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【Web版】成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~  作者: m-kawa
第七部

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第416話 ニルの鼻からは逃げられない

 子ども一人ひとりには空間魔法でマークを付けていないので、二人がどこにいるかわからない。街中に気配察知を広げてみても反応が大量に出るだけで、誰が誰だか見分けはつかない。


『店にはいなかった。店主が言うにはいつも通りに仕事が終わって帰ったそうだ』


 繋げていた念話でイヴァンから連絡が入ってくる。

 二人の仕事場は、港の手前にある料理店だ。同じ店ではなく別々の店だが、ジャンルが異なるようで棲み分けはできているらしく、ライバル店というわけではないらしい。昼の営業と夜の仕込みを手伝ったら子どもは帰るのだそうだ。


『そうなると誘拐か?』


『孤児を誘拐してどうすんだよ』


『だよなぁ』


 身寄りがないのだから身代金なんて取れるはずもない。資金たっぷりな孤児院なんて誰も想像しないだろう。

 ちょっと気になったのは先に上陸しているブラスヴェーク人だが、孤児が街や国に対する人質になるとも考えにくい。


『いやでも、可能性はゼロではないか……』


 沖への漁が禁止になっている今、海に出ている船があれば目立つはずだ。地球では夜に船を出して漁をすることもあるが、この世界では暗くなってから船を出すことはまずありえない。

 港まで気配察知を伸ばすが、さすがに怪しい気配はないようだ。海上にも生物の気配は感じられない。


『あ、おい! ちょっ、ニル、どこ行くんだよ!』


 考え事をしていたらニルがイヴァンを置いて走りだしたようだ。孤児と遊ぶフォニアと一緒にいることが多かったニルなら、二人の匂いを覚えているんだろうか。しかし手がかりを掴んだなら俺も出よう。


「ニルが何か見つけたっぽいから行ってくる」


「わかった。孤児院の守りは任せて」


「頼んだ」


 一緒に念話を聞いていた莉緒に一言告げると孤児院を飛び出していく。あたりは暗くなっていて人通りも少ないのでイヴァンたちの元にはすぐに到着した。


「わふっ! わふっ!」


 場所はさっきも気配察知を伸ばした港である。その船着き場の縁に立って、ニルが海に向かって吠えている。


「イヴァン!」


「ああ、シュウか。さっきからこの調子なんだ」


 海へと目を凝らしてみるけど何も見えない。夜目のスキルがあるから暗くて見えないことはないが、水平線の向こう側へ行かれるとさすがに無理だ。


「ニル、二人はここまで来たってのか?」


 吠えるニルの首元をもふもふして宥めると、こちらを向いて一声鳴いて、海上へと向かって空を駆けだした。ここまで確信をもって行動されれば付いていくしかない。イヴァンに一声かけるとニルを追って空を飛んで行く。

 しばらく空を進めば、海上を移動する船らしきものが見えてきた。


「マジか」


 実際に目に見えているけど信じられない。なぜなら気配を全く感じないからだ。しかし無人で動いているわけもなく、視力を強化すれば確かに動く人影が見えるのだ。

 船の大きさとしては小型な部類だろうか。帆が見当たらないので、動力は他にあるらしい。港には帆船以外見たことないのでこんな船があれば目立っただろうが、どこかに隠していたんだろうか。


 奴らの大型船まで向かっていることをはっきりさせようかと思ったが、このまま突っ込んでいくことにした。なぜだかわからないけど、アイツら訛りのある言葉遣いを隠そうともしないのだ。


「行くぞ、ニル!」


「わふっ!」


 周囲はすでに暗くなっているので、特に隠れもせずに堂々と船の甲板へと着地する。

 船上で作業をしていた数人がようやくこちらに気づいて固まっている。


「て、敵襲!?」


 しかし一部の人間はすぐに仕事を思い出したのか、叫びながら走り去っていく。


「誰や!?」


 残っている人間だが、もう一言喋るだけでわかった。となればあとはこの船に二人が乗っていれば有罪確定だ。

 ……と思ったんだが。


「わふぅ……」


 ニルが周囲を見回しながら匂いを嗅いだかと思ったら、耳をたたんで悲しそうな表情になっている。もしかしてハズレなのかもしれない。

 船に突入したからか、乗っている人物の気配が感じられるようになっている。どうやら中にも人がいるらしいが、ニルの様子からして期待できそうにない。


「街の人間が一部行方不明になって追いかけてきたんだけど……、心当たりあります?」


 あんまりいい印象を持っていない相手なので、誰何の問いには答えずにこちらの要求をぶつけてみる。というか、船の中からラシアーユ商会のマイルズさんの気配がするんだが。まさか誘拐されたんだろうか。いや、海の向こうの島に渡れると聞いて商機を見出した可能性も……、さすがにないか?


「はぁ? 何のことやねん。……それより、どうやってここまで来たんや」


 とぼける相手だったが、行方不明者を知っているか聞いただけで態度が剣呑なものに変わった。狭い甲板だが、俺たちを逃がさないように人が集まってくる。通路を塞ぎつつ、六人ほどが俺たちの前に武器を持ってやって来た。


 どうやらお互いに質問に答える気はないようだが、この態度だし有罪確定でいいか。


「答えてくれないんだったら、行方不明になった本人に聞きますか」


「わけのわからんことをごちゃごちゃと……! おい!」


 俺の言葉が理解不能と装っているが、集まってきたうち一人が船の中へと引き返していき、残った者が武器を鞘から抜き放つ。

 この船に手間をかける時間もないのでちゃっちゃと行こう。


「ニル、遊んであげなさい」


「わふぅ!!」


「ちっ、おめぇらやっちまえ!」


 こうして船上での戦闘が始まった。

書籍は8月25日発売予定です!

どうぞよろしくお願いします!

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