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なろう大学附属病院   作者: 菜須よつ葉
お気に入り様の看護実習 ~看護学生編~
14/48

入院患者様より入院記をいただきました。 ~Mママ様・R様からのプレゼント作品~

とても素敵な入院記をいただきました。

Mママ、R様本当にありがとうございました。

とっても嬉しいです。

なろう大学付属病院  管理病室入院患者M&Rより


◇M


今年の夏は暑い。ただでさえいろいろな病気を抱えている私は、体調不良が極まってしまい、とうとう家族から言われてしまった。


「もうね、お母さんは家にいるとおとなしくしていないでしょ。だから私たちの安心のためにも入院してください!」


娘が仁王立ちで私に言った。


「ええっ~、やだよ。そうしたら家事は誰がするのよ」

「大丈夫よ。みんなで分担するから」

「そうです。Mさんが家に一人でいる方が、心配で仕事も手につきません」

「母さん、諦めて家族の安寧のために入院してきて」


こうして、私、Mは、なろう大学病院に強制入院をさせられることになったのでした。


◇R


連日の猛暑で、とうとう体調を崩した私。とんでもなく忙しかったこともあり、趣味の畑の世話も誤魔化し誤魔化しやっていたのが、限界を迎えたのだった。


「R、あんたいい加減に安静にしなさい!」


母に本気で叱られた。


「大丈夫だよ~。風邪なんて直ぐに治るよー」

「ばかたれ! 咳と微熱があるでしょ! 安静にしないなら先生に相談して入院で決定ね」

「えぇー!?」


こうして私は家族により、掛かり付けの先生に連絡をされ、無理やり入院が決定したのでした。


◇M


なろう大学病院に来る前に主治医のところにより、入院に対する紹介状を書いてもらった。旦那が入院手続きをしていると、隣に二十代の女性が座った。


「R、ここで待っていなさい」

「ねえ、本当に入院しなくちゃ駄目なの? 畑の世話はどうすんの?」」

「家での療養では落ち着いて治らないだろう。お前は少し良くなると、すぐに畑に行こうとするし………育て方を間違えたか」

「ひどっ!? だって畑のお世話は大切だもん!」

「とにかく、お医者様からいいと言われるまで入院しているんだ」


父親らしい人に言われて、女性は項垂れてしまった。それにしても『R』という名前なんだ。ネットで仲良くしている子も「R」という名前で、二十代の女性と言っていたのよね。


そんなことを思っていたら、旦那が事務員さんとそばに来た。


「M様、先に少しよろしいでしょうか」


そう言って事務員さんから質問(多分問診)をされていた私は、隣の女性が驚いた顔をしていることに気がつかなかった。


◇R


珍しく父が付き添うと言ったので、なろう大学付属病院に父と来た私。手続きをしに行った父を椅子に座って待っていた。すぐ近くに女性の患者さんが居て、かなり恥ずかしかった。だって、いい年頃の娘が父親に連れられての病院。………それも会話が畑のことなんだもの。普通にかなり恥ずかしい!


でも、隣の女性と事務員の会話に、耳がダンボになってしまった。偶然にも「M様」の名前が聞こえてきたんだもの。これには、かーなーりー、ビックリした。


「R様、こちらの問いにお答えいただきたいのですが」


意識を隣に向けていたので、声を掛けられてビクッとなった。声を掛けてきたのは、優しそうな事務の方。私が初めての入院だったこともあり、丁寧に説明をされた。ついでに、何故か皮膚科も予約を入れられて。ため息が出たのは仕方がない。


