表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/100

第三十一話・文章や絵を平気でパクって人前に出ることができる人の頭の中

 こういうのは犯罪だと思うのですが、炎上もなんのその、アトをたたないのでエッセイにしてみます。私は個人的なことで叩いたりはしませんが、すでに知名度のある人や、これから知名度がついていくだろう人が盗作がばれても弁解をしないのは定番です。元々恥の概念がなく、世の中を舐めてる……とは思うのですがね。

 他人の作品を平気でパクれる人は、過去つらいメや痛いメにあったことがない。あったとしても軽度。元来金銭的に恵まれ、経歴も今後も苦労なく良いレールを敷かれていて……というのは確定でしょう。

 作品をパクル、発想をパクルというのは、虚言癖とはまた一線をひくと思っています。私がこういうことをはっきりと書けるのは高校時代に実際にやられたことがあるからです。私の文章をまるごとパクった相手は先生に褒められました。そして犯人から私への謝罪はありませんでした。心の傷はハンパなく今でもあります。(詳細はイラクサのブーケ、第七話 ⇒ https://book1.adouzi.eu.org/n0147ej/7/ )


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 数年前に実際に聞いたケース。

 私の知人Rもやられました。Rは狭い世界での知名度はあるも、世間的には超絶マイナー分野なので盗作者側には、再判や文庫本になって形を変えての出版にはならぬだろうと踏んだようです。元々同じ研究分野での知己で一度共著の話もあったので話が余計ややこしい。相手をSとします。Sは絶版になっているRの著作の中の一部を引用し、多忙で共著の話はなしにしますといいつつ、別の出版社で発行しました。Sにとっては二冊目の著作です。その分野で専業で食べていくのは絶対に無理なのでSは別に職業を持っています。ばらしてやるけど、公務員です。

 どうも、他人の作品を盗作できる神経は学歴や職業は関係ないようです。創作者もしくは研究者であるというプライドは根底からないということでしょう。ぜったにバレナイダロウというこの神経は一体どこからくるのか。想像力が欠落した単なるナルシストなのか。

 Sが悪質なのは丸ごとといっても二、三行ずつ細切れにしたこと、それを少しずつ入れ込む、それから純粋な自作の文面をいれる……厳密にいうと丸ごとではないので「盗作」 ではなく「剽窃ひょうせつ」 になるらしい。でもこれも原作者のRに無断でしたので、やはり犯罪行為に準じるものだと思う。

 被害者Rは、天然すぎて損得勘定に無頓着な人なので業界の動向を知らない。Sの新刊も知らなかった。またSは出版した知らせをRにしなかった。本も贈呈しなかった。でも購入した読者にはRの本を購入もしている人が多い。少なくともRの著作を発行した編集者やRと同じ研究者はその分野の新刊を購入しますので、あれ? この部分はどこかで読んだような……で、露見。

 読者からの連絡でRがSに対して文面でどの部分をどうしたのか教えてくれと連絡をする。元々共著の話もあった人なので双方連絡先を知っているからです。するとSは返事をよこさない。

 どうなっているのか、と、今度はRがSに直接電話をする。Sは「本職が忙しいので今はムリ」 と言い訳する。おっとりしたRも「このままやり過ごすつもりだ」 とさすがにわかってくる。無論、いい気分ではない。

 Rは知人に相談する。知人がRの代理人として、Sの著作を発行した会社に連絡をする。するとSがその晩あわてて、編集者をつれて菓子折り持参で謝罪にきたそうです。Rはあきれつつも再度同じことをいう。

「いや、文面で項目ごとに書いてくれと要求しているだけだ。それをしたらよいといっているだろう。一晩あればできる簡単な作業だと思うよ」

 超マイナー分野なので重版がかからないので訂正もなにもできないし、お金が儲からない分野なのでそういうことしかできないのは、Rもよくわかっている。そしてRよりもずっと年若いSの将来も思いやっての事で書面にあらわして謝罪してくれたらよいというのは最大限の譲歩です。

 その時は、畳に頭をこすりつけて謝罪したSだったが、文面での要求には応じない。書類で後世に残るのがイヤだったのか。これで終わりにしたいという態度を見てRは、やっぱりこいつはダメだと思う。コトを大きくしたくはなかったが、Rの著作の版元に連絡を取る。会社同士の話になると展開が早い。今度は、Sの著作を発行した社長がRの家に来て、Sの例の著作は絶版とし、すでに市場にまわっているものは引き上げ裁断する。Sには会社として今後は一切かかわることはない、というもの。これは大変に厳しい処置で、その本にはSなりの思い入れやS独自の文献も含まれている。

 Sは盗用というか剽窃した。にもかかわらず、原作というか原研究者であるRに対して悪びれなく、このぐらいいいじゃないかという態度。それが災いした。Sは、結果として己の研究者生命を絶った。


 常に誠実であれ。

 これは人として当たり前のこと。このぐらいと思うとそれで人としての成長は止まる。Sはまだ若いので、一から出直して頑張ってくれたらいいと思います。本職は続けているらしいけど。これでこの話は終わりです。





 結論 盗作が平気でやれる人間の頭の中は「なんとかなるどうにでもなる」 という思考が脳みそにまんべんなく練り込まれていると思います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