保護病室 【F.A様】
「菜須さん、今日の実習は保護病室の担当をしてもらいます」
指導看護師に言われた保護病室の担当。
「はい」
保護病室と言うことでちょっと構えてしまう。看護記録に目を通し確認をする。
「?」
どうして保護病室なんだろう?
看護記録をよく読み返す。
患者氏名 F・A様 ○○歳 男性
文フリ会場で倒れているところを発見され救急車で搬送され来院。周囲の目撃者の証言からJCと楽しんでいたようだとのこと。暴れるといけないため保護病室にて経過観察。
そうなんだぁ。
保護病室は二人一組で入室が原則なのだと指導看護師さんに教えてもらう。
「菜須さん、様子を見に行くわよ」
「はい」
指導看護師さんは病室の鍵を持ちナースステーションを出てF・A様の病室に向かう。
「気がつかれましたか?」
「あれ? 何でこんなところにいるのでしょう?」
「倒れたの覚えていらっしゃいますか?」
「いいえ全く!」
「文フリ会場で倒れているところを発見され救急車搬送されてきました」
「JCは?」
「ロールケーキの?」
「あらっ、そんなことまでご存じで?」
「見ていらっしゃった方がいたようですよ」
「妖精のようでした」
保護病室の意味がわかりました!
病室には忘れず鍵をかけます。
「楽しまれたんですね」
「はい、シカボールペンも全て配れましたし」
嬉しそうに教えてくださるF・A様。
「良かったら、シカボールペン差し上げましょう」
「今、全て配れましたとおっしゃってませんでした?」
「俺、今そんなこと言いました?」
「はい」
指導看護師が何やらIPadを触っていらっしゃって、これですね? シカボールペン!!
そうあの幻の黄色いシカボールペンちゃん。
「JCの間で流行るかも知れませんね」
指導看護師さんがボソリと言う。
「あはは、そうなったら嬉しいです」
「お休みもらってもらいにいかなきゃ!」
「菜須さんは、その前に看護師国家試験に受からなきゃ、お休みもらわなくても一年中お休みよ!」
「・・・・」
看護学生、お休みもらってシカボールペンをもらうため看護師国家試験に合格するように頑張らなくては!!
病室の鍵をかけて、ナースステーションに戻る。




