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【Web版】成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~  作者: m-kawa
第四部

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第195話 フォニアの反撃

「じゃあそういうわけなんで、俺たちは宿でフォニアを待つことにしますね」


「……えっ?」


 まさか本当にスルーされると思っていなかったのか、さっきまで怒っていた男が真顔に戻る。


「いや、ちょっ!?」


 すれ違いざまにも声を掛けてくるが無視だ無視。


「あ、あんな小さい子が一人で帰れるわけないだろう!?」


 確かに小さいけど、あれでも五尾の妖狐だからなぁ。ニルもついてるし、ここの冒険者全員含めても最強なんじゃなかろうか。


「あ、イヴァン兄!」


 肩をすくめながら宿へと向かっていると、背後の男より後ろからフォニアの声が聞こえてきた。もう外に出てきたらしい。

 振り返ると、男も驚いたようで後ろのフォニアへと向き直っている。

 引き留められてなかなか出てこないかと思ってたけど、そうでもなかったようだ。


「あいつら……、何やってんだ!?」


 小声で悪態をついているっぽいけど、フォニアが一人で出てきたことにお怒りのようだ。お仲間がフォニアの足止め役を果たせなかったってところだろうか。

 両手を広げた男が、フォニアへとゆっくりと近づいていく。


「……一人で出てきたら危ないじゃないか。迎えに来てくれる人を連れてくるって言っただろう?」


 迎えに来てくれる人は目の前にいるんだが、わざと言ってるんだろうか。イヴァンを振り返るが、どうもツッコもうという気はないらしい。


「むぅ……、ボク一人で帰れるもん!」


 両腕で胸の前にニルを抱えたフォニアが、頬を膨らませて男に抗議している。こうしてみると、ニルというぬいぐるみを抱えた子どもにしか見えない。

 そして子どものフォニアが出てきたからか、何事かと様子見する野次馬も少し増えてきた。


「外は危ないから、一度戻ろう」


「やだ! ……おじちゃんも邪魔するんだね?」


 一瞬だがフォニアの瞳に剣呑な光が灯る。それに全く気付かない男がフォニアへと手を伸ばす。が、フォニアは素早く躱すと、肩から男に体当たりを決めた。


「ぐほおおぉぉっ!!!」


 変な声を上げながらも三メートルほどこちらに吹っ飛んでくる男。小さいフォニアの体当たりで吹っ飛ぶ様子を見て、野次馬からもどよめきが上がっている。


「だから余計なお世話って言っただろ?」


「……ッ!」


 足元まで転がってきた男に告げるが、胸を抑えたまま声を出せないようだ。そこまでフォニアの衝撃が強かったんだろう。ちょっと鍛え方が足りないんじゃなかろうか。


「お兄ちゃん!」


 俺にも気が付いたフォニアが嬉しそうに尻尾を振りながら近づいてくる。


「わふぅ!」


 ニルは褒めて褒めてと言ってるっぽいけど、まぁちゃんとフォニアを見守ってくれてたんだろう。


「お帰りフォニア」


「デザート!」


 イヴァンの言葉を無視して、俺へと一直線に駆け寄ってきてからの第一声がこれだ。デザートがフォニアのやる気を引き出してくれたのはいいが、ちょっと会話にも影響が出るのはどうだろうか。


「あははは! おかえり、フォニアちゃん」


 ぐぬぬと唸るイヴァンを横目に、莉緒がフォニアの頭を撫でている。俺もニルへと手を伸ばして首を思いっきりもふもふする。


「ははっ。じゃあ帰って飯とデザートにするか」


「うん! ボクね、誰にも捕まらなかったよ!」


「おお、そかそか。そりゃすごい」


 自慢げに胸を張って、どうやって抜け出してきたかを語ってくれる。といっても最初から捕まると思っていない俺たちは全員、フォニアが語る様子を生温かく見守るだけだ。

 フォニアの話をまとめると、ギルドを出てすぐにさっきの男が話しかけてきたらしい。見たことある奴だったし、ご飯を食べさせてくれるってことでホイホイと安酒場へと付いていったみたいだな。


「今度からは知ってる人に声をかけられたら相談するんだぞ」


「そうね。念話でいつでも話ができるしね」


「そっか……。わかった!」


「念話ってすげぇ便利だな……」


 イヴァンが呆れているがまったくもって同感だ。ある程度離れると通じなくなるけど、それでも数キロは問題なかった。さらに空間魔法を併用すればかなりの距離で通信が可能だ。座標ではなく人をマーキングして記憶しておけば、離れていても空間を越えて念話が通じたのだ。というか併用した場合に通信できなくなる距離があるのかまだわかっていないくらいだ。


「おかえりなさいませ」


 気が付けば宿の前にすでにライラさんが待ち構えていた。


「ただいま」


「お食事の用意はできていますけど、どないされますか?」


「ごはん!」


 さてどうしようかと考える間もなく、フォニアの声が響く。それでいいか確認するような視線をライラさんから向けられたので、頷き返しておいた。


「うふふ、かしこまりました。ではお部屋にお食事をお持ちいたします」


 それだけ告げると、ライラさんは音もたてずに宿の中へと戻っていく。


「腹減ったー。飯だ飯」


「はらへったー」


 昼飯は食ってるが、一日中坑道に籠って作業していたのでそれなりに腹は減っているのだ。イヴァンとフォニアがいるおかげで寝食を忘れるほど熱中することはないが、それなりの時間を坑道で過ごしている。

 ……でもイヴァンはともかく、フォニアには悪いので今後気を付けるようにしようかな。

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