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第六十八話・愛着がわかないものが対象だと扱い上手


 好きなものこそ上手なれということわざがある。人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早いということ。確かにそうでしょう。私のようにバレエ好きでも上達はしない例外はあるが。

 今回はその逆をいって成功した人の話を聞いたので書いてみます。


 ある人があるもので起業し成功した。Kさんとします。ど素人からあそこまでいけたのは偉いですよね、という話をしていたら、直にKさんと面識があるLさんが首を振る。

「当のKさんですが、実はその◎◎が嫌いな人です。好きではなく、大嫌いだからこそ成功したと思います」

 その◎◎は、このエッセイでは書かないです。それが好きでお商売している人もいるし、万一倒産でもすると大変ですので。

 以下はLさんと私の話

「大嫌いなものこそ、感情移入しない。だからこそ大きく決断できる。どうせ大嫌いだという感覚で流通も何もかもを大胆に変えて大雑把にした。その結果、成功した」

「なるほど。一理ありますね」

「でしょ。雇用する人間は嫌ってはいけないけど」

「当たり前」

「私が思うに人材派遣でもそういう感覚でやれば成功するよ」

「えっ」

「ああ、ジョークです」

 Lさんは笑ってごまかしたが、真意かも。


 私の空想はさらに飛ぶ。

 戦国時代といってもいい時代、国を問わず権力者は下層階級の人間の人生を自由自在に左右できたからこそ、自由に動けたというのはある。生きた人間を材料として駒として奴隷として扱って。その扱い、つまり人心掌握が上手で歴史に名前を残したものもいる。

 人間を相手する、ではなく、材料として扱うがゆえに。

 そこまで空想を飛ばして私は我に返った。

 今の時代に生まれて本当によかったではないか。しかも今はネットがある。私のような非上級国民でも意見を書き込めるというのは大きい。影響力がゼロの庶民でも、ネット上に残る書き込みが可能というのは、過去になかった。

 この時代に生まれてよかったと心から思います。


 

コロナウイルスはみんなが大嫌いなはず。

お互いウイルスに対して思い切った防御や消毒をやりましょうね。


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