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第五十七話・嘘はいつかばれる …… ② 実母の帰還

 以下は登場人物一覧

 私自身は二人姉妹で実妹Zとは先に書いたように絶縁です。


 実母は四人姉妹の長女です。以下の続柄一覧は書き手の私から見ての話しです。


長女 実母  昭和十二年生まれ

次女 叔母J  昭和十四年生まれ

三女 叔母F  昭和十七年生まれ

長男 叔父G  昭和二十六年生まれ


母の従姉妹H    昭和十年生まれ

(Hには兄と妹がいる。いずれも同じく母の従姉妹になる)


 その前にもう一度母の話。横領話と少し離れますので適当に飛ばしてください。

 母が倒れ、遠方に嫁いだ私が引き取りました。幸い、持ち直し、入院、手術、療養を経て施設入所しました。そこでリハビリもがんばりましたが、どうしても実家に戻って一人暮らしをしたいという。施設では怒りっぽくなって周囲との軋轢がひどく個室のせいもあって完全に孤立している。しかし、補助具がないと歩けない状態で、一人暮らしは無理がある。医師や看護師からも止められている。

 通帳の不正使用に関しては母は体調の悪さもあり、例のJに対して怒る元気もない。しかし私たち一家は、母が相続した土地は、つまり私の実家の土地は相続税が一千万円もかかりそれをJが払ってやったと恩着せがましく言われていました。当時はそれを疑ったこともありませんでした。逆にそれが負い目となり亡父がJの田畑を週末全部使って手伝いをしていました。倒れたときもその田畑です。Jは父が亡くなるまで一度も見舞いに来ず親戚が集う葬式だけ出てきました。ただ寝たきりになった父の受け入れ施設がない時はJの人脈でもって新規開設の施設に入所できました。JとJの紹介で仲立ちした人に対して金銭的なお礼はもちろんしています。Jがやったのはそれだけですが、私たち家族はなかなか入れぬ施設に入所させることができて、Jのおかげだと感謝していました。


 私たち一家に対してJから見下しをされていました。相続税を払ってもらったので仕方がないと母はあきらめ顔でした。例えば母実家が関与する冠婚葬祭は高額のお金が飛び交い、受け取った側は半返しする暗黙の決まりがあります。しかし母だけ半返しがなかったりしました。三万円の返しになるはずがゼロ、あっても十分の一の金額、三千円の商品券です。

 従姉妹などの親戚ではきちんと半額の金額が返ってきています。余談になりますが五千円などは半端にあたるので切り上げる風習があります。二万五千円の返しの場合は三万円の返しになるなど。私はそれが当たり前だと思っていましたが、嫁ぎ先から金銭感覚自体が違うと指摘されて気づきました。母方の親戚にはお金にまつわるこの手の話が多く、また私が遠方の過疎の家に嫁いだことで、より下目に見られることになったと母に愚痴られて申し訳なく思いました。

 

 母を引き取った私にはお金がなく、亡父が残した土地を売りました。タイミング的に土地を貸していた店子さんから調停をかけられてしまったのもあります。母は数千万円あった貯金をすべてなくしていましたので売るしかありません。

 その際、不動産会社員から相続税の話をしたら実家のわずか五十坪で相続税が一千万かかるのはバブル時代を考慮してもありえないという指摘を受けました。でも私たち家族はそれをずっと言われていたのです。叔母Jの話を真に受けていた叔母F、亡叔父Gからも。

 私は税理士に正式に依頼して当時の路線価から相続税額を割り出してもらいました。わずか七、八十万円でした。Jは、それなのに一千万円だと周囲にいっていたのです。私はJの罪を重く見ました。数十年にわたる嫌味と、亡父にJ名義の田畑の仕事をまかせられていたので謝罪をしてほしいと思ったのです。

 

