第344話 まだまだあるのでした
誤字脱字報告、いつもありがとうございます。
とても助かってます。
~~エスカロン~~
『そんじゃやるかのう……ん~?ほっほう~?こりゃあええ』
『どしたの、お祖父ちゃん』
『あすこを見てみぃ。魔王とかいう、ちっこい獲物が居るわい』
……見つかったようですね。
これは……本当にマズい!
「カルボウ!私を中へ!」
『何をする気か知らんが!まとめて吹き飛べぃ!』
『あんたらが居るとあーしの友達が死ぬんでしょ!だったらあーしがあんたを吹っ飛ばす!』
これは、間に合わな――
『ほっ?何じゃ何じゃ?』
『うっそ!あーしとお祖父ちゃんのブレスを!?』
カルボウ……?私の命令無しにドラゴンブレスを防いだ……私の命令無く動く事は無いはず。なのに……それに、ドラゴンブレスを防いだ透明な盾のような物は一体。私が知らない能力がまだある?
いや、今はそれを知るよりも先にカルボウに乗り込まなくては!
『あっ!アイツ、デカブツに入った!』
『ほっ?人が乗り込む必要があるゴーレム?しかし、デカブツは動いておった……まぁ、まとめて吹っ飛ばし易くなっただけじゃのう!』
「くっ!少しは話しでもしようとは思わないのですかねぇ!」
最上位の知恵あるドラゴン、エロース教の守護神といえど所詮は獣ですか!
「カルボウ!攻撃なさい!」
〈ゴォォォン!〉
『え!何々!?』
『腕が飛ぶじゃと!?』
「カルボウには面白い武器が満載でしてねぇ!」
このロケットパンチなんて序の口に過ぎません!次は――
『ちっと驚いたがのぅ!ドラゴンに空中戦で勝てると思うとるのか!それも腕だけで!』
『あーしらを馬鹿にしてんの?!』
「空中戦がお望みですか!お付き合いしようじゃありませんか!カルボウ!」
〈ゴォォォン!〉
『何じゃとぉ!?』
『翼が生えて飛んだぁ!?ゴーレムが?!』
デビルウィングと言うらしいですねぇ!
……どこらへんがデビルなのかサッパリわかりませんが。カルボウを作った異世界人のセンスはよくわかりません。
「それは横に置いておくとしまして!カルボウ!ソニックバスターを!」
〈ゴゴォォン!〉
『今度は何!』
『口が開いて……お嬢ちゃん!ヤツの正面から外れるんじゃ!見えない攻撃がくるぞい!』
「これを避けますか!流石は永きを生きるドラゴンなだけありますねぇ!」
しかし防戦で手一杯のようですね。いくらファフニールといえど、カルボウのようなゴーレムと戦った経験など無いはず。未知の攻撃を恐れて後手に回るしかな――
『ええい!うっとおしいのう!一気に終わらせてくれるわ!』
『さっきは地上に向けてだったからフルパワーで撃てなかったけどー!空中なら遠慮なくいけるもんね!』
「は?」
さっきのドラゴンブレスが全力じゃ……これはマズいですねぇ!
「カルボウ!回避、いや近すぎる!防御なさい!」
『防げるもんなら!』
『防いでみろってーの!』
クッ!凄まじいパワー!先程の盾だけでは防ぎきれませんか!仕方ありませんねぇ!
「カルボウ!私の力も使って構いません!こちらもフルパワーです!アレを使いなさい!」
〈ゴォォォォォォォ!〉
カルボウに搭載された武器の中でも最大の威力を誇る武器メガスマッシャー!胸部に格納された武装から極光の光線が放出!魔王の力も上乗せすれば!ドラゴンブレスといえども!