説明が終わったところで、隣から声をかけられて、私はキョトンとなった。


◇M


私は隣の女性の苗字に驚いて、女性のことを凝視した。まさか……。


「R?」


私の呟きを聞いた女性も、キョトンとした顔を私のほうに向けて言った。


「まさか、姉様?」

「ええっ! 本当にRなの」

「姉様こそ! どうしたんですか、こんなところで」

「それはこっちの台詞だってば! なんでRがここにいるのよ」


お互いに両手を握りしめ合って、偶然の出会いに興奮していたら、旦那とRの父親に言われてしまった。


「Mさん、知り合いなのはわかったけど、まずは先に手続きを済ませましょう」

「R、知り合いに会えてうれしいのはわかるが、場所を考えろ」


私達は手を離すと、身を縮こまらせて「はい」と返事をしたのでした。そうしたら、私達のそばにいた事務員さんが顔を見合わせて言った。


「もしかしてお二人はお知り合いですか。そうでしたらお話があるのですけど」


にっこりと笑って言われたことに、私とRは一も二もなく頷いたのでした。


◇R


まさかの大好きな姉様と一緒の病室! 喜ばないわけがない! テンションまで上がり、なんかフラフラするけど、そんな些細なことは頭から吹き飛んだ。


父は苦笑しながら、持ってきた荷物を置いて、さっさと帰っていった。姉さまにくれぐれも宜しくと言いおいて。


急いで着替えの支度や諸々の片づけを終わらせて、テンションアゲアゲの状態でベッドに座る。フラフラするのは、気付かないふりで……。


◇M


入院手続きが終わり案内された部屋に入って着替えや片づけを終えて、ベッドに横になった。それを安心したように見て、旦那は帰って行った。


看護師さんが来て体温を測ったり血圧の測定をしたり…。諸々のことが済み看護師さんも出て行って、病室には私ともう一人が残された。


私は体を起こしてベッドに座った。そして、隣との境のカーテンに手を掛けた。


「ねえ、カーテンを開けてもいいかしら」

「もちろんです、姉様♪」


その言葉にカーテンを開けた。Rも私と同じようにベッドに座っていた。


「初めましてだね、R」

「はい。初めましてです、姉様♪」

「会えてうれしいわ」

「私もです~♪」


この後、私達は飽きもせずにずっと話をしたの。


◇M


翌朝、目を覚まして横を向くと、目を開けていたRと目が合った。


「おはよう、R」

「おはようございます、姉様♪」


寝る前に来た看護師さんにも呆れられたのよね。いくら知り合いだからって、カーテンを閉めずに寝るなんてと。でも、会えた喜びに、話が尽きなかったんだよね。消灯時間が過ぎても話していたら、見回りに来た看護師さんに怒られてしまった。カーテンを閉めると言われてしまい、そこで話すのをやめて眠ったのよ。


この日は二人とも検査に連れ出されて、病室にゆっくりしていられなかった。


夜には私のほうが疲れてしまい、早く休んだのよ。カーテンは今夜も開けたままでね。でも、お互いの顔が見える部分だけだったけど。


◇R


二日目、私と姉様は、何故か看護師さんたちの話題になっていた。理由は簡単! 赤の他人なのに、姉妹みたいに仲がいいから。担当の看護師さんが呆れていたほど。


勿論、今日も検査がある。朝の検査、私は血液検査に顔を引きつらせた。これだけは苦手なのだから仕方がない。姉さまは余裕綽々で、私の反応に苦笑をしてた。その後はまたお互いに検査が入り、15時を過ぎた頃にまた顔を合わせた。


