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カティア

 騎士の体が吹き飛んだ。

 カティアが蹴り飛ばしてくれたみたいだ。

 グッジョブ。

 と思ったらオレにタックルしてくる。

 さっきまでオレと騎士がいた場所にオーガの拳が振り下ろされていた。

 地面を抉って石礫を周囲に撒き散らす。

 体のあちこちに当たってくる。鎧が防いでくれたが問題は顔だ。

 痛いってばもう。


 オーガの足元を蔦が絡んでいく。【アイビー・プリズン】だ。

 地面にめりこんだオーガの左手と首にも蔦が絡んでいく。

 オーガの動きが一瞬だが止まる。

 まだ首の位置は高くて届かない。オーガの左手を狙いにいく。

 連続で攻撃を当てていくが急速に傷が塞がって行くようだ。

 今まで相手してきたオーガと比べてもやたら早い。

 右手で首に絡まっている蔦を剥がすと咆哮をあげた。


 空気が震える。

 意識を刈りとられそうになるのを必死で堪えた。

 力を溜め込んでの咆哮だったら意識を手放していただろう。

 なんとか体勢を整えると蔦が絡んだ左脚に剣を突き立てる。

 MPが溢れるかのように回復してくる感覚が分かった。


 ただのオーガじゃなさそうだ。

 こいつは強い。


 オーガの肩口に【ファイヤ・ランス】が突き刺さる。

 オーガが天空に向けて叫ぶと魔術師に怒りの目を向けた。

 カティアが左脚に戦槌を叩きつけていく。【半獣化】したその姿は魔物じみている。

 オレも左脚に攻撃を加えながら、魔法を構築していく。

 精神魔法で右の剣に沿うように突撃槍の形状をイメージする。使う魔法は【ウィンド】。

 左の剣にも同じ魔法が形成されていく。右に、左にとその数が増えていき6本を構築した所でオーガに向けて放った。

 全てまともに命中し肉を抉っていく。だがそれでもオーガは怯まなかった。

 与えたダメージもみるみるうちに回復させていく。


 マズいな。あまり全力で戦う様子を見られたくないんだが。


 炎の蛇がオーガの首元を這い回り肉を焼き始めた。ラクエルの火精サラマンダーが顕現していた。

 突如として歌が響き始めた。

 あの神官が歌っていた。

 体の芯から熱が湧き上がってくる。

 前作にも似たような神聖魔法呪文があったな、そういえば。

 但し神様の設定は変わってしまっている。


 カティアが更にオーガの左脚を痛めつけるがその足取りは止まらない。

 新たな【ファイヤ・ランス】が腹に突き立てられるが、それでもオーガは怯まなかった。

 埒が明かない。


 今はラクエルとは感覚同調が効いているのを利用してみるか。

 (ラクエル、火精に魔力をまだ送っているな?)

 (はい)

 (オレの魔力を上乗せする。同調するぞ)

 ラクエルの魔法式に介入する。属性魔法の【ファイア】をサラマンダーに注ぎ込んでやった。

 制御のためにラクエルとの感覚同調をあげていく。

 オーガを焼く炎の蛇はより大きな炎を纏っていった。同時にオレンジ色の炎が黄色く変色する。


 一気にオーガの肉が焦げていく。それでも回復し続けているが、与えるダメージが上回っているようだ。

 遂に片膝をついた。

 右脚にも攻撃を加えていく。火精から吹き上がる熱気が凄いが構わず攻撃を続けた。

 オーガが腹這いに倒れる。

 ここぞとばかりにオレとカティア、ラクエルで頭部に集中攻撃を加える。

 ようやく首を斬り落として止めを刺した。


 【感覚同調】でサーシャの居所を探す。

 無事でいるのは分かる。高速で移動しているようだ。

 (ラクエル、サーシャの援護に行くぞ)

 (はい)

 念話で指示してサーシャを追う。

 森の中でサーシャのいる方向に向かう途中でオークの死体がいくつか散乱していた。

 森が途切れた所にサーシャはいた。

 足元にはオークシャーマンが両断されている。

 「仕留めたか?」

 「あ、はい。遅れたみたいですみません」

 いや、結構な数のオークを1人で屠ってるし。

 例の首飾りと魔石をオークシャーマンから回収する。

 この周辺に放たれたオークとオーガはこれだけなんだろうか。

 そう願いたいものだ。


 オーガの死体の場所に戻るとカティアがオーガの上に腰掛けている。

 絵になってる。こういっちゃなんだがカッコイイ。男前だし。

 爺様2人がオーガを呆けたように見ている。

 「・・・いやはや、オーガ相手にしたのは初めてじゃよ」

 「ワシは遠目で見たことがあるだけじゃよ」

 そうなのか?