「相殺出来る筈です!いやカルボウ!押し返すのです!」
『こ、こんのぉぉぉぉぉ!!!』
『わ、儂らの全力ドラゴンブレスと対等じゃとぉぉぉ!』
……な、なんとか凌ぎ切りましたが、押し返す事は出来ませんでしたか。しかし、折角溜めた魔王の力を大分消耗してしまいました。
これ以上の消耗は避けたいのですが……
『はぁ~ふぅ~……ちょ、ちょっと焦った……』
『やるもんじゃのう、このデカブツ。いや、魔王どもと言うべきかのう。しかし、儂らはまだまだ戦えるぞ。そっちはどうじゃ。大分疲れたんじゃないかのう』
……即座に倒すのは、難しそうですね。
さて、どうしますか……
~~レイ~~
「……派手にやってるみたいだね」
『派手にやってるみたいでござるなぁ』
エスカロン殿が……いや、もうエスカロンと呼び捨てでいいかな。
エスカロンがカルボウの所に行ってすぐ。もの凄い轟音が城の中に居る僕達にまで聞こえて来た。
恐らくはアインハルトかツヴァイドルフが戦力を王都の外に隠してて、それがエスカロンを襲撃したんだろう。
早速、計画が崩れたなエスカロン。
『エスカロン殿と戦っているのはドラゴンのようでござる』
「……わかるのか?」
『勿論でござる。拙者、一度覚えた気配は忘れないでござるよ。これほど強大な力の持ち主なら、尚更でござる』
「そんなものか……」
しかし、ドラゴンね。という事はファフニール様か。
最大戦力のファフニール様を外に配置して奇襲に使うとはね。大胆な作戦……いやファフニール様なら魔王の結界も強引に突破出来るかな?
どちらにせよ、エスカロンは今頃苦戦……は、してないか。カルボウ、強欲の魔王の力と怠惰の魔王の力があればファフニール様といえど……
『ところがギッチョン。存外苦戦してると予想するでござる』
「なんだ、ギッチョンって……何故そう思う?」
『どうやらドラゴンは二体いるようでござる。ファフニールとかいうドラゴンと、もう一体。ファフニールとほぼ同等の力を持った個体のようでござる」
「そんなの居たかな……」
そう言えば人化したファフニール様とよく似た雰囲気の娘が居たな。竜人族の……まさか本当にファフニール様と同じで人化したドラゴンだったか?
「しかし、そうなるとエスカロンは……」
『あっけなく敗北するかもしれぬでござるな。ハッハッ、いい気味でござる。拙者を侮った報いでござるよ』
「そこは僕も含めろよ……」
でも、まぁ……そうはならないだろうな。例え一度は敗北したとしても、だ。魔王は魔王を喰らう事で魔神に……魔神に?
「なぁ、凄く今更だが」
『何でござる?』
「魔王は魔王を喰らって魔神に成るんだよな。エスカロンもカルボウも、お互いを喰えないと思うんだが。僕とお前が互いに喰えないのと同じように」
何せこいつは刀だし。こんなのボリボリと齧ったところで僕の歯が折れるだけだ。逆にこいつには口が無い。どうやっても互いに互いを喰えない。
エスカロンとカルボウも同じで。あんな巨大ゴーレムを喰える筈もなし。カルボウにはそもそも自己が無い。喰うという意思すら持てない。
じゃあ僕達はどうやって魔神に成るって言うんだ?
『…………さぁ?拙者にもわからぬでござるよ。しかし、本当に今更でござるなぁ。それよりも主殿』
「……何だ?」
こいつ、何か隠してるな。此処に来て僕に隠し事するなんて、ろくな事じゃなさそうだ。警戒が必要だな。
『ノワール侯爵とやらが近付いて来てるでござるよ。エスカロンの眷族の熊も大分数が減ったようでござるがまだまだ居るでござる。それを無視して向って来てるとなると、予想通り精鋭のみで向って来てるのでござろう』
「そうか……」
そこは予想通りだ。そして、その精鋭の中に居るんだろうな。
『母親でござるな。居たらどうするでござる?』
「殺すよ。ノワール侯爵を殺して、絶望させた後に殺す。何度も言ったろう」
『本当に出来るのでござるか。なんだかんだと言い訳して、結局罪人の処刑しか殺人を経験してない主殿が、母親を殺せるとは思えないのでござるが』
「……殺るさ。その為のお前だろう、相棒」
『やれやれでござる』
チッ……本当にこの駄剣は。最後までイライラさせる。
「そう言えば……これも本当に心の底から今更だが」
『まだあるでござるか。一体何でござる』
「お前、名前とか無いのか?今までずっと、お前・相棒・駄剣、としか呼んでなかったからな。今になって気になったんだが」
『……ほんと~~~~~~~~~に今更でござるなぁ』
だから自分でも今更だと言ってるだろう。いいから早く答えろよ。
『……まぁ、いいでござるが。拙者の銘は――おっと、来たようでござるよ。折角だからノワール侯爵にも拙者の銘を教えてやるでござる』
そこで引っ張るのか……
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