【SS】転生悪役令嬢が舞踏会で王子に婚約破棄されたら、なぜか隣国の竜帝陛下に求婚されましてよ?
なろラジ向け第二弾。完全にご都合主義です。お好きな時間にどうぞ♪
「君との婚約は、破棄だ!」
眩い白大理石の王宮ホール。
舞踏会の煌びやかな音楽を裂き、ジル王子の声が響いた。
言うと思った。
彼の隣で微笑むのは、国一番の美貌を誇る“聖女”メアリ。
一方、私エリスはただの公爵令嬢。しかも悪役令嬢。
どうやら私は彼女を学院で“いじめていた”ことになっていて――
聖なる力も、人望も……まぁ、特にない。
――けれど、私には秘密がある。
つい先日、高笑いの末に学院の階段から転げ落ち、
元社畜の転生者だと思い出した。
折角、普通に生きようと決めたのに。
泣くぐらいなら、女神様から頂いた“ご褒美スキル”の封印を解いてやりますわ。
「殿下。実は私、こんなことが出来ますの」
「ふん! 婚約破棄は変わらん!」
指をくるり。
手のひらにクッキーがふわり。
ざわっ。
「……小技だ。何も変わらん」
「では、これは?」
メアリの前からケーキが消え、私の手のひらに。
クリームを指ですくいペロリ。
「……! 甘いものも、それが好きな女も嫌いだ!」
――メアリの笑顔が引きつる。
「これなら?」
ぽんっ。
「え……わし?」
なんと王陛下が私の隣に転移した。
びっくりですわ。
確かに王は甘々ですけど――王子、お嫌いでしたのね?
「なっ! 父王まで!?」
そう。私のご褒美スキルは
『対象が“嫌いなもの”を強制的に引き寄せる』力。
なんて悪役令嬢らしい力。
しかも使うほどに強くなるらしく――
(この先? 試したことはないけど)
「殿下? 本当に破棄でよろしくて?」
ジルは青ざめ、冷や汗を流す。
「……少し待って……」
ふふ。もう遅い。
「ざ〜んねん♡」
指をくるり。
どおおおん!!!
ホール中央に巨大な影。
竜。
その背にまたがる男――
「なっ……隣国の竜帝!?」
王子が叫ぶ。
竜帝レオンは銀髪をそよがせ微笑んだ。
「呼んだのは、君か?」
「ええ。殿下の“大嫌い”が陛下でしたようで」
「気に入った。……俺の妃になれ」
ホールが凍りついた。
「た、頼むエリス! 行かないでくれ!」
「もう遅いですわ」
差しのべられた竜帝の手を取る。
近くで見ると、とんでもなく甘いマスクに、甘い香り。
メアリは彼の胸板にふにゃりと溶けてる。
聖女のくせに、甘さの誘惑に勝てませんのね。
「来い。君を幸せにする」
(……甘すぎる。王子が嫌うわけですわね)
ドレスの裾をつまみ、にこり。
「さよなら、殿下。
どうぞ“甘いもの好きな聖女様”と末永く」
竜帝レオンの腕に包まれ、テラスから舞い上がる。
――自由と新しい恋と、甘すぎる未来を乗せて。
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もしよかったら、なろラジ向け第一弾(ほんのり甘い恋系)も覗いてみてくださいね。