看護師さんから微熱があるため、氷枕を渡された。


「くれぐれも安静に! いいですね?」


テンションが上がっているために、こまめに確認にくる看護師さん。姉さまにまで、頼んでいくから、この後は安静第一で過ごしてようやく落ち着いたのだった。


◇M


入院三日目。今日は看護学生が来ると昨日予告されたのよ。どんな子が来るのか楽しみだわ。


少し緊張した顔をしてかわいい学生さんが指導看護師に連れられて入ってきた。


「あれ? 姉様、新しい子いる」

「あらっ、ほんとだ!」


Rも私も知らなかったふりで声をあげた。


「お二人を担当させていただきます、☆☆大学看護学部看護科4年 菜須よつ葉です。よろしくお願いします」


律義に挨拶をして軽く頭を下げる菜須さん。なんかかわいいな。


「可愛い、スリスリ撫で撫でしたーい」

「R、病人ってこと忘れてない?」

「そうだったわね…………風邪をうつしちゃうかも。でも可愛いわぁ♪」


二人して顔を見合わせてにっこりと笑い合った。


「検温をお願いします」


体温計をRに渡そうとした菜須さんに、Rが笑顔で言った。


「計って良いわよ♪」

「あっ、私も良いわよ」


すかさず私も続けて言った。戸惑った顔で私たちのことを見つめる菜須さん。


「よつ葉ちゃん? 検温しないの?」


Rが首を傾げて菜須さんのことを名前呼びした。よつ葉ちゃんは嫌がりもせずに口を開いたけど、顔は困惑したままだった。


「検温結果を教えてくだされば……」

「なあに?」


にっこり笑顔でRが言う。よつ葉ちゃんの頬が引きつった。やり過ぎだよと、内心ハラハラしながら。二人のやり取りを見守る。


「いえ、なんでもないです。検温しますね」


Rのパジャマのボタンを一つ外して脇に体温計を差し込んだ。


「よつ葉ちゃん、ひいきはダメよ」


その様子を見守っていた私も声を掛けた。この言葉にため息を飲み込んだ顔でよつ葉ちゃんは私のそばに移動してきた。


「検温しますね」


私も脇に体温計を差し込んでもらう。いい位置に挟まるように少し体温計を移動させる。隣から電子音が鳴った。これはRの検温が終わった音。


「よつ葉ちゃん、終わったよ♪」


体温計を指さすR。そこまでさせるのと思ったけど、黙って見つめていた。


「失礼します」


と、Rから体温計を抜きパジャマのボタンを留めてくれている。やさしいな~。


「36度8分です」


体温を声に出して言ってから記録をつけるよつ葉ちゃん。平熱にしてはまだ少し高めの体温。不満そうね、Rは。

そこに私の検温が終わった音が鳴った。


「よつ葉ちゃん、鳴っているわよ」

「はい、ありがとうございます」


よつ葉ちゃんは少し疲れたような声を出している。いかんな~。からかいすぎたかしら?

私からも体温計を抜き取りパジャマのボタンを留めてくれた。


「37度7分です。医師に見てもらいましょうね」


ああ~、やっぱりか~。なんとなく起きた時からだるかったのよね。記録用紙に記入しながら言うよつ葉ちゃんに、悪あがきで言ってみる。


「よつ葉ちゃん、内緒にしましょうね」


驚いた顔をした後、少し狼狽した顔になって、よつ葉ちゃんは言った。


「そんなことをしたら単位がもらえなくなります」


でしょうね。でも、もう少しあがいてみましょうか。


「大丈夫よ、私があげるから」

「わぁ、姉様すごい!」


Rも乗って言ってくれたけど、そんなことが出来るわけがないのは百も承知だろう。

困ったように私のことを見ているよつ葉ちゃんに、心の中で「ごめんね」と謝って、私は笑みを浮かべた。よつ葉ちゃんも笑みを返してくれたけど、引きつっているな~。


「回診までゆっくりしてくださいね」


ゆっくりと煉と私の記録簿をもって私達から離れて、病室から出て行こうとするよつ葉ちゃん。


「あれ? もういっちゃうの?」

「おしゃべりしていかないの?」

「オヤツもあるわよ」

「わぁ、姉様完璧ですね!」

「好きなの食べて良いわよ♪」


Rと二人でよつ葉ちゃんを引きとめようと声を掛ける。その私達に引きつった笑みを浮かべて、よつ葉ちゃんはペコリと頭を下げて病室から出て行った。


◇R


少しからかい過ぎたかと思ったけど、よつ葉ちゃんは嫌がらずに看護をしに来てくれた。

合間に姉様と和気あいあいとした会話をする。また顔を出したよつ葉ちゃんを可愛がりながら、入院の日々は過ぎていったのでした。


◇M


夏バテが治ったRが退院した。とても名残惜しそうに病室をあとにしたのよ。

私は、今までの疲労がたまっていたのが、今年の暑さで一気に噴き出したそうなの。

なので、もうしばらくは退院できそうにない。


それどころかお医者様に「新しい病名をあげようか」と言われてしまった。もうこれ以上病名はいらないから「結構です!」と、言っておいたのよ。


あ~あ。病院は湿度も温度も一定で快適だけど、することがないんだもの。次に来る時にパソコンの差し入れを頼もうかしら。それとスマホと繋げるケーブルも。そうしたら、退屈しないよね。


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