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 母は元の家にどうしても帰りたい一心で、末妹のFに連絡して私に黙って帰ろうとしました。母に言わせるともう一人暮らしができるほどに回復しているのに、私によって施設に無理やり閉じ込められたというもの……私は何も知らなかったので騙し打ちの状態です。足もよれよれだし、軽度ですが認知症の診断もおりています。ケアマネージャーさんと一緒に、もっと体力が回復するまで施設にいるようにと説得したのですが、拒否。

 施設にいるぐらいなら死にたいとまで泣くので、仕方なく医師による往診、定期的な訪問看護師とリハビリを兼ねたデイケア、家事などを頼むヘルパーさんを入れることを条件にして帰宅させることにしました。

 ところが母は実家に戻って一カ月もたたないうちに、そのデイケアの場もヘルパーも気に入らず全部断りました。ケアマネに至ってはFを動かして契約解除させ、市役所にまでクレームをいれようとしました。

 Fも私に一切を知らせず上記の行為をしました。しかし各種の契約は、Fではなく私との契約になっています。当然契約解除を、契約人以外から伝えられたと私に連絡が来ます。

 Fは終始善意で動きました。それでも私はFに対して怒りを禁じえない。母が認知症であり、入院中に起こしたトラブルを全部伝えて同じことを起こす可能性があると言ったにもかかわらず、母を諫めず一緒になってケアマネや市役所の人にクレームをつけました。

 なぜ市役所にクレームを入れたのか……? 市役所にクレームを入れると、ケアマネとそのケアマネを雇っている施設の認可がおりなくなるだろうと踏んだようです。ケアマネからその報告を受けた時は、私はちょうど我が子の状態が悪く入院させていた時期で、どこから手をつけていいかわからず、目の前が真っ暗になりました。


 Fは足の悪い母の為に新しく通帳を作り、印鑑も預かっていました。理由はが母の年金の入出金を自由にできるようにしたいから。Fは母の事をよく知らないのです。

 私は父の亡き後も母の通帳をチェックすることも一切しなかったことを後悔しています。不要なお金、騙されたお金。建築と祈祷。Zの同窓会イベント用の着物。訪問販売人のうち、私は父の存命中からつきあいのあった百貨店外商に一番腹をたてている。担当にもう母のところへ行くのはやめてくれと断ったにもかかわらず、家に何度も来て購入させている。食品ならばいいでしょうと。それ専用の貯金通帳の引き落とし履歴で判明した。母はだらしなく請求書の類はすぐに捨ててしまう人なのでわからなかった。外商ノルマがあると母に泣きつく商法なんて聞いたことがない。百貨店がオワコンと言われるのも当然でしょう。


 私はケアマネさんとの契約解除はしませんでした。ヘルパーも来てほしいのだが、どうしてもいやだというので、様子見です。そのかわりに体調を崩したら元の私の家の近くの施設入所に戻ると了承させました。Fはこの件以来、会っていません。ところがFが預かっているはずの通帳が母の手元にある。不審に思って母に聞いてみると、通帳は返してもらったという。

 Fは母を帰宅させたときは、「時々は様子を見に行ってあげるから心配しないように」 と言いましたがこのザマです。無責任だと思うよりも認知症でお金のトラブルを起こすと実の妹のFでも離れていくものという認識を強く持ちました。

 昨日も母から電話がありました。実家の土地を掘って工事をしている、何とかしてくれというので、遠方にいる私も一大事だと思って隣のマンションの管理人さんに電話しました。管理人の返事は以下の通り。

 ↓ ↓ ↓

「工事ではなく器具を使った掃除です。あなたの母親は説明をしても納得されずずっと声をあげて邪魔をされました」 


 ……私はマンションの管理人さんと社長から嫌味を言われ、平謝りです。次週に実家の隣を見ると工事の跡なんてありません。母も忘れていて何も言わない。こんな調子です。

 プライドは高く、自分はしっかりしていると思い込んでいる。もう一度施設に入れるとよけいに認知症がすすむと現在の主治医がいうので、仕方なく静観していますが、母にいい加減な励ましをする主治医にも腹が立ちます。




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