閑話 フォニア
「ボクもたたかう!」
魔物とたたかうイヴァン兄を応援していたけど、そういえばとハッと思い出した。もちろんイヴァン兄にも強くなって欲しいけど、ボクもイヴァン兄を守るためにたたかい方を勉強しないと!
「えっ?」
「フォニアちゃん!?」
今にもイヴァン兄へと向かっていく魔物へと飛び出していく。
「イヴァン兄をいじめるなー!」
走って近づいていくと、魔物がボクを振り返る。だけどここで立ち止まったりすればイヴァン兄を助けることができない。敵の攻撃をかいくぐって、ぱんちをお見舞いしてやるんだ!
「あうっ」
「フォニア!?」
と思ったら魔物が振りかぶった腕に吹き飛ばされちゃった。あんまり痛くないけど、でもこれならイヴァン兄も大丈夫かもしれないね。
「フォニアちゃん、大丈夫!?」
お姉ちゃんが心配そうに駆け寄ってきたけど、どこも痛くないよ。
「うん、だいじょうぶ」
「よかった……。柊が大丈夫っていうから大丈夫だとは思ってたけど、見てるとやっぱり心配になるわね……」
「だなぁ。ごめん、大丈夫だとは思ってたけど実際に見るとキツイな。幼女が魔物に殴られて吹っ飛んでいくのを見るのは心臓に悪い」
よくわからないけど、お兄ちゃんとお姉ちゃんはボクを心配してくれているらしい。
「くそっ、フォニアには傷一つつけさせないからな!」
イヴァン兄もがんばってるけど、相手の強さもわかったからちょっとだけ安心できる。危なくなったらイヴァン兄を助けてあげればいいんだ!
「痛くないからだいじょうぶだよ。あんまり強くなかったし」
「あはは、そうかもしれないわね」
「それにフォニアは魔法使い寄りのステータスだから、わざわざ相手を殴りに行かなくてもいいと思うぞ」
「魔法! そうだった!」
死んだお母さんも言ってた! 妖狐っていうしゅぞくは、魔法が得意なんだって。お母さんも火の玉いっぱい飛ばしてたと思う。
「あ……、でも、ボクやり方知らない」
しゅんとして俯いていると、ポンポンと頭を撫でられた。なんとなくくすぐったくて顔を上げると、お兄ちゃんの顔が目の前にいて優しく笑いかけてくれている。
「大丈夫。魔法関連だったら莉緒が得意だし、あとで莉緒に教えてもらえばいい」
「……ホントに?」
「うん。私が教えてあげるから大丈夫よ」
お姉ちゃんにも頭を撫でてもらえてうれしくなる。
「ありがとう!」
優しい笑顔がお母さんに見えた気がして、お姉ちゃんに飛びついてしまった。お母さんとは似てないけど、でもなんとなくお母さんな気がしたんだ。よくわからないけど安心できるからいいと思う。お姉ちゃんも大好きだし、大丈夫だよね?
「ぜぇ、はぁ……、だ、大丈夫か、フォニア……!」
気が付けばイヴァン兄が大きい魔物をやっつけていた。
「やったぁ! イヴァン兄すごいすごい!」
お姉ちゃんから離れてイヴァン兄へと駆け寄っていくと、細長い棒を地面に置いて、ボクの体をあちこちと確かめるように触れていく。
「どこか、痛いところは、ないか? 怪我は、してないか?」
「あはは! だいじょうぶだよ!」
ボクより疲れて見えるイヴァン兄が、ボクのことを心配してくれている。なんとなくおかしい気持ちになって笑っていると、イヴァン兄からも頭を撫でられた。
「えへへ」
魔物たいじに行くとみんなに撫でてもらえるから嬉しいな。お姉ちゃんに魔法を教えてもらって、ボクも魔物をやっつけられるようになればもっと撫でてもらえるかな?
「だけど急に飛び出すのは危ないからやめようか」
みんなに撫でられて気分良くなっていたところに、お兄ちゃんに怒られてしまった。
「そうだね。相手の強さがわからないまま突っ込んで行くのはダメだよ?」
お姉ちゃんにも言われたボクは、しゅんとするしかない。
「うん……、ごめんなさい」
イヴァン兄を助けようと必死で、なにも考えてなかったように思う。さっきだって魔物に吹き飛ばされてはじめて、大したことないってわかったし。
「今度からは気を付けるね」
「うん。フォニアちゃんは偉いね」
はんせいしていると、お姉ちゃんにまた褒められちゃった。
「そうだ! ボクも薬草を集めないと!」
ボクだって忘れてないよ。ここには薬草を集めに来たんだってこと、ちゃんと覚えてるんだから。敵に突っ込んでいかないこともちゃんと覚えておこう。
「はは、そうだな。フォニアは偉いな。俺も集めるか……」
「うん。イヴァン兄と一緒にあつめる!」
こうして薬草集めっていういらいを、ボクもすいこうしたんだよ!
成功すればお金がもらえて、美味しいご飯も食べられるし、楽しかった!




