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第三十四話・ハズいポイント


 今回はコンビニチェーンのローソンのからあげくんの話。私はカボスやレモン系の味だと必ず買う。でも辛いものは苦手でチリ味や七味が入っているものは食べられない。

 で、子供とお出かけの帰りの話。駅近くの駐車場を目指して歩いていました。ローソンの前を通りがかり子供がからあげくんが欲しいと言い出した。七味系の期間限定のをポスターで見て食べたいという。夕食前なので一パックだけ購入しておいでといいました。

「私は駐車場にいて駐車料金を払っておくから、購入後車のところに来なさいね」 とお金を渡す。

 すると子供は「え~?」 という。私が財布から、お金を出しついでにローソンの20円引きの小さなクーポンを渡す。この割引券も使ってね。というとふくれっ面になった。

 あれどうして怒るの? 欲しいじゃないの? と聞くと怒りだした理由を述べた。

 一パックだけ買うのがいやだ~、しかもクーポンを使うのもハズい~。

 ハズい、というのは恥ずかしいの略語らしい。クーポンで二十円引きは貴重だ。何が恥ずかしいのか。私は機嫌を損じる。

「あらそう? 買わないのだったら、今すぐお金とクーポン券を返して」

「からあげくんほしい、お母さんが買ってきて」

「だから夕食前だし帰るのよ。それに私はその味は食べられないって知っているでしょ。自分だけが食べるのだから当事者が買うのが当たり前。ちゃんとお金をあげたじゃないか」

「レジで、てぶらでいって店員さんに注文するのがイヤ。それも一つだけ買うのがいや。クーポン券使うのはもっとイヤ」

 私には子供の言うハズいポイントが理解できないので言い合いになった。ローソンを通り過ぎて駐車場に来てしまった。それでこの話は終わりです。


 私の育った環境ではなんでも安いものを賢く買うのが、良いことだという感じでした。母のお買い物仲間でもちょっとした高級品のものを手にして、本当は◎万円だけど、端数を負けてもらった。いいでしょう~という感じです。私はそれが当たり前だと思っていました。

 私は昭和時代の生き物なので商店街の百円で一枚くれるクーポンをちまちまと貯め、のりで台紙に貼ってさらなる割引を受けられるようにしていました。母や叔母たちがそういった情報を交換し、クーポン券置き場が玄関にあったので、それも当たり前に思っていました。一円でも不足したら売ってもらえない。だから一円玉を粗末にするとバチがあたるとよく言われていました。

 また父もたくさん買い物をすると商売人に「勉強しろ」 と言っていました。勉強しろというのは、負けろと同義語です。それで当たり前の環境にいました。

「お客さん、なんぼにしたらうてくれはりますのん?」

「精いっぱい勉強しまっさ、これでどないです」

「わかった。負けたりますがな。せやから今後もひいきにしてや」

 この言葉で私がどこの出身かバレバレですが……結婚して他県に嫁いだ時にやらかしました。たくさんお買い物をした後に端数の一円を負けてくれる? と当然のように言いました……同居人がすごく驚いてその店員さんに「負けなくていい」 といい、帰宅後私は怒られました。レジで負けろって言う人はじめてみたという。そして私はなぜそんなに驚かれるのか怒られるのかが理解できなかった。

 最初から値引きがあるスーパーではそういうことは言わぬが、個人経営の店なら普通にそういう会話をしていたので当たり前だと思っていました。

 後日、別の地方の小売り店経営をしている人とこの話をすると「ああ、そういうことを言う人は……田舎の店側としてはクレーマー予備軍として警戒します。負けろとは言わない方がよかったですね」 と注意されました。

 私はそうだったのかと反省しました。嫁ぎ先ではクレーマーになるのか……郷に入れば郷に従えという諺が身に染みました。以後負けろという言葉はどこに行っても慎み一切使っていません。

 同じ家族であっても誰しもハズいポイントがあり、皆にはわからない。以上でございます。






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