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第333話 やっぱり怖いのでした

~~ユウ~~



「話って何、ピオラ先生」


「せっかちね。まぁいいわ。貴女に頼みたい事があるのよ」


 最近、出番が無かったから忘れてる人の為に。


 私はユウ。孤児院職員ジェーンの娘。ジュンお兄ちゃんと同じ日本からの転生者。違うのは完全に記憶を持ったまま転生してない事。


 そして自他共に認める頭脳明晰な美少女。


 自分で言うなって?いいじゃない、事実なんだし。


 ま、私が美少女なのは異論は無いとして。今はミトラスを出て一日目の夜。明日か明後日には王都ガリアに着くという距離での夜営。ピオラ先生に呼ばれてこっそり二人で会ってるとこ。


「まずはこれを」


「……何、これ」


「ドライデンに関する調査報告書」


「いつの間にこんなもの……誰から貰ったの?」


「勿論、味方よ。因みに受け取ったのは昨日」


 昨日って……ミトラスに居る時に?いつの間に……あ。


「味方ってもしかしなくてもジュン様ファンクラブ?」


「流石ね、正解よ。更に言うなら会長は私。ジーク殿下は副会長ね」


 ……ジーニさんが会長で、エロース教のシスターを中心としたファンクラブもあるんだけど。そっちとは別物なんだ、やっぱり。


 非公認のファンクラブが二つあるって知ったら、お兄ちゃんどうなるかな……


「で、ドライデンに関する情報を集めたはいいけど、大小問わずに集めたから膨大になりすぎて必要な情報の取捨選択、分析をして欲しいってとこ?」


「それも正解。全部言わなくてもわかってもらえるって楽でいいわね」


 ……最初は怖がってたくせに。


「……いいよ、やってあげる。ジュンお兄ちゃんの為だもん」


「そう、全てはジュンの為!あ、ユウもジュン様ファンクラブの会員になるでしょ。帰ったら会員証あげるね」


「それはいらない」


 間違いなくお兄ちゃんに嫌がられるもん。それにファンクラブって何故かイメージが良くないのよね、私の中で。


「さて、じゃあ始めるけど……本当に膨大な量ね。くっだらない情報も多いし……」


 ミトラスの飲み屋の女将に娘が生まれたとか、酒屋の飼い犬が泥棒を捕まえたとか……どう考えても必要無い情報でしょ。


 でも、有益な情報も確かにある。物資の流れ、人の流れなんかが最たるもの。


 これらを分析して導き出される答えは一つ。


「ドライデンは戦争するつもりだね」


「あ、やっぱり?」


 先ず間違いないわ。魔石に鉄、ミスリルなんかの鉱物資源。塩や食料。国内外を問わず買いあさってる。兵士、騎士を国中から王都に集めてるし。


 何よりレイさんの宣言もある。


 でも気になるのは……


「情報を隠してないのが気になるね」


「隠してない?」


「この情報を集めたのってファンクラブの人なんでしょ。その中に情報収集のスペシャリストが居るのか知らないけど殆どが素人の筈。情報の多さから言って集めた人間は多数。にもかかわらず素人でも集められるくらいに情報を隠してない。逆に情報を広めてるんじゃないかなって気さえ……」


「ユウ?」


 もしかしなくても、そっちが正解?ドライデンは……いえ、エスカロンは。戦争の準備をしてる事を悟らせようとしてる? だとしたら……何の為に?


「えっと……素人が情報を集めることが出来たら、隠してないって事になるの?単に隠すのが下手だっただけじゃなくて?」


「だってエスカロンは元は商人なんだよ?物資の流れ人の流れ。市場価格の変動なんかで何が起きてるのか読み取るのに長けてるし、そういうのを隠す術も心得てる筈。実際、情報の隠蔽を得意としてるから内乱で奇襲作戦が成功したんだし」


「そ、そうなんだ?」


 アム達から聞いた話からだと、そうなるのよね。やっぱり情報をわざと広めてるとしか……


「ところでピオラ先生、さっきやっぱりって言ったけど。ピオラ先生もわかってたの?」


「え?あ、うん。なんとなく?私も報告書は読んだし……確信は持てなかったけど。それにドライデンに来る前にファンクラブ会員と相談したら、最悪の場合は戦争になるから準備だけはしておこうって」


「……それ言ってたのってグリージィ侯爵?」


「あ、凄い。どうしてわかったの?」


 お兄ちゃんの事が好きで情報の読み取りが出来て戦争の準備が出来て婚約者の立場に居ない人は限られてるもの。私が知ってる中で一番可能性が高い人をあげただけなんだけど。


「でも、グリージィ侯爵が準備すると言っても出せるのは正規軍じゃなくて傭兵団になるよね。オマケで冒険者くらいで」


「……本当に、良くわかるわね」


 だってまだ正式な宣戦布告もされてないのに王国の正規軍を出せるはずもないし、グリージィ侯爵家の私兵も出せないでしょ。独断で動かしてバレたら謝罪だけじゃすまないもの。


 となると精々が秘密裏に傭兵団を雇っておくくらいな筈。私兵も出せるように準備だけはしてるんだろうけど。


「で、その傭兵団は今どこ。国境に一番近い街で待機?」


「せ、正解……」


「なら情報にあった目的不明の傭兵団は帝国の手配ね」


「そ、そうなの?そんな報告あった?」


 報告では傭兵団だなんて書いてないけどね。どれくらいの数が居るのかは知らないけど、グリージィ侯爵が用意した傭兵団とぶつからないように、動かし方を考える必要があるわね。


「あとブルーリンク家の私兵と残りの五大騎士団が国境要塞で待機してるから、それも動かすように進言しないと」


「あ、そうなんだ……へー……知らなかったなー……」


「今すぐに動かすようにしないと、間に合わないかも。傭兵団だけでもドライデンに入れて退路の確保……は、帝国も傭兵団にさせるだろうし……最適なルートを選択しなきゃ。地図持ってる?」


「な、無いです……」


「ならもうローエングリーン伯爵と相談しようか。帝国の人も呼んで」


「そ、そうですね……やっぱり賢すぎて怖い……」


 結局怖いんじゃん。

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