第五十四話・ネット上の悪口
後半は子育て失敗女の愚痴になります……。
私はやられたことがあります。二回ある。
一回目は、私の容姿に関するもので限定的、拡散はなかった。裁判にかかわる話で私は勝訴、相手は敗訴で腹いせによるものでした。しかし私の命を狙うという文面でしたので、警察沙汰にしました。この顛末ですが、真実でも書くと名誉棄損になるらしいので書けない。どうして被害者が声をあげると、加害者の名誉を棄損することになるのか。と思うが無名の人間がいくら吠えても誰も振り向かぬ。悲しいが慎重にならざるをえない。例の加害者は元々反社会的な思考をお持ちの方で罪の意識はまったくない。
私は一体、何を怖がっているのか。加害者か。読者の皆様か、子供たちや勤務先への迷惑か。そう、無名の大衆の一員として社会生活を地味に営む私にとって、失うと困るものはたくさんある。
深く思考すると必ず具合が悪くなる。なので、なるべく思考を好きなものに向けるようにしています。仕事中は仕事だけ。趣味は趣味にだけ。集中力は人並みにあるので助かっている。
一つのつらい経験や不快な経験を反芻ばかりしていると心だけでなく身体的にも不調をきたす。精神疾患のある人と業務で話しますが、気分の切り替えが下手な人が多いと感じる。
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……と、偉そうに書いたこの私も例外ではなかったですよ。二回目のネットトラブルはきつかった。これは悪口というより批判の文面だった。相手は我が子から。口先ではいわずネットで書かれた。実名ではないし、フォローやフォロワーが少ないので拡散はしなかったが、そういうやり方でしか母親を批判できないのは、私がそういう育て方をしてしまったから。
思えば言葉いじめにあって不登校になってしまったのもそうで、幼児から例えば兄弟ケンカであっても、私がケンカはいけないという教育をしてしまった。ケンカをしたときは命に別状ない限り、納得いくまでケンカさせるべきだった。それにも後悔している。
我が子は私の教育を素直に受け止めていじめにあった時も反論でもできず、うなだれてされるがままの子になってしまった。全部私が悪い。いじめっ子を怨む気持ちはあるが、母親をも恨む気持ちを持つのも当然だと思う。私も元いじめられっ子でその時の我が母の対応が「我慢しなさい」 というだけだったから。気持ちがわかりすぎるほどだ。だからいじめ発覚時には私が動いて学校と教育委員会に働きかけ、相手方の親ともあって話し合いをした。それでもだめだった。我が子にとっては現状を打破できず、そうなったのは母親のせいだと思う思考回路もわかるだけにつらい。
私は我が子にとっては加害者でしかない。つまずきを乗り越えられずに過去にばかりとらわれような子になったのも私のせい。だからといって、家にひきこもりになる理由にはならぬとは思うが話し合いができないところまでいっている。反抗期もあると思っていたが、どうもそれではすまない。
我が子にとって、母たる私が加害者でもあり被害者でもある。私だけはうつなどにはなるまいと思っていたが、今ものどに何かが詰まっている感覚がしている。反抗期とわざわざ何度も書くのは「いずれこういう態度もやむだろう」 と思っていることに他ならぬ。が、こうも長く続くと、さすがにもう親子関係自体がもうだめかもと思っている。
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我が子のアカウントは知っていた。最初は本名でしていて本人が教えてくれていたから。本名はまずいと注意すると、本名でないとぼくのことを見つけられないじゃないかという子だった。その時はいじめなどなく、初めて持ったスマホをとても大事にしてずっとのぞきこんでいた。私は教えられたアカウントをパソコン上でそのままブックマークをしていた。
いいねをしあってフォロワーが増えると喜ぶ……だがその状態は暗転した。いじめ発覚後、ツイッターの上の本名は伏せられ聞いたこともない名前になっていた。
そのアカウントで誕生日に母親からケーキを投げつけられたと書かれているのを見たときは目の前が真っ暗になった。当日は彼の誕生日でささやかながらケーキでお祝いをした。一切本人に向かってなげたりはしない。叩かれたとも書く。なぜそういう嘘を書くのか……いいね、という同意や同情がそんなに欲しいのか……そんなに注目を集めたいのか。
その心理状況を推測すべきだが、医師からの助言により静観している。母親の存在意義を断じるもっとひどい嘘を書かれ、しょげていたら見かねた同居人が本人に注意した……。
するとサイトを閉鎖してどこかで新たに立ち上げたようだ。今はネット上で彼がどういう活動をしているかわからない。私もさがそうとも思わない。彼のいうとおり私の育て方に問題があったのか。いじめが彼の精神的にも肉体的にも変化させた。所詮いたちごっこ。
ネットで書いて反応があると、認められたという満足感を得られるようだ。時にはネットで変な人にからまれていると愚痴るときもあった。それでもネットはやめられないのだろう。起きているときは常時パソコンの前にいるから。
現在本人はゲームばかりしている。本年になって初めて自閉症スペクトラムの正式な診断もおりた。もっと早期にわかっていればと悔やむことがいっぱいある。せめて未成年のうちにわかってよかったと考えるように努力はしている。彼には深い配慮が必要だ。現在も会話自体もあるが、私が腫れものに触るような状態。機嫌を損じると部屋に閉じこもるから。へたにかかわると、暴力をふるうから。己の子育てのどこがいけなかったか反省ばかりしている。医療にはもうつないでいない。なぜならば医師との会話は母親を責める自己弁護に終始し、処方された薬を飲まぬから。もう静観するしかないと言われている。
子育ての失敗者はまさに私のこと。私の罰だと思って耐えるしかない。現在昼夜逆転、夜になると起きてゲームばかりしている。夜には学生たちや社会人たちがゲームの世界に遊びに来る。彼も部屋にいながらにして彼らと一緒になって遊べる。バーチャルのつきあいは無限でとても居心地がよいようだ。ゲームがこの世になかったら、我が子は一体何をしているのだろう。イースポーツ観戦にも夢中ですごく詳しい。そういう話題になると機嫌がいい時は昔のように人懐こく楽しそうに教えてくれる。
こうなったきっかけのいじめも、相手の子どもとその親の態度について、今なお心の整理ができていない。また子供に対しても、いじめで病んでしまったのは母親の育て方もあろう……職務としていろいろな話を聞く私でも我が子となると何が双方とも益になる行動になるかがわからない。終わります。
私のことをヒステリー、怒ると食器を投げると書いたんだよね。私の心理や行動の結末だけ書く。確かに事実だよ。でも本人に不利なことは絶対に書かない。私が働いて帰ってたら寝ている。もしくは、だらっとして横になってゲームしてる。それ以外は何もしない。一日中家にいるのに洗濯物も食器も片づけないでそのまま。怒ると暴力をふるうのはわかっているので、泣きながら食器にあたってしまう。その状況を書いて同じような仲間に「いいね」 をもらっていたんだよね……つまり、そういう子になってしまったのよ……私は泣きたい……泣くわよ……食器には悪いことをしたと思ってる。何枚も割ったり欠けさせてしまったから。




