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第310話 訓練中でした

「ノワール侯!行きます!」


「どうぞ!」


 帝国から帰って来た日から三日たった。


 あれから大きな問題は起きずに特訓の日々だ。五大騎士団の団長が訓練…主に模擬戦に付き合ってくれている。


 今はイエローレイダー団長が相手をしてくれている…のだが。


「ハッ!ハァッ!セェイ!」


「やっぱちょっと待って!鎧を着てください!」


 イエローレイダー団長…模擬戦だからと防具は無し、訓練着でのご登場に少し嫌な予感がしていたが。


「どうかしましたか?」


「とても気になるので鎧を着るかサラシを巻くかしてください…てか、よく飛び出しませんね」


 Q: Nカップ爆乳の美人が槍を振るえばどうなるか。


 A: バルンバルンします。


 もうね、服の中で誰か踊ってんのかってくらい。


 流石世界No1バスト(俺が知る中で)の持ち主。あれだけ揺れたら邪魔だろうに。


 てかブラしてます?


「あ、それは、その…わ、私のは大き過ぎて売ってなくて…」


 さもありなん。確かに売ってないだろうなぁ…クリスチーナを紹介するんでオーダーメイドしてください。


 …でも、つまるところ…ノーブラなんスね? 


「兎に角、揺れる胸をなんとかしてください。気になって集中出来ません」


「はい…」


 シュンとした表情で肩を落としてイエローレイダー団長は部屋に帰って行った。


 今、訓練している場所はうちの庭なんだが五人の団長は全員、俺の屋敷に泊まっている。


 俺を護衛するのだから当然かもしれないが…あんた達の屋敷、そう遠くない位置にあるでしょうに。


 特訓相手になってもらってるし、俺としても助かる部分はあるんだが。


「じゃ、イエローレイダー団長が戻るまで私が」


「待て、アウレリア。お前は昨日散々やったろう。私に譲れ。今日こそアイツの息の根を止めてくれる」


「護衛が護衛対象を殺してどうする…」


 レッドフィールド団長とポラセク団長が本気過ぎて困る。


 いや、皆本気でやってくれてるし、そうでなきゃ意味が無いんだけれども。


 あの二人だけは殺意が混じってるというか…もっとしっかり諌めてくださいブルーリンク団長。


「うぅ…おぎゃあああん!」


「あ、お、オムツか?ミルクの時間か?イーナどっちだ!」


「わ、わからないわよ!とりあえずオムツから確かめましょ」


「どうして私がこんな…ファリダ!なんとかしてくれ!」


 アイの提案通り、訓練中はエルリックに近くにいてもらう事に。


 エルリックの世話は主にカタリナに任せている。イーナはカタリナに巻き込まれて此処に居る。なんだかんだで仲良しな二人だ。


「うるさいな…どうして毎回赤ん坊がここに居る。屋敷内で寝かせておけばいいだろう」


「理由があるんですよ。説明は出来ませんけど」


「理由?どんな理由があろうとも訓練の邪魔だ。屋敷に戻せ」


「そう言うなポラセク団長。赤ん坊は国の宝だ。それに可愛いじゃないか。無下にするもんじゃない。どれ、貸してみなさい」


「え?」


 カタリナからエルリックを掬い上げ抱きかかえるブルーリンク団長。


 ブルーリンク団長にあやされてすぐにエルリックは泣き止んだ。


 見た目に反して赤ん坊の扱いが上手い…


「い、意外な特技だなブルーリンク団長」


「これでも二人の子供を生んで育てた実績があるからな。しかし、この子はお腹が空いているようだ。ポラセク団長、出してくれ」


「出す?出すって何を」


「決まってるだろう。乳だよ、母乳だ母乳」


「出せるかぁ!」


 一瞬、ポラセク団長って子供がいたのかって口に出して言いそうになった。何とか止める事が出来てよかった。言ってたら面倒臭い事になっただろう、間違いなく。


「何?出せないのか。それは鍛錬が足りてないな」


「鍛錬すれぱ出せる物じゃないだろう!何を言ってるんだ!」


「お前こそ何を言ってるんだ。お前のギフトは肉体操作だろう。なら母乳だって出せる筈だ」


「…へ?」


 ああ…あの顔だけは小さいままのアレな。アレはやっぱりギフトなのな…子供が見たらトラウマになりそうな。


「何度か言っただろう。ギフトは成長する…使えればそれで良いという物ではない。使いこなす事が必須なんだ。お前のギフトだって使いこなせば母乳を出す事も長身の美女になる事も出来るだろう。乗り物酔いもなんとか出来るかもな」


「……」

 

 へ〜…ギフトって訓練次第で能力の幅が広がるのか。


 ならカタリナやイーナのギフトも成長する…握力が強いってギフトが成長した所でどうなるんだ?


「ほ、本当にそんな事が可能なのか?」


「さあな。物は試しにやってみれば良い。先ずは母乳を出せるようになってみせろ」


「よ、よし!」


「よしじゃねぇ。人目をはばかってください」


 赤ん坊に乳をあげてるママさんを凝視するのはマナー違反なのは理解しているが。だからって男の前で無造作に出さんで欲しい。


 いや、この世界の女性はそんな人ばっかりだってのは知ってるけども!


「レオナちゃんは母乳に夢中だし。私とヤろう」


「ええ……因みにですけどレッドフィールド団長は」


「母乳は出ない」


「いえ、ギフトについて聞きたかったんですけど…もういいです」


 結局レッドフィールド団長との訓練になった。鎧を着たイエローレイダー団長が戻って来るまでだが。イエローレイダー団長は母乳でそう…あ、出ないっスか。…泣きそうな顔せんでもええですやん。


 午前中は団長達との模擬戦で終わり。午後からはアム達も混ざって訓練…の前に。ドミニーさんが帰って来た。ステラさんと一緒に。


「その様子だと…また駄目でした?」


「……」


「いや説得に成功はしてるんだ、成功は。だが納得はしてないから逆に私達を説得しようとマチルダが足掻いてるだけで…」


 つまり駄目だったと。


 二人には院長先生にドライデン行きをしばらく待ってもらうように説得に行ってもらってるのだが。


 二人…いやジーニさんも巻き込んでの四人でなら。ドライデンに密入国出来ると院長先生は考えているらしい。


 当然二人は反対してる。だが放っておけば結局一人でも行ってしまいそうなので連日説得と確認に向かってるわけだ。


 メーティスには例の如く偵察機を飛ばしてもらってレイさんや魔王の情報を集めさせているのだが。


 今のところは有益な情報はない。だが街の様子は聞いていたよりも悪いようだ。


 他国の事だし禁じられてるから行けないしで。


 エスカロンに抗議文を送る事も出来ん。院長先生の為にも早くドライデンに行きたいとこなんだが。


「ああ、それとなジュン。エリザベスから伝言だ」


 またか。わかってるよ、店に来いでしょ。そんなに伝言頼むならいっそ自分から来たらいいのに。


 なんとなく後回しにしてた俺が言うのもなんだけど。


 てか、何でステラさんに?孤児院に手紙が来てた?手紙なら直接うちに送ればいいものを…平民が貴族に手紙を送っても時間がかかるだけ?そんなもんなのかね?


「いいか?『明日必ず店に来るように。来ないと死ぬぞ。私が』だそうだ」


「あんたが死ぬんかい!」


 この場にいないエリザベスさんの代わりにステラさんにツッコんだ。


 何故かステラさんは嬉しそうだった。

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