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第356話 恋する乙女でした

〜〜ソフィア〜〜


 私はソフィア・サリー・レーンベルク。


 レーンベルク伯爵家当主にして白薔薇騎士団団長。


 五大騎士団史上最年少で団長になり、歴代最強と謳われる騎士、恋する乙女。それが私。


 ツヴァイドルフ帝国との戦争中、団長と副団長が相次いで戦死。当時の帝国最強騎士、近衛騎士団団長と戦い、敗れてしまった。


 そのまま勢いに乗って王国軍を蹴散らそうとした帝国軍を、近衛騎士団団長を倒す事で私が止め、逆に蹴散らした。


 その功績もあって私は団長に。終戦した後には戦功褒賞でレーンベルク家は伯爵に陞爵。同時に私は当主になった。


「……何故?お母様はまだまだお若いじゃありませんか」


「だってお前、英雄じゃん。周りも譲れ、引退しろって圧が凄いし。ママは疲れました。隠居生活に入ります。褒賞金で別邸でも買ってちょうだい。海か湖が見える土地が良いな」


 と、まだまだ元気な母は隠居生活に。ジュン君を確保するにも権力はあった方が良いから都合が良かったのだけど。


 家臣達も納得していたし、友人達も同じ。誰もが認めてくれた。


 そう、私は昔から周りには期待されていた。


 幼い頃から剣の才を示し十三歳で剣術大会優勝。ギフト持ち、スキル持ちの私は鳴り物入りで白薔薇騎士団に入団した。


 皆の期待に応えようと入団した後にも鍛錬の日々。


 そんな頃に私は運命に出会った。

 

 彼に会って確信した。彼は私の運命の人だと。


 その時十五歳の私が七、八歳の少年に何を言ってるんだと、色ボケも大概にしろと怒鳴る人も居るでしょう。


 私自身そう思うもの。他人が同じ事言ってたら「うわぁ……」って思うもの。


 でも良い。私は彼を……彼が欲しい。なんとしてでも。


 その為には先ずは知り合いにならなくては。


「悪くないわ。でも最初は良かったけど今は軸がブレ始めてる。下半身が安定してない証拠よ。もっと走り込みをしなさい」


 あああ……違うぅぅぅ!こんな、こんな上から目線の偉そうな物言い違うぅぅぅ!


 もっとこう……「綺麗な髪してるね」とか「かわいいね」とか!って、これじゃただのナンバじゃない!


 もっと熱い……そう!運命的な出会いを演出するかのような会話を!


「そう…此処は確か孤児院ね。孤児院の子供なら仕方ないか…でも、ちゃんとした指導をしてくれる人を見つけるのを御薦めするわ。それじゃあね」


 はいぃぃぃ……ダメでしたぁ。


 平静を保とうとすると自分の得意分野での話になってしまう……それに気付いた私は対策を練る為に早々に会話を切り上げ、戦略的撤退。


 趣味の恋愛小説を読み直し、本屋で新たに「これで貴女も結婚!男が喜ぶ100の言葉!」を購読。


 対策は万全、明日に備えた。


「足りないわ。毎日、その倍は走りなさい。それじゃあね」


 違うぅぅぅ!違うのぉぉぉ!もっと情熱的なセリフを用意してた筈なのぉぉぉ!


 何が倍走りなさいよ!あんな子供に何させようとしてるのよ私は!


 10キロの倍って20キロよ!?私だってそこまでは走ってないわよ!馬鹿なの!?


「言っちゃった手前今から走るけど!20と言わず40走るわよごめんなさいぃぃぃ!」


 絶叫しながら私は走った。我ながら情けない、恥ずかしい一日だったわ。


 そんな恥ずかしい失敗を糧に。私はなんとか自然体を装い、彼……ジュン君に剣を教える指南役の座をゲットした。


 運命的な出会いを演出する事は諦めて頼りになるお姉さんポジションを確立。後は自然な流れで恋人に。そんな計画。 


 でも……


「さてソフィア。白状しなさい」


「あの子、ジュン君は男の子っスよね」


「独り占めは良くないと思います」


 あっさりクライネ達にバレた。頼れるお姉さんを演じるあまりアム達の指導を頼んだのがダメだった。


「ソフィア、私達は親友。そして同じ騎士団に属する仲間です」


「苦楽を共にするのが仲間だと思うんスよ」


「なら苦を共にしたんですから次は楽ですよね」


 その後も押しに押されて。なんだかんだと同期全員に広がり。


 戦争に参加して二年後には白薔薇騎士団全員でジュン君を如何に確保するか、如何に恋人にするかを話し合い、計画を練りに練った。


 休息に王都と最前線行きを団を分けていた頃は特に大変で。


 ジュン君の存在に気付いた木っ端貴族や木っ端商会を密かに排除したり。恍惚とした表情でジュン君を見る怪しいドライデンの商人を追い払ったりもした。


 ジュン君が出かけた際には護衛をつけたり、ジュン君を男だと気付かれないように魔法で誤魔化したり。


 確保作戦の為に地下下水道を無断で拡張したり。


 本当に大変な日々。そんな日々を乗り越え、ジュン君の確保に成功はしたけれど結局はローエングリーン伯爵家、クリスチーナ達エチゴヤ商会と手を組む事になり。


 アイシャ殿下を味方に引き入れその後もジュン君を護る会はなんだかんだと増員され。


 それでも致命的な事態は避けつつ東西南北に駆け回り、当主の仕事、団長の仕事。あれやこれやもこなしつつ帝国に行ったりドライデンに行ったり。


 そして今日、遂に。


「け……結婚だろうと婚約だろうと同衾だろうとやってやらぁ!だから誰も死ぬなと全員に伝えて来いカミラ!」


 遂に!ジュン君から結婚の言質を取れた!私のテンションは一気に最高潮!


 今頃はクライネ達も有頂天になってる筈。


 でも浮かれた顔は見せない。折角此処まで頼りになるお姉さんを演じきって来たのだから。


 最後まで演じきってみせる。


 どうせならジュン君にかっこいい私を!英雄たる私を!


「だから!男性を斬るのは少しばかり心苦しく思うけれど!斬らせてもらうわエスカロン!」


 エスカロンなのかカルボウなのかはわからないけれどね!

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