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お嬢様はバカンスを楽しみます④

 湖が見える大窓が並んだ食堂。


 二日目も朝からよく晴れていて、陽光が水面に反射してキラキラと輝いています。この分だと、今日は一日中晴天に恵まれそうです。


 中央のテーブルにはケーネが到着していて、全員分の食器を並べていました。



「あ、おはようケーネ。よく眠れた?」


「ん、おはよう。おかげさまでぐっすり眠れたよ」



 ケーネは一人部屋だったので、かなり広々と寝ることが出来たのではないでしょうか。いつもは狭い部屋を好んで王宮に住処を作っていたので、狭い場所が好きかもと思っていましたが、どうやら違ったようです。



「お嬢様、おはようございます! 朝食の準備が出来ておりますよ」


「ありがとう。でも、何だか申し訳ないわね……」


「お気になさらず。私が好きでやっていることですから!」


「そう……? なら、いいのだけど……」



 私はミリダを友人として『旅行に行かない?』と誘ったのであって、メイドとして連れてきたわけではないのですけどね。まあ、本人が好きでやっていると言っている以上、止めるのは野暮というものでしょうか。



「さあ、お料理を並べるので席についてください。アンネ、ほらシャキッとして」


「みりだ……ふあぁ……」



 ミリダの言葉に気の抜けた返事を返すアンネ。ふと隣を見ると、一緒に食堂へ来たはずのアンネは立ったままうつらうつらしていました。



「朝が弱いのは相変わらずね、アンネ。ほら、寝癖がまだついてるわ」



 甲斐甲斐しく世話を焼くミリダに、なされるがままのアンネ。私たちがまだ小さい時にはよく見た光景ですが、最近はアンネと別々の生活をしていたので新鮮ですね。


 毎回見るたびにしっかり者のお姉ちゃんと天然な妹がじゃれているようで、私も羨ましく思ったものです。



「この後どうしますか? どこかにお出かけするのもいいと思いますが」



 最初に食べ終えたミリダが、食後の紅茶を口にしながら問いかけます。


 私もちょうど食べ終えたので、手を合わせた後に顎を摘まんで考えます。



「そうね……天気もいいし、買い物でも行くのは?」


「泳ぎたいわ」



 私の声を遮って飛んでくるアンネの意見。確かに近くに湖があり、外はかなりの陽気ですから魅力的な提案ではあります。


 しかし———



「アンネ、残念だけど私たちは水着を持ってきてないわ。裸で泳ぐわけにもいかないでしょう?」


「私は別に構わないけれど?」


「まだ寝ぼけてるのか? いくら人目がないとはいえ、一応俺がいることも忘れんなよ?」



 ケーネからの率直な意見に、アンネが唇を尖らせます。アンネの場合、半分ぐらい本心から言ってそうなのが怖いところです。



「じゃあ、片付けが終わったら水着を買いに行きましょう。それから湖に入れば、外も暑くて気持ちいんじゃないかしら?」



 私が出した折衷案に、三人が頷いたのを確認して言葉を継ぎます。



「じゃあ、ミリダは良さそうなお店をピックアップして頂戴。さあ、今日も遊ぶわよ!」



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