次回予告スペシャル!(注意:予告はあっても公開は未定です) その3
○○話
「う、嘘だよね?」
十二月の冷たい雨の中で、俺とまさみは最大の危機を迎えようとしていた。
「嘘じゃないよ」
まさみは信じられないような表情で俺を見ながら、そしてだんだんと後ずさりしてゆく。
「やだっ……信じない! 僕……ううん、私は信じないから!」
あと二か月だったのに。
俺と彼女とのフェィクな恋人関係もあと二か月で終わりだったのに……しくじったな。
「やだっ……なんで? どうして言ってくれなかったの?」
「それが……条件だったから」
「条件って……まさか?」
「……」
俺は答えなかった。
だけど、彼女はすべてを悟ったようだった。
俺と彼女の両親との間に取り交わした約束だと悟ったようだった。
そして彼女は諦めがついたのか、やさしい笑みを浮かべて今度は俺の方へと歩み寄ってきた。
俺はそんな彼女を抱きしめる事も、やさしい言葉をかける事も出来ない。
俺は彼女の夢をぶち壊したのだから。
「ありがとう……」
「俺は……まさみにお礼を言われる権利はない」
「ううん、あるよ。十分にあるよ」
まさみは雨に濡れて冷え切った俺の頬にそっと手を添えた。
触れた手は冷たかった。
本当に凍えるような冷たさだった。
だけど、それは時間が経つにつれて暖かさを取り戻していった。
「私ね、瑞穂もみずきも二人とも好きだったよ」
「くっ」
「ねぇ、みずきはどうなの? 私の事嫌いだった?」
ぐっと胸にこみ上げる熱い思い。
俺は知っていた。
この気持ちがどんなものかって事に。
俺は瑞穂としてまさみとデートするのも楽しかった。
そして、みずきとして真美と遊ぶのも楽しかった。
だから……だから俺は……
「言葉にしなきゃ伝わらないのかよ……」
言えなかった。
「……ううん、伝わってる……だからこそ……今日で終わりにしよっか、こういのってさ」
「……それでいいのかよ?」
「……仕方ないよね?」
雨が降りしきる中で彼女を見つめる。
目は赤くなり、泣いているように見えるけど、でも夜の暗さと雨の滴で涙のあとは見えなかった。
「最後にさ……」
「……」
「お願いがあるんだ……」
「……な、ん……だよ?」
彼女はぎゅっと俺の手を握った。
降りしきる雨が服全体に広がってしまい、その手のぬくもり以外に温かみは感じない。
そして彼女は俺の手を引っ張った。
ぐいぐいっと……この港の近くにある路地に向かって。
路地にはいろいろな看板があかりを灯していた。
【空】という文字が緑色に光る建物の前で彼女は振り向いた。
「思いで……つくろうよ、最後にさ」
「えっ?」
第○○話
一年という時間は長いようで短い。
一生を考えればあっと言う間に過ぎてゆく時間だ。
俺はそのあっと言う間に過ぎる時間を、本当にあっと言う間にすごした。
だけど、それだけど、俺はこの一年を一生忘れる事はないと思う。
いろいろな事があった。
人生初の女装から始まり、そしてフェイクの恋人関係。
それも俺が彼女で彼氏が女。
そして俺の彼女はその彼氏。
おいおい、なんて複雑な関係なんだよ。
でも、それでも楽しかった。
もうすぐ三月だ。
俺も大学二年になり後輩も出来る。
そして、俺が女装をする事はもう二度とないだろう。
……今までありがとな、瑞穂。
俺はずっと使ってきた黒髪のウィッグをクローゼットに仕舞った。
もう使う事のない女装道具に別れを告げた。
「みずき! 夏コミなんだどさ、今度はこいつのコスで行こうと思うんだけど! あんたどの艦が好き?」
「えっ? い、いや、俺はもう女装はしないと心に誓ったばかりで!」
俺の一世一代のクライマックスを返せ!
「何を言ってるんですかぁ? あんたはもう私にとって不要の長物なんだからね!」
「不要じゃん! 長物じゃん! 要するにいらないんじゃん!」
「ああ、違った! えっと、早期予約だっけ?」
「何の旅行だよ! 特典別につかねーぞ!」
「と、とにかくさ! お姉ちゃんとコミュニケーションを取りましょう!」
「いやいや、だから俺の意見も聞け!」
そんなこんなでまだまだ俺の困難は続きそうだ。
公開予定不明な予告はここまでです。
私、実はこの小説が嫌いじゃないんです。
いつか真面目にこの小説の続きを書く日がくるのかな?
続きを書いたとして、この予告のままなのかな?
まぁ、それはそのうちわかるかも?
とりあえずは総合評価が100いってから考えよう(ぁ
とりあえず……予告の終了時の読者の数なんかで続きを書こうか考えようかなって思っているダメな作者でした。
おつきあいありがとうございました!
また別作品でお逢いしましょうね!
追記
続きが読みたいと感想を頂いたので予告1の続きだけ書きます。
そう書いたのですが、なかなか書けない……
100いったら絶対に書く! 約束します!