 この辺りにはいないのだろうか。

 オーガの首輪を見る。魔晶石が6つ組み込んであった。それだけ隷属させるのに必要だったってことか。

 枠付きの魔晶石を苦無を使って革ベルトから外していく。

 オーガの死体からは魔水晶が浮かび上がっていた。


 「・・・分け前はどうしようか?」

 成り行きで戦闘になっちゃったしな。

 「ふむ。ワシ等はこのオーガの死体を回収させて貰おうかの」

 まあこれ程のオーガならいい防具が作れそうだ。

 カティアを見上げると目配せしてくる。

 「あたしは後で交渉させて」

 交渉、ね。なんか怖い気もするんだが。


 そういえばあの馬鹿はどこだ。

 オレを殺しかけたあの馬鹿はどこだ。

 説教じゃ済まんぞあの野郎。


 あの若い神官が馬鹿の体を揺すっていた。声をかけ続けている。

 「起きて下さい!もう大丈夫なんですよ!」

 神官の様子が必死だ。

 この馬鹿のお守りなんだろうか。

 神官の手前に屈んで馬鹿の顔を見る。気持ち良さげに気絶していた。

 天下泰平だな、こいつ。

 良く見たらまだ随分と若い。顔の造りも悪くないだろう。むしろカッコイイ。

 コートはボロボロだが物は良いのが分かる。鎧兜も煌びやかだ。

 体格もいいが、その割りに鍛えていないようだ。

 どこかの王族か貴族の子弟なのは間違いあるまい。

 「ああ、申し訳ありません。助けて頂きまして。私は・・・」

 オレにあいさつしようとする若い神官を手で制した。

 名前なんざどうでもいい。

 「それには及ばない。とりあえずこいつをぶん殴りたいだけだし」

 「ああ、いえ、それは困ります。出来ましたら穏便に済ませたいのですが」

 畜生、面倒臭いなあ。

 「・・・まあいいさ。オレ達はもうここの用事は済んだしな。アンタからキツく言っておけ」

 面倒な事はできるだけ抱え込まない。それがオレのポリシー。

 巻き込まれ事故は多いけどさ。


 カティアがオーガから降りてくる。

 「そんじゃあ戻るのかい?」

 「だな。任務も区切りがついたし。後は任せてもいいですか?」

 爺様2人に声をかけた。

 「ふむ。任されたとも」

 魔術師の爺様は転移のオーブと道標を用意しているのが見えた。オーガの死体を運ぶつもりだろう。

 「・・・お前さん方もバジドまで跳ぶかね?」

 若い神官に声をかけている。

 オレも転移のオーブを取り出して壁にかざした。

 3重の魔法円が浮かんでゲートが発動する。

 オレ達4人が飛び込んでいった。

 背中で爺様達の「しっかりせんか、若い者が」という叱咤の声を聞こえていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ホールティのホールに出た。

