最終話
「…………」
私の救出劇は奇跡的と言うしかなかった。だから、背中に冷えた汗が流れている。
「あなたを救おうとしたのは皆肋骨服でした。名前はわからなかった。ですが、中隊に将校はそういるものではありません。あなたなら知っているでしょう」
「……そう、ね」
「あなたを救おうとしていた。私にはそう思えました。死人は語ることはありません」
「……」
あの幻術は本当なのかどうなのか、それを考える事自体が浅はかだろう。そんな事、今更わかるわけもない。
ただ、事実として。
四人の少尉、自分の部下。彼ら彼女らが私を生き残らせてくれたという事。それだけは確かなのだ。
「仁科さんの一族はどう思ってる?」
「光栄だ。そう言ってました。それ以上は言いません」
「何かしてあげたい」
「必要ではありません」
「どうして?」
「それは私の責任だからです。宮入殿。私の判断で、私の命令でしたから。あなたの出る幕ではありません」
「そう」
言葉が出てこない。何を言うべきかすらわからなかった。
「もしあなたが何かを思うのなら」
朝右衛門は微笑んだ。
「蛮州をよく治める事かと。そうすれば仁科にも佐分にも、亜人全体にも利益のあることになりますから」
私はその微笑みにうまく答えられる気がしなかった。




