反応を頂けるとモチベーションがぐんと上向きになりますね。誤字報告でそんなことを思えるのは私だけかもしれません。オンリーワンだ!()



それでは皆様、これからも『天才王女』をよろしくお願いいたします!

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