表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート置き場

【SS】転生悪役令嬢が舞踏会で王子に婚約破棄されたら、なぜか隣国の竜帝陛下に求婚されましてよ?

なろラジ向け第二弾。完全にご都合主義です。お好きな時間にどうぞ♪

「君との婚約は、破棄だ!」


眩い白大理石の王宮ホール。

舞踏会の煌びやかな音楽を裂き、ジル王子の声が響いた。


言うと思った。

彼の隣で微笑むのは、国一番の美貌を誇る“聖女”メアリ。


一方、私エリスはただの公爵令嬢。しかも悪役令嬢。

どうやら私は彼女を学院で“いじめていた”ことになっていて――

聖なる力も、人望も……まぁ、特にない。


――けれど、私には秘密がある。


つい先日、高笑いの末に学院の階段から転げ落ち、

元社畜の転生者だと思い出した。


折角、普通に生きようと決めたのに。

泣くぐらいなら、女神様から頂いた“ご褒美スキル”の封印を解いてやりますわ。


「殿下。実は私、こんなことが出来ますの」


「ふん! 婚約破棄は変わらん!」


指をくるり。

手のひらにクッキーがふわり。


ざわっ。


「……小技だ。何も変わらん」


「では、これは?」


メアリの前からケーキが消え、私の手のひらに。

クリームを指ですくいペロリ。


「……! 甘いものも、それが好きな女も嫌いだ!」


――メアリの笑顔が引きつる。


「これなら?」


ぽんっ。


「え……わし?」


なんと王陛下が私の隣に転移した。


びっくりですわ。

確かに王は甘々ですけど――王子、お嫌いでしたのね?


「なっ! 父王まで!?」


そう。私のご褒美スキルは

『対象が“嫌いなもの”を強制的に引き寄せる』力。


なんて悪役令嬢らしい力。

しかも使うほどに強くなるらしく――


(この先? 試したことはないけど)


「殿下? 本当に破棄でよろしくて?」


ジルは青ざめ、冷や汗を流す。


「……少し待って……」


ふふ。もう遅い。


「ざ〜んねん♡」


指をくるり。


どおおおん!!!


ホール中央に巨大な影。


竜。


その背にまたがる男――


「なっ……隣国の竜帝!?」


王子が叫ぶ。

竜帝レオンは銀髪をそよがせ微笑んだ。


「呼んだのは、君か?」


「ええ。殿下の“大嫌い”が陛下でしたようで」


「気に入った。……俺の妃になれ」


ホールが凍りついた。


「た、頼むエリス! 行かないでくれ!」


「もう遅いですわ」


差しのべられた竜帝の手を取る。

近くで見ると、とんでもなく甘いマスクに、甘い香り。


メアリは彼の胸板にふにゃりと溶けてる。

聖女のくせに、甘さの誘惑に勝てませんのね。


「来い。君を幸せにする」


(……甘すぎる。王子が嫌うわけですわね)


ドレスの裾をつまみ、にこり。


「さよなら、殿下。

 どうぞ“甘いもの好きな聖女様”と末永く」


竜帝レオンの腕に包まれ、テラスから舞い上がる。


――自由と新しい恋と、甘すぎる未来を乗せて。


最後までお読みくださり、ありがとうございました。

お気に召しましたら、リアクションや評価などして頂けたら嬉しいです。


もしよかったら、なろラジ向け第一弾(ほんのり甘い恋系)も覗いてみてくださいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