入院患者様より入院記をいただきました。 ~香月様からのプレゼント作品~
第2部分特別室 [Y様]
こちらのお話の患者様視点の物語。
香月よう子様よりプレゼントしていただいた作品です。
なろう大学附属病院
特別室 [香月よう子様]
「香月様、あれから体調はどうですか?」
精神疾患が持病の私。
今回はあまりに酷い不眠の為、ここ「なろう大学附属病院」の特別室に入院して、早三日目。
朝九時になると、「☆☆大学看護学部看護学科」の四年生・菜須よつ葉さんが、毎日見回りにきてくれる。
「昨夜は良く眠れましたか?」
決まっていつもそう声かけをしてくれる。
そのよつ葉さんの目も赤い。
聞けば、実習中は帰宅後、実習記録をまとめるため、深夜遅くまで家で頑張っているらしい。
「あなたは、昨夜はちゃんと眠れたの?」
「え、ええと。午前二時には寝たから大丈夫です」
そう言って、にっこりと笑顔を返してくれる。
その笑顔は、まさしく「白衣の天使の卵ちゃん」にふさわしく、寝不足で躰もきついだろうに、それを感じさせることなく、明るく清々しい。
「私には子供がいないけど、もし、いればあなたくらいの歳の子供がいたはずよ」
言ってもしかたのない繰り言をまた言ってしまった……。
「あなたのような「娘」が本当に欲しかったわ……」
しみじみと呟く。
その独り言に、
「まず、香月様は、躰を治しましょう。少しでも眠れるように」
と、優しい声をかけてくれる。
「一つ、お願いがあるの」
私は、よつ葉さんの大きな黒い瞳を見つめて言った。
「何でしょう?」
「私が無事退院したら、お茶を奢らせてくれないかしら?」
「え? いいんですか?」
「あくまで、看護師「菜須よつ葉」さんとしてではなく、普通の女子大生のよつ葉さんとお喋りしてみたいわ」
それは、私の今のささやかな希望だった。
「その為にも、今はゆっくり休んでください。いつか、母娘のように、楽しくお茶しましょう」
にっこりとよつ葉さんは微笑んだ。
「最優先は香月様の身体ですからね。ゆっくりマイペースで進みましょうね。香月様」
「ええ。わかったわ。でも、約束よ」
「はい、確かに。……また、様子をみに伺いますね。何かあったら否、無くてもナースコール(メッセージ)してくださいね」
その魔法の言葉のおかげかどうか、私は、次第に数日ぶりの深い眠りへと落ちていった。
(ようやくお薬で眠れているので、邪魔をしたらいけません)
そぉーーっと病室を後にする。看護学生よつ葉さんだった。




