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天才王女は商売を始めるそうです

はい、本日も19時の更新! 拍手!


毎日ブクマが増えて行く嬉しさをかみしめながらも、欲深い私は感想が欲しいとか言ってみたりします(チラッ)

 帝国から招待状が届いてから2日後、私の執務室———もとい、お父様の執務室には私を含めた男女5人がひしめき合っていました。私とケーネ、ミリダにお父様。そして———



「いや、私の執務室はそこまで狭くないぞ? せめて『集まっていました』ぐらいにしておきなさい」


 お父様が半眼をこちらに向けながらぼやくようにお小言をつぶやきます。今日はお父様も体調がいいようで、久々に別荘から王宮までいらしているのです。


 それにしても、私の脳内を的確に推察し反論してくるとは……さすがはお父様。私ごときではまだまだ思考を読まれるようです。全く衰えを感じさせないその洞察眼に恐れ入るばかりです。


 いや、そんなことよりも私にはやるべきことがあるのでした。


「こほん、今日は皆様お集まりいただきありがとうございます。多忙の方もいらっしゃいますが、快く要請に応じてくださったことは感謝のしようもございません」


「エレナちゃん、そんな堅苦しい挨拶はいいから早く本題に入ろうよ」


「アンネ、俺が言うのもなんだが、もう少し言葉遣いとかに気をつけた方がよくないか……?」


 アンネ、と呼ばれた少女が不思議そうな表情でケーネを見つめます。おそらく、彼女の脳内では『だってエレナちゃんは家族みたいなものでしょう?』という疑問が渦巻いているのでしょう。



 ふわふわのくせっ毛を綺麗に編み込み、肩から流すその髪型や、いつも笑顔を絶やさない温和な顔つきは『陽だまりの少女』という言葉がよく似合います。しかし、その中身はわずか18歳にして王国一の商会、シャルル商会を取り仕切る会長さんなのです。

 彼女もミリダやケーネと同じ、私が街で拾ってきた女の子です。


「いいのよ、ここは公の場ではないのだし。それよりも本題よね。

 率直に言います。私は商売を始めたいと思っています」


「ふむ、商売とな? なんの算段もなく言い出すお前ではあるまい。理由を説明してくれ」


「まずはじめに、私が商売を始めようと思った理由をご説明します。

 第一に、王国の国庫が戦後処理に使った莫大な費用によって完全に逼迫しております。こちらが今年度の予算案と決済案になりますが、ご覧いただければ一目瞭然かと」


「ああ、俺とエレナで何度も試算したがどう考えても足りない。王室費を削りに削ったが、それでもまだ追いついてない」


 ケーネの言葉に、それぞれが机の資料にざっと目を通し、その直後に険しい表情をします。それもそのはず、見るものが見れば、この王国が近い将来財政難で立ち行かなくなることがわかってしまうからです。それほど、今の王国にはお金がないのです。


 かといって安易に税金を上げては国民は納得しないでしょう。だって、自分たちから出したお金が見える形で反映されないのですから。



「第二に、国内の人材不足が深刻化していることがあります。南方に位置するマルク帝国はもちろん、西方のザイール共和国も近年発展が凄まじい国です。そんな国々へ優秀な人材が流出しているこの現状、打開するには新たな

人材の育成が急務と存じます。

 そこで考えたのが、国営の初等学校、中等学校、高等学校の設立です」


「今すでに学校はあるけれど……それはダメですね」


 アンネが難しい顔でぼやきます。私は一つ頷くと、話を続けます。


「ええ、国内にある『学校』は高い授業料を払わねばならず、貴族や一部の平民しか通うことができません。私が作りたいのは、授業料も教材費も全て無償の学校なのです。

 しかし、現状王国にはそれだけのお金がない。だから商売によって得た利益をそこへ還元したいのです」


「大体の事情は察した。だが、お前が思っているよりも教育には金がかかるぞ? その財源、果たして一商会が賄えるだろうか」


 そう、私が今から商会を作ったとしても、おそらく学校を運営するだけのお金は確保できません。


 しかし、それはあくまでも『私だけ』の話です。


「ええ、ですからアンネに来てもらったのです。単刀直入に言います。アンネ、シャルル商会の会長として、学校運営に融資してもらえないかしら?」


 

 私の言葉に、アンネの表情が変わります。柔らかな笑みの裏に潜むのは、王国一の商人としての表情。


 さあ、ここからが本番です。



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