 目の前で警備のドワーフ達がポールウェポンを並べてこっちに向けてくる。

 怖いって。

 敵じゃないことを確認するまで警戒を解いてくれなかった。

 冒険者ギルドの者に所属を確認して貰ってなんとか通してくれた。


 ようやく開放されたと思ったら塔に行けと指示される。

 ホールの外に出ると日が大分傾いている。

 なんか時間間隔が狂いそうだ。


 3つ並んだ塔の周囲にはスペルガードが取り巻いていた。魔法結界を敷いているのだろう。

 一番手前の塔は建築中の新しい物の筈だが、その入り口に天幕が張られている。

 中は丸見えだ。そこにジエゴの爺様もいた。

 組み立て式の机の上に雑多な物が散乱している。整理整頓しなくて大丈夫なのかね。

 まあそれはさておき、報酬は貰って置かないとな。


 「戻ってきたか。早かったの」

 「まあね、ちょっと予定にない事もあったけどね」

 「?」

 「オーガを1匹仕留めてきた。バジドの近くでね」

 「・・・イスラディア王国か。あんな西の方まで・・・」

 どうやらこの様子でば【遠話の水晶球】で連絡してきてないらしい。

 机の上に【遠話の水晶球】の片割れが多数転がっている。

 「バジドのギルド長はリカルドって名前だった。どうやら王宮に報告しに行ってるみたいだけど」

 「ふむ」

 政治の話か。つついて様子を見るのもいいかもな。

 「メリディアナ王国からは支援はあるんだろ?ならオレ等の役目も変わってくるんじゃないの?」

 「そうもいかん。ここの拠点防衛をしながら周囲を把握するには人員も時間も必要じゃ」

 いやだなあ。

 目で釘を刺されたよ。

 「ところで報酬なんだけど」

 「連絡が確認出来たらな。それに金蔵はワシではないでな。担当してるのは別の者じゃよ。戻ってくるまで少し待て」

 「・・・メシとか大丈夫なの?」

 「ちゃんと配給がある。フェリディからは糧食もきとる。心配はなかろう」

 それは重畳。

 「じゃあ明日からは?」

 「周辺の偵察を分担してやることになるじゃろうな」

 想像はしていたが長丁場になりそうだ。

 「そうじゃ、あの不幸な女達じゃが」

 ちょっと爺様、抉らないでよ。 

 「ヘスティア神とヘラ神の神官団が来ておる。時間はかかるじゃろうが救いはあるじゃろう」

 「・・・」

 まあ人には適材適所ってものがある。

 そう自分を慰めるしかないよな。


 城郭の中はまだ森の部分も多い。

 泊まれそうな建物は少ないんだがどうするか。

 フェリディに戻るのもアリだろう。【転移跳躍】で行き来すればいいし。

 「一旦フェリディに戻るのはダメかな?」

 「ダメじゃな。今はフェリディ近郊の冒険者は全員に協力して貰っとる」

 おいおい。

 「それにフェリディの冒険者ギルドは一時休業じゃよ。数日中にはここに拠点を移すことになるじゃろ」

 マジですか。

 随分とそこだけ手際がいいな。

 「・・・メリディアナの意向だったりする?」

 爺様が驚いた顔をした。すぐに厳しい顔つきになる。

 「・・・この機にクレール山脈の東側を奪回できたらどうじゃな?得られるものは名声だけに留まらんじゃろうな」

 「かつての故郷を追われた種族もいるでしょ?彼らとの兼ね合いは難しくなるんじゃないかな?」

 「奪回するまではうまくいって欲しいものじゃがな」

 そんなものかね。後々の火種にならなきゃいいけど。

 「ところで何処に泊まればいいのかな?」

 「天幕はもうあるだけ設置してある筈じゃ。適当に自分の場所は確保せい」

 「あ、それは酷い。ここを離れて任務を押し付けたくせに」

 「別口で報酬は出しておるぞ?」

 「それと話は別だってば」

 こっちも引く気はないぞ。

 「この一番左の新しい塔だけど。一番上の部屋とか使わせてよ」

 「本気か?」

 「どうせ中央の塔だけで精一杯でしょ?あの塔の魔法式を書き換えないと道標も作れないだろうし。何よりスペルガードがいないと敵が転移してきかねない」

 爺様が絶句する。

 そう、魔術師達が恐れているのがそれだ。

 この城郭は物理的に占拠してはいるが、魔術的にはまだそうではない。

 「塔は怖くないのか?」

 「ここにいるなら何処も似たようなものでしょ?」

 塔は魔術師のいるべき場所として忌避する者が多いからな。

 こういうのも早い者勝ちだろう。

 「報酬は明日にでも貰いに来るから。早めに【遠話の水晶球】で連絡して確認はやっておいて欲しいね」

 そう言い残すとさっさと塔を登っていった。


 カティアがさも当然のようについて来る。

 「?」

 疑問の目を向けるとニヤリと笑われた。肉食獣の笑みだ。

 「オーガを倒した分け前。どうしよっか?」

 あ、それを忘れてた。

 「オレは先に休みたいんだけど」

 「それには賛成。あたしも寝ておきたいなあ」

 じゃあなぜ一緒に来るんだ?

 「だからさ、交渉」

 なんの?

 「今のあたしの主人は奴隷商人でザビネって中年女なんだけどさ。ここぞとばかりに稼いで来いって厳命でね」

 階段の途中で営業スマイルを見せ付けられた。

 「前にも言ったじゃない。あたしを買わないかって。あたしの分け前で足りると思うけど」

 「・・・」

 そうか。

 確かにオーガの魔水晶に【隷属の首輪】に付いていた魔晶石の価値ならば、人数分で割っても相当な金になる。

 「お買い得だと思うぜ?」

 「そうなのか?」

 「ああ。ついでに言っとくけどあたしは処女だぜ」

 それは余分だ。

 夜の相手したらこっちが先にギブアップしそうだし。

 それに女の子は自分からそんなことは普通言いませんから。

 「・・・しかしなあ、それでいいのか?」

 サーシャとラクエルに視線を移す。

 「・・・あ、私はご主人様さえ良ければ」

 「いいんじゃないのー」

 うん。

 君らならそう答えると思った。

 戦闘の連携も悪くなかろう。

 戦士だし結構重装備だから探索行動が心配ではあるが、虎人族ならば大丈夫かも知れない。

 「・・・まあ奴隷商人と会ってからだな」

 「まあ頼むよ、暫定ご主人様」

 なんだその呼称は、少々むず痒いぞ。


 まあいい。

 多分、明日からはここホールティから探索をすることになるだろう。

 この4人で組んでみて様子を見ればいい。

 少なくとも戦闘能力は十分にあることが分かっている。

 値段次第だが本当にお買い得なのかも知れない。

 

