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第338話 タイミングが最悪でした

「ふぅ……今日は少し暑いな」


「良い天気ですしね……」


 今日は式典の日。会場は王都ガリア内に作られた特設会場。


 イメージは野外コンサート会場。ステージに近い位置に招待客の王族や皇族、高位貴族が並び。後ろの方にクリスチーナ達平民の招待客が並ぶ。


 ドライデンは大陸南方に在り、温暖な国なので10月でも快晴となれば暑い。


 熱中症にならないように注意だな。


「それにしても……ドライデンの国民が少なくないか?」


「少ないですね。あきらかに」


 アニエスさんの意見に同意する。普通、こういう式典では自国民が一番多いものだと思うのだが。


 勿論、全く居ないわけではなく。観客にも警備にも居る。警備はそれなりだが観客はチラホラ。


 昨日見た住民の様子からすれば予想出来なくもないが。


 やはり異常、おかしいと言わざるを得ない。


 エスカロンの暗殺者達も結局は来なかったし。俺達側にも帝国側にも。その他の招待客にも。


 やはり事を起こすなら式典の最中、つまりはもう間もなくだ。


「知ってはいたが……体制が変わってもドライデンはおかしな国のままだな。いや、異常性は今の方が上だな。エスカロンの方針、施策がまるで理解出来ない」


「俺もですよ」


「私もだ、ブルーリンク辺境伯」


 エスカロンの目的は俺を国王にする事。なのに魔王を引き入れ国内を乱してる。


 おまけに自分自身も魔王になってるし。


 魔王になったのは自分の意思じゃないにしても、俺と敵対するしかない道を進んでるのは確か。


 ほんと、何がしたいんだか。


『知らんねやろ。エスカロンもレイも。世界の為には魔王は排除されなあかんて事を』


 ……ああ、そりゃそうか。知っていたとしても魔王にされた事を無かった事には出来ないんだが。


『そらそうやねんけどな。しっかしヘラ様はどないするつもりなんやろな』


 うん?何がだ。


『いやな。仮にやで?仮にマスターが負けた場合、ヘラ様の嫌がらせは完了、魔王は生き残るわけやけど。その場合、魔王の紋はどうやって回収するんやろな』


 ……回収出来ないとヘラ様が管理する世界がマズイことになる。


 その世界を壊すつもりが無いなら魔王の紋を回収する手立てがある筈。そう言いたいのか。


『そんなとこやな。ま、有るんやとしてもどないしようもないわ。わいらには、な』


 ……だろうな。世界の管理なんて神様にしか出来ないだろうさ。


「……ん、わかった」


「何かありました?」


 白薔薇騎士団の団員がアニエスさんに耳打ち。


 何か予定外の事があったかと思ったが違ったようだ。


「いいや。予定通りだそうだ」


「……そうですか」


 予定通り、逃走経路の確保が完了したらしい。


 この会場から外門までの道の各所に人員を配置。王都ガリアからミトラスまでは王国と帝国で雇った傭兵団が。


 ミトラスには援軍が来てる筈だ。それらの計画には帝国と合同でユウも参加して立てられていた。


 ていうか、エスカロンが魔王だってわかった時点で逃げたらいいじゃんって?


 その意見は当然ながら出たが一応は外交、国の代表として来ているし、他国の人には魔王やら使徒やらの説明が出来ないしで。


 それじゃ外聞がよろしくないので、結局ほぼ全員参加のままだ。


 不参加なのは帝国皇家のドロテア様やコンチェッタ様を始めとした年少組。あとエルリックとパメラ、ユーグのおっさんだ。


 エルリックは海の勇者だが赤ん坊で、その能力も此処では役に立たない。


 パメラは精霊使いではあるが幼すぎるし戦場で的確な指示が出来るはずもない。精霊への指示は俺が代役出来るし、護衛にウンディーネの眷属を連れているし、危険も無いだろう。


 おっさんに関しては言わずもがな。居ても邪魔にしかならないので船で子守をしてもらおう。


 よって、彼女達非戦闘員はファフニール様がミトラスの魔導船まで送っている。


 子供を一人二人なら抱えての飛行は人型でも簡単らしいが、人数が多いし元の姿に戻ってミトラスまで飛んでもらった。


 ファフニール様は以前言ってたように一度変身を解くと暫くは人型になれないらしく。現在は近くの山で待機中だ。


「お。始まるようだな」


「ようやくか」


 アニエスさんの声に反応してステージを見ると、エスカロンが数人を連れてステージに上がっている所だった。

 

 その連れている数人、五人だが……フード付きのローブを着ていて顔がよく見えない。


 宗教関係者……ではなさそうだが。


 それと一人だけ、布で包まれた槍のような物を持っている。


 もしかしなくてもアレはレイさんか?


『そうみたいやな。やっぱり、何かするつもりやな、此処で』


 ……だな。いつでも戦えるようにな。あと皆を護れるように準備頼む。


『了解や……あら?』


 なんだよ。あらって……なんかあった、ん?アレは……アンリエッタ嬢か。


 なんだってアンリエッタ嬢がエスカロン達と一緒にステージに?


『それも気になるけどやな。それよりもやな、マスター。ちょいマズい――』


「皆様、大変長らくお待たせしてしまった事、心よりお詫び申し上げます。これよりドライデン連合王国建国一周年記念式典を開催します」


 始まったか。しかし、アレって拡声器か?そんなのもある……いや、魔法道具か。魔獣を操る道具といい、魔法道具の技術は抜きん出たモノがあるな、ドライデンは。


「初めに、我らが偉大なる初代国王エスカロン・ガリア・ドライデン陛下による御挨拶です。皆様、盛大なる拍手をお願いいたします」


 なんか異世界だって言うのに馴染みのある始まりだな……学校の全校集会みたい。或いは著名人を招いての講演会のような。


『そんな呑気な事言うてんと。わいの話を聞いてぇや、マスター』


 お、おう?何かあったのか?


『マズいお知らせや。デウス・エクス・マキナのメンテナンスが始まってもうたわ』


 …………なんて?

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