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第四十五話・大柄の子ども

 今どきの子どもは発育がいいと初めて聞いたのは何年前だったでしょうか。現在は発育が良くて当たり前なので話題にすらなりません。私の子どももそうです。小学生高学年ですでに背を追い抜かれ、お母さん小さくなったねと言われております。

 今回は、少し前の話です。

 お稽古ごとの通り道に新しくできた理容院へ行かせた時、そこは小学生以下の子供料金、中学生料金、高校生料金、大人料金と細かく分かれていました。それでも理容院なので、女性が行く美容院メニューよりずっとシンプルな料金体系です。子供はさっぱりとした頭になりましたが、暗い顔をしている。どうしたのかと聞いてみると、年を聞かれて「え? 中学生でしょ。◎◎円だよ」 と言われたという。

「ぼくは小学生です」 といったら「じゃそれでいいよ」 と言われたとのこと。

 もろに疑われたと、しょげている。小学生であっても、相手方が「本当は中学生だと思うけど、お金を少しでも払いたくないんでしょ? 今回は負けてあげる」 というニュアンスを感じたのです。子供は涙ぐんでいる。なんでもその会話をしている間、他の理容師さんが手を止めてじっと見つめていたそうだ。冷たい目だったという。

 私の子どもは遅くできた、やっとできた、という感じなので甘やかして育てた面もあり、大人からそういう態度を取られてどうしてよいかわからなかったらしい。私はカバンの中から保険証を取り出し、「今からこれを見せに行こう」 と言いました。小学生だとまだ学生証というものがないので、代わりに生年月日が記載されている保険証が証明してくれる。だが彼は「もういい」 と拒否。

 母親が出てくるのもイヤだったら、自分で言いに行きなさいと言うとそれも拒否。他にも理容院はたくさんあるので、困らないですがこれも相性と縁というものだろうかと感じました。

 私は小さい頃はすごく気が弱かったのですが、その分私の子どもも、やっぱり気が弱いです。子供を育てるの、難しいです。彼は無駄なことはしたくない。争い事は嫌いというタイプ。今後も誤解されることがあれば、この子はどうするのだろうと案じています。どういう態度が正解かは誰にもわかりません。難しいです。


 私の知人の息子も同じ目にあいました。小学校の制服でなく、私服で一人で遊びに行ったら、電車の改札口で肩をつかまれ、「中学生でしょ。料金はちゃんと払いなさい」 と怒られたそうです。鉄道は中学生以上だと大人料金です。彼もやっぱり背が高く小学生なのに百八十センチ近くある。そのため、「小学生です」 といっても、聞く耳を持たない。その子は泣きながらお金を払ったそうです。

 帰宅後、その話を聞いた知人は当然怒りました。背の高い子供の手を引いて駅まで行き、クレームをつけお金を取り戻しました。駅員さんは不正な手段で乗車するをチェックするのも仕事ですが、今回は間違ったわけです。人の見た目は、難しいですね。

 近未来に光彩をチェックしたとたん生年月日が判明するようになれば、こういう話も昔話になるでしょう。


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