 塔の一番上の部屋にたどり着いた。

 オレが【ダンジョンポイント】を念じておいた部屋だ。

 精神魔法の【遠視】を念じてみる。

 今までにマークしてきた【フィールドポイント】と【ダンジョンポイント】の景色が見えてくる。

 その中にオレ達の姿があった。

 ついでに混沌と淘汰の迷宮の16階の武具庫も見てみる。

 変化はないようだ。


 部屋は散乱してはいるが、大き目のベッドがあり、長椅子もある。

 元々、敵方の魔術師が寝所に使っていた場所なのだし、毛布もあった。

 「夕飯の時間までこの塔で休む。怖くないか?」

 「あ、ご主人様が一緒なら大丈夫です」

 「平気平気」

 「あー今日は疲れた」

 カティアはさっさと長椅子に寝転んだ。先を越されたか。

 「サーシャ、ラクエル、一緒にベッドで休んでいろ」

 「え、でも」

 「オレはその辺りで寝転がってる」

 さすがに自制できる自信がない。

 「じゃああたしのトコでいいじゃん」

 カティアてば。挑発すんな。

 サーシャがオレの右腕を掴む、上目遣いで睨んでくる。うう、かわええ。

 「いえ、こっちですよね?」

 ラクエルがオレの左腕をロックした。つか関節極めるな。

 「まあ休憩くらいならいいんじゃないかなー?」

 連携完璧だなお前ら。

 そのままベッドに連れ込まれてしまう。

 カティアの楽しそうな笑い声は暫くの間、部屋に響き続けていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 3日が経過した。

 結局、この一番新しい塔の一番上の部屋はオレ達が占拠し続けている。

 中央の塔にはスペルガードが張り付いたままだ。魔法式の書き換えは相当苦戦しているのだろう。

 一方で着々と進んでいることもある。

 フェリディからの補給物資や資材搬入は順調に進んでいる。

 この城砦周辺の探索は冒険者ギルドが主導で行われていた。

 フェリディのギルドの長、ジエゴの爺様だが、魔術師としては中位に甘んじているものの、その人脈は豊富で王家の信頼も篤いのだとか。

 つまりオレってば面倒な人に目を付けられたってことだね。


 捕らえた男達への尋問がどう行われているのかは知らない。

 高位の神官が【真実の審判】を併用して行っているようだが、芳しくないようだ。

 メリディアナ王国からは首都レイジオ直属の警護兵が到着してきていた。

 実際にまだ戦闘もしていないのに高飛車になって仕切ろうとするものだからトラブルは多くなった。

 そうでなくとも元々が寄せ集めの集団だ。小競り合いは毎日起きていた。

 神官達がいなかったら秩序が保てなかっただろう。

 

 朗報もある。

 ゲートの行き先が全て確定したこと。

 そして新たな援軍が期待できそうなことだ。


 牡牛座の壁の行き先はリルド、イングランドのロンドンに相当する場所になる。

 獅子座の壁の行き先はハンザ、ドイツのブレーメンに相当する場所になる。

 乙女座の壁の行き先はブルティエンヌ、フランスのレンヌに相当する場所になる。

 オレ達がたどり着いた双魚座の壁の行き先はバジド、スペインのマドリッドに相当する都市だ。

 そして蟹座の壁の行き先がフェリディになる。


 それぞれのゲートの行き先は大きな国家が存在しており、各々と軍隊の派遣を調整しているそうだ。

 イスラディア王国は少数ではあるが先遣部隊も来ていた。


 そしてこの城郭内の設備が仮ではあるが充実してきていることだ。

 屋台形式ではあるが、一通り揃って来ている。

 ドワーフ達を喜ばせたのは城砦の外に石切場があったことだ。

 城郭内の建物もジエゴの爺様が指揮して建築が始まっていた。


 城砦周辺の探索も順調に進んでいる。

 オレ達は4人でパーティを組んで探索任務に加わっていた。

 無論、4人目のメンバーはカティアだ。

 この城砦周辺は森林が多かったのだが、早駆けでもオレ達にちゃんと追随できていた。

 懸念は無用でした。

 つか長距離走になったらオレが一番先にヘタレてました。


 悲報もあった。

 個人的に、だが。

 言伝の返信はまだない。【転移跳躍】ができるようになっていたので、跳んでみて毎日確認している。

 原始的な手段しかないのがもどかしい。

 支援AIにやらせている課題にも目立った進展がない。

 現実世界の本体に不具合が起きていないのが救いだ。


 そしてイヤな予感がする。

 今日はジエゴの爺様に呼び出されていた。

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