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99.3「魚ボッチの戦争・中編2」

ごめん!

先日プロットだけ出ちゃった♪

 その戦闘は丸1日続いていた。

 魚は神がもたらした進化の秘薬で【とある神】にデザインされた。魚は今、黒い鎧姿の新たな生命体に変容し、40階層の階層主としての役割を放棄して圧倒的な戦力を得ている。それもこれも全て仲間である黒のモンスター軍団を守るためだ。

 だが皮肉にも今、その力は黒のモンスター軍団に向かっている。彼らが彼らであったことを守るために……。


「一緒に死のうぜ! 旦那!!」

 戦力は圧倒的に魚が有利である。

 だが長期化している。

 理由があった。

 人間たちである。

 モルフォス・バブルガス・インバルトの3名が魚に接近し行動を阻害する。

 そこを狙いガンビスや遠距離攻撃をもつ黒のモンスター軍団がもろとも攻撃を仕掛ける。

 モンスターと違い、死することが使命ではない人間であるモルフォス達を撒きこめないとばかりに魚はモルフォス達を庇うがそこでダメージを負う。広範囲の攻撃からモルフォス達を守るために負う傷とモルフォス達から受ける傷だ。

 攻撃に耐えた魚はモルフォス達を追い払い距離を取る。あからさまに扉から離れるとその隙から脱出されるので大きく距離は取らない。

 やがて、ニーニャ達から回復を受けたモルフォス達が前線に復帰する。するとまたモルフォス達はあの攻撃を狙う。

 こんなことが丸1日続いた。

 限界だった……。

 モルフォス達が。

 人間、この様な戦闘を続ければ如何に神の加護であるレベルの恩恵を受けていようが、限界を迎える。ニャンダーの特訓を経て力の運用が格段に効率化したモルフォス達であってもだ。

 魚が後衛のニーニャとガンビスを見やる。頬がこけ、目がくぼみ爛々と怪しく赤く光る瞳と指に嵌られた指輪が怪しく光っている。

 前衛のモルフォス達も同様である。このままではただの人間である彼らに、魚の弱さに巻き込んだせいで致命傷を、障害を与えてしまう……。

 それだけは、元……階層主としてのプライドが許さなかった。

 運命は運命に。

 魚はそう呟く。しかし、対応手段はない。

 いっそのことこの扉を放棄しようかと考えたがここは38階層だ。

 高圧の水の階層。

 よしんば生き抜いたとしても、激戦区になっているであろう35階層、更には環境対応能力が必要な31~34階層……。

 魚は頭を振り放棄する選択肢を捨てる。

 狙うは気絶、または彼らに無理やりダンジョンウィルスを定着させている指輪の破壊。

 その為には……。

 魚はホバーによる突進で黒のモンスター軍団へ進む。


「させるか!」

 横からバブルガスが飛びついてくる。

 魚はもう気にする余裕もないとばかりに黒のモンスター軍団へ突撃し大型犬モンスターの1体をランスで貫き、急制動で振り回され手が緩んだバブルガスを黒のモンスター軍団へ放り捨てる。

 黒のモンスター軍団の追撃をかわし扉へ戻り、魚を出し抜こうとしていた他のモンスター達を蹴散らす。

 そしてしばらく続く睨み合い。

 やがて金属音が状況を変える。


カラン


 モルフォスが剣を取り落とした音である。

 どうすればいい?

 魚は悩む。

 黒のモンスター軍団もモルフォス達も疲弊している。戦闘を続ければ魚が手をかけるまでもなく死ぬだろう。

 彼らに道を譲ればどうなるか。……モルフォス達は道中で死ぬだろう。黒のモンスター軍団は闇の潜りこの混乱に乗じニャンダーを確保、やがて破壊するだろう。

 それが何をもたらすのか魚は知っている。

 メイちゃん(大志)の死亡である。

 神々の遊びに巻き込まれ、運命などに踊らされ……だが、だがそれでも前を向き懸命に生きるメイちゃん(大志)。魚には無い物を持つ彼が魚は好ましかった。そして同時に妬ましかった。

 死の運命なのはいい気味。と思ってしまう。

 同時に、なんであんなに頑張ってるやつが死なねばならん! と憤ってしまう。

 もう魚には何が何だかわからない。

 苦しい。

 つらい。

 (……でも助けたい)

 誰を?

 (皆を……、そして僕を……)

 (助けて……)

 魚が微かに助けを口から零すと同時に扉は重苦しい音を立てて開かれた。


『助けに来たぞ、魚……』

 後光を浴びながら現れたのはメイちゃん(大志)であった。




ここまでお読みいただきありがとうございました。

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アームさん
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