表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/146

89「ニャンダーとミイちゃん」

すっすっみません。中途半端に。。。

 15階層。


 ドドドドドドドドド

 

 15階層に爆音が響いている。耕そうとしている15階層拡張フロアの土が固すぎるため固い歯を爆発的な勢いで回す為その動力元をアームさんから、魔法力炉に変えている。本来であれば爆発など不要なのだが、高出力を出す際に動力に無理に変換するため爆発音が発生している。故に、時折のんびりとした風が流れるのどかな15階層は今大音響に包まれていた。


「どうだ?」

『いい感じだ。魔法力路はどうだ?』

 巨大な耕運機から降りてきた人形王の問いに土に手を突っ込んだメイちゃん(大志)は満足げに回答する。そしてもう一つの問題である炉の心配をする。一番高価な道具がすぐに壊れてしまうようでは道具として欠陥品である。


「そうだな、見てみよう……おーい! 出力班状況はどうだ?」


 さて前回から引き続き人形王とメイちゃん(大志)がなぜこんなことをしているかというと、今天界とダンジョンマスターの間で流行しているダンジョン作物の品種改良が原因であった。

 当初アユムの特殊能力かと思われていたダンジョン作物について、昨今20階層のムウさんや30階層の権兵衛さんの御茶畑など独自努力における成功例があがったことから、他のダンジョンでも可能ではないか?と色々なもの達が考察をはじめ『破壊不可能なダンジョン、それも基盤であるはずの床を深く抉るそのことがダンジョン作物にダンジョンからの魔法力供給をもたらし余剰な力を甘み、旨みに変換するようになったのではないか?まずかったのはその力の取り込みがうまくいってなったからではないか?』という有力説がでてきたのだ。

 しかし、壁を壊せても床は深く掘れない。掘っても修復されてしまうのだ。修復されないようにするにはっより強い力で確実にダンジョンへ刻まなければならない。これはダンジョンを管理するダンジョンマスターをもってしても難しかった。何分ダンジョンマスターが扱う力は大きいのだ。フロアを変更などは容易だ。柔らかい土を作成し、盛る事はできてもダンジョンの一部として難しい。一部ダンジョンマスターと神が挑戦したが1フロア崩落という結末に至ってしまった。

 だから、アユムのように奥義や地道に掘るなど作業が必要になる。しかし。掛けた労力分返ってくる。美味しくはないが不味くもない。そんなダンジョン作物が出来上がる。そんな報告が続々と上がる中、次の欲求が起こる。そう、量産化、規模拡大路線である。

 人形王とメイちゃん(大志)が作成している魔法道具は非常に高価である。しかし、神や亜神であるダンジョンマスターにとって出せない範囲の出費ではない。そう、これはビジネスチャンスであった。


 そこに一陣の風が吹き込む。

 14階層に続く階段から白い箱型の物体が浮遊しながらいてきたのだ。

 近くにいたシュッツはリッカの選定する手を止めて、ほぅ、と一つ息を飲んだ。見る人間から見れば洗練された武双であることが直ぐにわかったようだ。

 やがて15階層の住人達にもその異様が伝わり、それぞれ仕事の合間にソレを眺めていた。

 そして人形王とメイちゃん(大志)が改良案を討議しながらソレに近付く白いソレからネコの人形が飛び出してきた。


「大志さん!」

 感動のあまり泣きながら飛び込んでくるニャンダー(翔子)。

 目をむいて驚いているメイちゃん(大志)。

 運命の歯車によって離れ離れになってしまった恋人が感動の再開を果たす……。


『おお! これは凄い! 材質は何だ? どうやってコントロールしてるんだ?』

 飛び込んできたニャンダーをスルーし、白いソレをべたべたと触り楽しそうなメイちゃん(大志)。


「……」

 笑顔のニャンダー(翔子)。

 周囲は思わず引いてしまう。

 空気を読まない人形王も苦笑いで距離を開ける。


「……貴方はいっつもそう……もうそろそろ慣れないとね……」

『あ、すまん。これは君の持ち物だったか、素晴らしい武双ですね!』

 メイちゃん(大志)は振り返りニャンダー(翔子)に笑顔。


「……いけない、あの笑顔に騙されてはいけない。ファイト翔子!……」

『……』

 メイちゃん(大志)は戸惑うニャンダー(翔子)に背を向けてニャンダーの武装に興味を戻し細かいギミックまでべたべたと調べながら満足顔である。


(イラッ)


 ニャンダー(翔子)はここにきて再開の感動や好きな人の久しぶりの本性を垣間見たことを超えて、いまだ世界を超えてまで会いに来た自分に気付かない鈍感男に対しての憤りを感じていた。


 なので助走を始めた……。

 スピードに乗ったニャンダー(翔子)は己をただ一塊の砲弾に変えて飛ぶ。


「ニャンダーキック!」

 説明しよう!

 ニャンダーキックとは本来縫いぐるみとして柔らかいはずの足先を魔術で高質化し、相手を粉砕する必殺の一撃である!


「あーんど! スピン!!」

 再び説明しよう!

 ニャンダースピンとは、回転力を加えることでダメージを体内に浸透させる技である!


『……ん?どうしたおまえらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 15階層にメイちゃん(大志)の叫び声が響き渡った。

 宙を舞うメイちゃん(大志)。

 大地にたたきつけられピクリとも動かなくなったメイちゃん(大志)。

 自業自得である。

 それからメイちゃん(大志)はニャンダー(翔子)が地上に戻るまで機嫌を取るまいし日だったという。。。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現在、こちらを更新中! 書籍1・2巻発売中。
アームさん
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